10/1(金) 3回目のお遍路 四国八十八ヶ所完全制覇の旅 1日目~その4~ | ちいたろうのお出かけ日記

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 今夜の宿舎は、伊佐爾波神社のすぐ下にあるホテル中川という宿。駐車料金は無料、バス・トイレ付き、そのうえ大浴場は道後の引き湯だというのに、格安で予約することができました。

「早かったですね」

 宿に着いて駐車場所を聞くと、おばちゃんにそう言われました。車は、玄関の目の前に止めさせてもらえるようです。

「今日から(道後温泉)本館も再開になりましたよ」

というので、さっそく部屋へ上がり、荷物を置いて出かけることにします。ホテルと名乗っているものの、どちらかといえば旅館といった部屋。でも、こういった宿の方が、私は落ち着くのです。

 道後温泉本館前までは、徒歩2分。といっても、従来の表側ではなく、以前の裏側が現在の入り口になっています。建物の前には、テレビクルーらしい男性が数人。きっと、43日ぶりに営業再開となったことを報道するのでしょう。まん延防止等重点措置が解除され、愛媛県が定めた感染対策期から感染警戒期に移行しましたが、定員を絞っているに違いありません。

「入れますか?」

と、入り口のところにいた男性係員に聞くと、

「検温と用紙の記入をお願いします」

と言われ、そのまま受付へと案内されました。どうやら入れるようです。

「昔の、あの広い風呂に入れますか?」

 入浴料の420円を支払い、建物が工事中なので気になっていたので聞いてみると、工事のため、現在は下の霊の湯というところに入れるようです。

「狭いのですが……」

と、受付の方は申し訳なさそうでしたが、こちらはむしろラッキー。以前は高い料金を支払わないと入れなかったのですから。

 霊の湯の定員は10名というコンパクトな浴室だからこそ、コロナ禍の少人数でも対応できるのかもしれません。以前の大浴場である神の湯のガヤガヤした賑やかな雰囲気が懐かしく思い出されますが、今のご時世、こちらの方が合っているのかもしれません。浴場が変わっても、湯のやわらかさは変わらず。私の大好きな温泉の一つなのです。

 私が風呂から上がろうとすると、松葉杖をつきながら霊の湯の浴室に下りようとしている方がいました。後ろでは、係員が見守っています。さすがに、明治時代の建物にはバリアフリーなんていう発想がありません。けれども、現在の工事が完了するときには、バリアフリーにも対応した建物にバージョンアップされるのかもしれません。

 道後温泉には、今年の5月にも来ています。そのときに臨時休業で行かれなかった店があるので、道後温泉駅に向かいながら電話をかけると、今日は営業しているようです。晩ごはんは、こちらの店でいただくことにしましょう。

 駅に着くと、ちょうど来たのはJR松山駅行きの電車。これはラッキーです。

 途中、道後公園から小学生の女の子が乗ってきました。

「今時、珍しいなあ……」

 というのも、彼女の胸には学校名入りの名札がついています。以前は名札をつけて学校へ行くのが当たり前でしたが、最近では名札そのものがない学校もあるようです。

 ダイヤモンドクロスで有名な大手町駅前で電車を降りると、ちょうど郊外線の電車が来るところでした。元は京王井の頭線だった電車が、車輪をガタガタ鳴らしながら路面電車の軌道を渡るシーンは、何度見ても心が躍ります。

 目星をつけていたごはんとお酒 なが坂は、想像していたよりもずっと立派な店構えで気後れしてしまうが、ここは先ほど電話もかけていることですし、入ってみることにしましょう。中に入ると、テーブルかカウンターかと聞かれたので、明るそうなカウンター席でお願いすることにします。

 まずは、風呂上がりのビールから。温泉の後の生ビールは、やはり格別なのです。

 ここは刺身が食べたいのですが、五種盛りは2~3人前とあります。

「量、かなりありますか?」

と聞くと、1,000円で1人前にしてもらえるとのこと。だったら、それに決定です。それから、鯛めしも頼んでおきましょう。炊き上がるまで40分ほどかかるというので、きっと、ほろ酔いの頃にはできあがっているはずです。

 刺身は、やはり美味しい。色々な魚が楽しめるのが嬉しいのですが、ここはやはり日本酒が必要です。

「この『雪雀』というお酒、常温でください」

 調べてみると、今は同じ松山市となった北条のお酒のようです。これがすっきりとしていて、なかなか美味しい。初めて入る店で、その土地の知らなかった酒とともにその土地の魚をいただく。そんなぜいたくが味わえるのも、緊急事態宣言が解除されたからに他なりません。

 じっくりとお酒を味わっているうちに、瀬戸鯛飯が運ばれてきました。店長さん自ら茶碗によそってくださいます。うす味でありながら、出汁のうまみをしっかりと感じる鯛めしは絶品。しかも、お刺身より安い値段設定なのです。これにはびっくり。

 大好きな街で素敵なお店に出会えた幸せを噛みしめながら、電車に乗って道後温泉へと戻ったのでした。