ロンドンつれづれ -28ページ目

ロンドンつれづれ

気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

 

しばらく前にこのブログで、トランプのベネズエラ沖でのボートへの攻撃について書いた。

 

そのようなボートが麻薬をアメリカに運んでいるというのが当時のトランプ政権の理由だったが、これらの攻撃を通してベネズエラにインネンをつけている理由は、世界で一番埋蔵量が多いと言われているベネズエラの石油やレアアースなどの地下資源を狙ったものだということは、なかば公然の背景だと書いた。

 

アメリカの麻薬関連の公式レポートでも、ベネズエラについての言及はほとんどなかったということで、つまりアメリカ国内ではベネズエラ発の麻薬が問題になっているという事実はなかったのだ。 そういう問題がほとんどないにも関わらず、なぜベネズエラを挑発しつづけていたのか、その理由は石油利権だろう、ということは世界中の国際政治の専門家は見抜いていたのだ。

 

だから、トランプが「じきに地上戦を始める」と言った時も、ああ、やっぱりな…と思ったのである。

 

かつて、ブッシュ大統領がイラクに「大量殺りく兵器がある」といって攻撃を仕掛けた時も、結局はそんなものは無かった。 が、フセイン政権を倒して実質上イラクをアメリカがコントロールした後に石油利権を手に入れたのはブッシュ大統領やチェイニー副大統領、ライス補佐官らであった。

 

彼らは元石油業界の関係者でもあった。当時石油資源の確保はアメリカにとって重要で、特に政権の利益と結びついていた。つまり、ブッシュとそのお友達が石油利権を手にして、金もうけをした、ということだ。

 

今回も、これまで数か月にわたりベネズエラ沖、あるいは公海上でまでベネズエラの民間ボートに対し攻撃を仕掛けて、110人ものベネズエラ人を殺害してきたが、どの場合も麻薬密輸船だった証拠があったわけでもなかったし、裁判というステップも一切踏まずに多くの人を爆殺していたのだ。

 

要するに、「麻薬運搬船だから攻撃した」というのはトランプ政権の一方的な主張だったのである。そのため、このやり方はアメリカ国内でも多くの批判を浴びていた。

 

 

そして12月29日、昨年末にはトランプの予告通りに地上攻撃を行ったのである。この時は、「麻薬を積み込む」とされた埠頭のエリアであった。

 

 

さらに続けて、1月3日未明には、首都カラカスなどベネズエラ国内の複数地点を攻撃し、同日中に市民を含む死者は80人に達したと米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。ベネズエラのパドリノ国防相は4日、マドゥロ大統領の拘束を「卑劣な誘拐」と断定し、国民に徹底抗戦を呼びかけた。

 

ベネズエラ政府、米軍侵攻で「死者80人」 トランプ政権への徹底抗戦呼びかけ - 日本経済新聞

 

 

 

マドゥロ大統領夫妻は米軍により拘束されアメリカに移送されたそうで、それは以下のBBCのニュースに詳しい。

 

長いので、一部抜粋する。

 

....................

 

トランプ米大統領はソーシャルメディアで、ヴェネズエラに対して「大規模な攻撃を実施し、成功した」と発表。「マドゥロ大統領と妻を捕らえ、ヴェネズエラ国外に空路で移送した」と投稿した。

 

BBCがアメリカで提携するCBSニュースは、アメリカ政府筋の話として、米陸軍のデルタフォースがマドゥロ大統領夫妻を拘束したと伝えた。デルタフォースは、対テロ作戦や人質救出などにあたる陸軍の特殊精鋭部隊。

トランプ政権はこれまでに、マドゥロ大統領の拘束につながる情報に5000万ドルの懸賞金を提供するとしていた。

 

トランプ氏はこのほか、アメリカは年間数十万人もの国民を麻薬のため失っているとして、「そんなことは今後もう許さない」のだと話した。

また、アメリカが今後ヴェネズエラの石油産業に「強力にかかわっていく」と話した。

パム・ボンディ米司法長官は、マドゥロ大統領を「麻薬テロの陰謀、コカイン輸入の陰謀、機関銃および破壊的装置の所持、アメリカに対して機関銃および破壊的装置を所持する陰謀」の罪状で、ニューヨーク州南部地区の連邦地裁において起訴したと明らかにした。大統領夫人の罪状は明らかにしなかった。

司法長官は、「(夫妻が)間もなくアメリカの領土においてアメリカの裁判所で、アメリカの正義の全面的な怒りに直面する」と述べた。

 

トランプ氏の発表の後、ヴェネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領は、大統領夫妻の居場所を政府は承知していないと述べ、2人の「生存の証明」が直ちに必要だと要求した。

