1/19(土)行きますアルマス泊まります ゲストハウスを訪ねる長崎の旅 1日目〜その2~ | ちいたろうのお出かけ日記

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 新地のお隣、出島の向かいにあるのが、今夜の宿舎であるアルマスゲストハウスです。レセプションに行くと、オーナーのたかこさんではない若い女性が座っていて、もうチェックインできると言います。


 このゲストハウスのチェックインは、送られてきたメールに添付された二次元バーコードをタブレット端末で読み取るのですが、これがなかなかうまくいきません。女性に手伝ってもらいながら、どうにかチェックイン完了です。アサインされたベッドに荷物を置いたら、リビングルームでコーヒーを淹れて、今日の作戦を立てます。


 なにしろこの宿に来ることだけを目的に長崎にやってきたので、もう目標は達成されています。あとは、美味しいものが食べられたら万々歳。でも、ここで夜までじっとしているのはもったいない気がするのです。
「しかし、今さらどこへ行こうというのか……」
 空が少し明るくなってきました。スマートフォンで雨雲レーダーを確認すると、夕方まで雨は降らなさそうです。遠出をするのでなければ、傘を持たずに出ても大丈夫かもしれません。
 まずは、前回来たときに行きそびれた大浦の銭湯に行くことに決めます。銭湯が開くのは16時。時刻はまだ14時前なので、それまで大浦あたりを歩くのもよいでしょう。世界遺産にもなっている国宝の大浦天主堂。その上にはグラバー園、電車通りを挟んで反対側には孔子廟など、観光名所も揃っています。
 しかし、私の目に留まったのは、そんないわゆる長崎らしい場所ではありません。
「こんなものができていたのか」
 Google Mapsを見ていると、軍艦島デジタルミュージアムというのを見つけました。サイトには、「人口密度世界一の活気溢れる島の様子や、上陸ツアーでは見ることのできない立入禁止区域など、巨大スクリーンやプロジェクションマッピングで体感できるミュージアムです。」と書かれています。軍艦島に今から行くのはさすがに無理ですが、ミュージアムなら行くことができます。それに、体感できるミュージアムということは、実物を展示しているわけではありません。それなのに、1,800円を取って見学者を満足させるというのなら、相手に不足はありません。
 ここから軍艦島ミュージアムまでは、歩いてもそんなにかからないので、お散歩気分で行ってみることにします。


 電車通りを、工事中の旧長崎英国領事館や旧香港上海銀行長崎支店といった重厚な建物を見ながら歩いていると、パラパラと雨が降ってきました。
「傘を持って来なかったのは失敗だったか……」
 でも、そんなことを思った頃には軍艦島デジタルミュージアムに着きました。入口には巨大なLEDの電光看板が掲げられて、なんだかパチンコやさんかゲームセンターのようです。新時代の到来ということなのでしょう。入館料はなかなかのお値段ですが、JAFの優待で300円引きの1,500円となりました。これは、しっかりモトを取らなければなりません。


 軍艦島とは何か。それが正式名称ではなく、「端島」という人工島だということは知っていました。私が大好きだった歌手に端島の出身という方がいて、「ああ、あの人の島だ」と勝手に思っていたのです。
 軍艦島ツアーのサイトにあった資料によると、1960年(昭和35年)当時の軍艦島の人口は5,267人。面積はわずか0.063平方キロメートルなので、人口密度にすると1平方キロメートルあたり83,603人になります。
 当時の東京都区部の人口密度が4,425人、ニューヨークだって9,863人というのですから、当然世界最大とてつもない数字です。
 そんな軍艦島ですが、1974年(昭和49年)1月15日に端島炭鉱が閉山となり、従業員や住民も島を出て、同年4月20日に無人島となりました。


 廃墟となったこの島自体は知っていましたが、ミュージアムを見学して、端島炭坑についての知識がほとんどなかったことに気づきました。軍艦島と呼ばれる海に出ている部分が重要なのではなく、その海底にある炭坑の方が重要であったということを意識していなかったのです。
 2階に上がると、ガイドの方が「14:30から軍艦島シンフォニーを上映します」と案内していました。全長30mのスクリーンに画像を投影しながら、元島民の方がガイドをしてくださるそうです。始まるまであと10分ちょっとあるので、スクリーンの隣のプロジェクションマッピング、「採炭現場への道」を見てみることにします。
 これが、実によくできています。坑道の中を坑夫の目線で歩いたり、エレベーターやトロッコに乗ったりしながら進むのですが、これがなかなかリアルにできているのです。
 もちろん、全てが完全にCGによる再現であり、本物ではないことはわかっています。けれども、私たちが実際に本物の坑道に入り、体験することはできません。
仮想現実ではあるものの、こういった形で展示するというのは、新しい方法です。
 CGやVRなど、展示する技術は格段に進歩しています。このミュージアムのように、本物を展示しない博物館というのもあるのだと感心してしまいました。
 一方で、使い方を間違えてしまうと、見学者に伝えたいことがきちんと伝わらなくなるでしょう。例えば災害や事故、戦災といった場面をリアルに再現することを追求すれば、見学者に過剰な恐怖を与えることになりかねません。博物館は、決してお化け屋敷ではないのです。恐ろしさを伝えることも必要かもしれませんが、大切なのは見学者が感じ、考えること。いつの時代であっても見学者は想像力を働かせなければなりません。それこそが、物事を理解することにつながるのだと思うのでした。