8/3(土)灼熱の京都―汗と渇きのぶらり旅 4日目〜その3~ | ちいたろうのお出かけ日記

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 西本願寺は龍谷大学とセットだと思ったのに、ぐるりと大回りをしなければなりません。七条通に出て歩いていくと、角のところに大きな建物が見えました。
「いよいよ西本願寺か」
と思ったのですが、こちらは興正寺。西本願寺は、まだまだ先なのです。


 でも、興正寺も立派なお寺です。浄土真宗にもいろいろ宗派があり、こちらは興正派の本山とのこと立派な寺なのもうなずけます。
 まずは御影堂へ。入り口には大きく「見真」と書かれた額がかけられていました。そういえば広島にいた頃、昔、「見真講堂」というホールがあったと聞きました。広島で仏教といえば安芸門徒。安芸門徒は同じ浄土真宗でも本願寺派に属するようですが、教えは共通なのでしょう。


 回廊を渡って阿弥陀堂も巡ってからひと休み。三門から入ってすぐのところにある宗務所の1階が、教化センター リテラスという休憩施設になっていました。ちゃんと自動ドアがあって、冷房も効いています。建物がきれいならトイレもきれい。椅子とテーブルが備えてあって、電源とフリーWi-Fiまであるのです。
「ありがたいなあ」
有難いという言葉を調べると、語源は仏教にあるという話があちこちにあります。ここはまさに、有ることが難しい場所。これでコーヒーでも出せば、立派にカフェとして営業できそうなのに、参拝者が無料で使わせていただけるのです。「あり得ない」と言ってもいいかもしれません。
 けれど、それがここにあります。こういったことこそが「有難い」ということなのでしょう。
 しばらく休憩してから、いよいよ西本願寺へ向かいます。


 境内に入ってすぐの茶所という建物の中に入ると、中ではお寺の方が西本願寺についての説明の真っ最中。受付などもとくに見当たらないので、しれっと混じって聞かさせていただきます。


 とくに面白かったのは、本願寺が東と西に分かれているのは徳川家康によるものだという話。きっと、誰もが興味を抱くのでしょう。
「東と西に分かれていますが、仲はいいので、この後ぜひ東本願寺にもお参りください」
と、向こうを立てることも忘れません。
 ひと通り説明が終わると、
「それでは、お寺をご案内します。行かれる方はどうぞ」
と声がかかりました。もちろん行きます、行かせていただきます。


 けれど、こちらの参加者はなんとたったの2人だけ。後からもう2人やってきましたが、それでもさっき説明を聞いていた人数からするとかなり減ったことに変わりはありません。それが暑さのせいなのか、寺への興味・関心の度合いによるものなのかはわかりませんが、寂しいかぎりです。
 先ほど説明してくださった方を先頭に、お堂の方へと歩き、渡り廊下のところで靴を脱ぎます。靴置き場には、「『お西さんを知ろう!』参加者専用」と書かれていました。


 ここでの説明は、まずこの寺の山号、龍谷山についてから。
「『龍谷山なのに龍がいませんね』とよく言われるんですが、ほら、ここに龍がいて、球を持っています。『如意宝珠』と言います」
と、案内の方は手慣れた様子。

 参加者の一人が、
「まさにドラゴンボールですね」
と言えば、
「マンガでいえば、このお寺の唐門がONE PIECEに登場しますよ」
と、まるでそのやり取りが台本に書かれているかのようなスムーズさです。
 後で単行本を見てみると、確かに90巻の第909話の中に小さく唐門が描かれていました。こんなふうに豆知識も教えてもらえるのが、ガイドツアーの醍醐味でしょう。
「これから12時の法要のために、『かんしょう』を鳴らします」
説明の方がおっしゃった「かんしょう」という言葉を、てっきり「半鐘」だと思っていたのですが、どうやら喚鐘というもののようです。鐘を叩く人は、法要が行われる御堂に背を向ける形で立っています。そのため、御堂の中の様子を見て合図を出す人がいる。そして、この喚鐘の打ち方にもきちんと決まりがあるようです。ただ叩くだけではない、こういった一つひとつのことにもちゃんと歴史の積み重ねがあるのです。


 まずは阿弥陀堂へ。案内の方が、
「それぞれのご事情に合わせて手を合わせましょう」
とおっしゃいました。
「なるほど。そういう言い方もあるのか」
人それぞれ、信じるものは違います。とくに海外から来られる方の中には、日本とは違う習慣の方もいるでしょう。多様化という波は、こんなところにもやってきているのです。
 それから御影堂へ。阿弥陀堂に比べて御影堂が一段低くなっているのは、御影堂に祀られている親鸞聖人の目の高さが仏さまの足元になるようにしているのだと教えていただきました。
「こんなツアーがそれぞれのお寺で行われたらいいのに」
お寺や仏教について学ぶ機会というのはなかなかありません。お経を聞くのも、法事かお葬式のときくらいだという人も多いことでしょう。
 この西本願寺をはじめ、17の寺社、城が世界文化遺産に登録されています。そのどれもが素晴らしいことは言うまでもありません。けれど、そういったものを大事にしてきた人たちの心もまた素晴らしいものであり、形はありませんが立派な宝物だと思うのです。