10/1(金) 3回目のお遍路 四国八十八ヶ所完全制覇の旅 1日目~その2~ | ちいたろうのお出かけ日記

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 南光坊からそのまま南下して、次の札所である59番国分寺へと向かいます。それまでの間、どこかに車を止めやすい店があれば昼ごはんにしようと思って走っているのですが、あいにくそんな店は見当たりません。中央分離帯を挟んだ反対側にファミレスなら見かけましたが、わざわざUターンしてまでファミレスに行くほどお腹が空いているわけでもないので、このまま進むことにします。

 59番国分寺は、四国の他の国分寺に比べてずいぶん小ぢんまりとしています。昔は違ったのかもしれませんが、ここがかつて伊予国の国府が置かれ、政治の中心であった場所とは思えないくらいの小さなお寺です。それもそのはず。往時の国分寺は、今の寺から150mほど東にあったといいます。

 国分寺の歴史を調べてみると、寺は度々寺を焼かれているようです。それでも今日まで寺が続いているということは、寺にかかわる人々の努力があったはずです。

 ここだけでなく、今、私が巡っている寺はどれも、歴史上の様々な出来事を経て、そこに存在しています。いつ、誰が、何をしたのか。何が起きて、どうなったのか。一つの札所にまつわる歴史だけでも膨大なものになることでしょう。そういったものの積み重ねの上に、今日の私たちの暮らしはあるのです。歴史を学ぶ意味というのは、本当はそこにあるはず。歴史上の重要人物や重大事件を覚えることだけが、歴史の勉強ではないのです。歴史上の人々やできごとと自分とのつながりを考えることこそ、歴史を学ぶうえで大事なことだと思うのです。

 境内に、握手修行大師という像がありました。像ではありますが、こうやって弘法大師を身近に感じられるのは、やはりご縁でしょう。そして、それぞれの寺との出会いもやはり、ご縁に違いありません。

 次に行く札所の道中も、のどかな田園風景が広がります。飲食店はおろか、コンビニさえ見当たりません。そのうえ、58番仙遊寺への道は、どんどん山を登っていきます。とりあえず、お昼ごはんはしばらくお預けとなりそうです。

 こういった寺につきものなのが、参道維持費。ここもその例に漏れることなく、納経所で納めることとなりました。山の寺は、ここが苦しいところです。

 夏を思わせるような暑さですが、山の上へ来ると涼しさが感じられるのは、季節が秋へと移り変わっている何よりの証拠でしょう。あれほど猛威を振るっていた新型コロナウイルスも、少し弱まりを見せてきて、緊急事態宣言が解除となりました。まだまだ油断はできませんが、少しずつ日常を取り戻していくことも必要なことだと思います。

 境内からは、遠くに瀬戸内海が見えます。寺の少し下からは、来島海峡に架かる吊り橋もきれいに見えました。こんな景色を目の当たりにすると、旅ができる幸せを改めて感じます。健康や安全だけでなく、旅をすることによって得ていたものがいかに大きかったかを思い知らされたのが、このコロナ禍です。

 次の57番永福寺に着くと、寺の手前にアスファルトで舗装された駐車場がありました。そこに立てられている立派な看板はフォントも凝っていて、良い意味で寺らしくない感じがします。ザ・手書きといった看板は味があるのですが、年月を経てペンキが薄れ、読みにくくなっているものも少なくありません。看板は読んでもらってナンボです。

 こちらの住職さんは本を書き、それが映画にもなっているようです。そのせいもあるのか、寺全体にやる気がみなぎり、生き生きとしているような感じがします。四国八十八ヶ所の札所の中には、遺跡のように、まるで時間が止まっているかのような印象を受ける寺もあれば、お客さんが列を作る人気店のような勢いを感じる寺もあるのです。

 56番泰山寺は、まるでお城のような石垣と白壁に囲まれていました。いろいろな寺の歴史を見ていくと、焼き討ちに遭っている寺が少なくないことに気づきます。寺が武将と戦ったのか、それとも兵が寺を拠点にして戦ったからなのか。昔の人々にとって、寺は現代とは比べ物にならないくらい重要な存在だったはず。その寺を強固なものにするのは、当然といえば当然かもしれませんが、現代を生きる私たちからすると、ちょっと物々しさを覚えるのです。

 さあ、次は松山方面へ向かいます。それまでには、道の反対側にあるファミレスにUターンしてでも何か食べたいところです。といっても、もうすぐ14時。早くしないと、晩ごはんが入らなくなってしまいます。

 地図を見ると、松山へ向かう国道317号線沿いにセルフうどん店が紹介されていたので、行ってみることにします。うどんくらいなら、晩ごはんへの影響もそんなに大きくなさそうです。

 松製麺所という、見かけはちょっと高級そうな店構えに緊張しながら入ってみたのですが、かけ(小)300円と良心的な値段にひと安心。そのうえ、「ハモ天」なんていう札が下がっているのを見つけたので、迷わず注文しました。

 けれども待っている間に、

「待てよ。うどん屋さんの天ぷらだからなぁ……」

と疑心暗鬼になっていたのですが、出された天ぷらを見て、いい意味で予想を裏切ってくれたのです。

「なんだ、この大きさは!」

 うどんのどんぶりからはみ出るような大きさの天ぷらに、まずはびっくり。そして、揚げたての天ぷらは、衣はサクサク、中身はフワフワ。200円弱でこのクオリティは信じられません。

 うどんは、出汁も麺もパーフェクト。こんな山に続く道の途中にうまいうどん屋があるとは……。改めて、四国のうどん文化の大きさを感じずにはいられなかったのでした。