4/27(土)e-道再申請 香港の旅 1日目~その6~ | ちいたろうのお出かけ日記

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 土鍋で炊く煲仔飯は提供されるまで時間がかかりそうなので、ビールを飲んで待つことにします。メニューの中から、生力啤 San Miguel Beerを注文。金色のラベルを想像していたら、運ばれてきたのはライトの方でした。


「あぁ、こっちだったか……」
 ともあれ、喉も渇いていたので、さっそくいただくことにします。
 出されたコップはガラスではなく、どうやらステンレスでできているようです。小さなボールを使った手品で見るような銀色のカップにビールを注ぐと、なんということでしょう(cv.加藤みどり)。銀色のコップはキンキンに冷えたではありませんか。
 キンキンのコップで飲むキンキンのビール。こんなビールの楽しみ方をまだ知りませんでした。
 実際に飲んでみると、さすがライト。軽いというよりも、薄いという印象です。アルコール分も、3.6パーセントと低め。ですが、このキンキン具合がたまりません。暑いときにぐいっと飲むにはちょうどよいのでしょう。


「これはこれでアリだなぁ」
 世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあるのです。
 やがて、煲仔飯も運ばれてきました。ワクワクしながら蓋を取ると、ごはんの上には豚肉がドンと載っていて、咸魚の姿は見えません。


 お目当ての咸魚は、豚肉の下にひと切れ。でもこのひと切れがうまいのです。
 さらに、食べすすめていくうちに日本のしょう油のような調味料を入れると、これがまたうまい。土鍋の底にへばりついたおこげと一緒に食べると、思わずビールをもう1本注文したくなりますが、これ以上だと確実に別のおかずも欲しくなるのでやめておきました。


 油麻地站からMTRに乗って宿に戻り、もう一度待機します。目指すは、20時からのシンフォニー・オブ・ライツ。宿舎は、ビクトリアハーバーまで歩いて数分という場所にあるので、ライツだけなら、あと1時間ほどすることがないのです。
 その間、ゲストハウスで再び旅のメモをまとめます。国内ならド◯―ルやス◯バといった手軽なコーヒーショップをよく利用するのですが、ここは香港。物価も高いし、歴史的な円安のまっただ中。ゲストハウスの無料のお茶が、何ともありがたいのです。


 19:30前にゲストハウスを出て、ハーバーへ向かいます。海辺にはすでに観光客が集まっていて、すごい賑わいです。


「ギリギリ間に合うだろうから、中環側で見ようかな」
 そういえば、ライツの時間にはだいたい九龍半島側にいるので、海の向こう側から眺めたことがありません。
 スターフェリーの乗り場へ行くと、ちょうど間もなく次の船が出るようです。2階席である上層には、人の姿も見えます。
「間に合うか?」
と思って乗り場へ向かうと、どうやら接岸に時間がかかっている様子。潮の流れや波の影響があるのでしょう。
 やがて、スターフェリーはビクトリアハーバーを渡る短い船旅に向けて出航しました。波なのかうねりなのか、小さなフェリーはけっこう揺れて、接岸に苦労していたのも納得できます。


 デッキの端からハーバーからの夜景を楽しんでいると、日本人らしい若い女性客のグループが「ヤバい」を連発しながらやって来て、スマートフォンで写真を撮っていました。この「ヤバい」という言葉が一般化してからどれくらい経ったのでしょうか。その間に、若い人たちが話す日本語の語彙がずいぶんと寂しくなったような気がします。物事に対する印象など、自分の気持ちを表現する言葉がすべて「ヤバい」に置き換えられてしまったように思えてならないのです。
 美しいものを見て、「ヤバい」。
 美しくないものを見ても、「ヤバい」。
 嬉しい時にも「ヤバい」でしょうし、もしかしたら悲しい時や腹立たしい時にも「ヤバい」と言うんじゃないかとさえ思えてきます。
 言葉は時代によって移り変わっていくものだとはわかっています。けれども、自分の気持ちや考えを伝える言葉というのは、失うことなく持ち続けていきたいと思うのです。


 あっという間に中環碼頭に到着。ライツが始まる20時まで、あと数分です。天星碼頭から東側へ歩いて、海に突き出した展望台のようになっているデッキを見つけて、ここに陣取ることにしました。
 中環の観覧車の近くからずっと音楽が流れていたのですが、20時直前にその音楽が止みました。
「あぁ、今回はバッチリ音楽付きでライツが見られるんだ」
 けれども、20時になってライツが始まっても、先ほど音楽が鳴っていたあたりからは何も聞こえてきません。
「鳴らさんのかーい!」
 吉本新喜劇のように心の中で突っ込んでから、静かにライツを楽しみます。


 今日は香港島側からなので、海を挟んだ九龍半島側の夜景を見るものだとばかり思っていたのですが、見たくなるはやはり香港島側のビルの明かりです。屋上から空に向かって放たれるレーザー光線も、ビルが色とりどりに変わっていくのも、いつも同じ香港の夜景なのでしょうが、大好きな景色の一つです。
 そして、今日は雲が低いところにあるようで、建物の明かりが雲を照らすのもまた、きれいに見えます。同じ景色でありながら、まったく同じ景色は2度と見られない。そんなことを考えるのでした。