ヴェネズエラのヴラディミル・パドリノ・ロペス国防相は、軍隊を直ちに全国に展開すると表明。動画演説で、ヴェネズエラに対する「過去最悪の侵略」を前に、国民が連帯して抵抗するよう呼びかけた。

国防相は演説で、政府は「マドゥロの命令」に従い全軍を配備するのだと述べ、「(アメリカは)我々は攻撃したが、我々は決して屈服しない」と強調した。

これに先立ちマドゥロ政権は、「ヴェネズエラは国際社会に対し、アメリカ合衆国の現政府によってヴェネズエラ領に対して行われた極めて重大な軍事的侵略を拒否し、非難し、告発する」と声明を出していた。

声明は、カラカスへの攻撃が「ヴェネズエラの戦略的資源、特に石油と鉱物を奪取する」こと、そして「国家の政治的独立を強制的に破壊する」ことを目的としていると述べている。

 

アメリカのマイク・リー連邦上院議員(共和党、ユタ州)は、マルコ・ルビオ米国務長官と電話で話をし、マドゥロ大統領の拘束を確認したと明らかにした。

「(ルビオ長官は)ニコラス・マドゥロがアメリカ国内で刑事訴追され、裁判にかけられるために、アメリカの要員によって拘束されたと私に知らせてくれた」、「マドゥロをアメリカが拘束した今、ヴェネズエラ国内でのこれ以上の行動はとらないだろうと予測している」とリー議員はソーシャルメディアで書いた。

 

カラカスに住むジャーナリストのヴァネッサ・シルヴァ氏は、窓から爆発を目撃したとBBCに話した。爆発音は非常に大きく「雷よりも強かった」と言い、自宅が振動したと述べた。

山に囲まれたカラカスは谷間にあるため、爆発音は街中に反響した。

「心臓がどきどきして、足が震えていた」とシルヴァ氏は言い、爆発が非常に近かったため恐ろしかったと同時に、非常に正確な攻撃に見えたとも述べた。

シルヴァ氏によると、その後の街は静まり返っているが、大勢が互いにメッセージを送り合い、無事を確認しているという。

 

マドゥロ大統領は1日、国営テレビが放送したインタビューで、麻薬取引と石油に関して、アメリカと「彼らが望む場所と時間で」協議に応じる用意があると述べていた。

マドゥロ氏はまた、アメリカがヴェネズエラの港湾施設を攻撃したというトランプ大統領の発言について、質問への回答を避けた。この攻撃は、米中央情報局(CIA)がヴェネズエラ国内で実施したとされる最初のもの。

マドゥロ氏のこうした発言に先立ち、トランプ氏は昨年12月29日、ヴェネズエラの麻薬船が「麻薬を積み込む」ための施設ををアメリカが攻撃し、「大規模な爆発」があったと述べていた。

トランプ氏はこのところ、マドゥロ氏への圧力を強めていた。トランプ氏は、マドゥロ政権が自国の「刑務所と精神病院を空にし」、その収容者のアメリカ移住を「強制している」と非難。また、ヴェネズエラが石油の売り上げを麻薬関連犯罪の資金に使ってしているとも主張していた。

アメリカは昨年9月以降、麻薬密輸船だとする船舶に対して、太平洋とカリブ海で30回の攻撃を繰り返している。9月2日の最初の攻撃以来、国際水域で110人以上が死亡している。

 

 

ウィル・グラントBBC中米・キューバ特派員

 

南米アメリカ大陸でこれほど大規模な米軍の作戦行動が実施されるのは、冷戦以来初めてだ。どういう経緯を経てここに至ったのか。

 

・トランプ政権は昨年9月から、ヴェネズエラの海域を通過する麻薬を積んだとされる高速艇への空爆を続けた。攻撃の対象は東カリブ海、太平洋などへ拡大し、これまでに110人が死亡している

・米軍は制裁対象の石油タンカー2隻を押収し、3隻目を追跡中

・昨年のクリスマスには、トランプ氏が初の地上攻撃に言及した。その詳細は不明だが、BBCが目撃証言を調べたところ、石油資源が豊富な北西部スリア州で行われたとみられる

 

ヴェネズエラ政府は声明で、アメリカ政府に直接の責任があると非難し、政府の支持基盤に対し、全国各地で行動を起こすよう呼びかけている。

 

トランプ氏、ヴェネズエラの大統領夫妻を拘束し国外移送と発表 米軍が首都を空爆 - BBCニュース

 

ところで、上記のニュースでトランプ政権が主張している攻撃や侵攻の「理由」については、証拠のない一方的なものが多く、ブッシュ大統領がイラクに侵攻した時と同じように、あとからの調査では「根拠がなかった」ということになりかねない。

 

また、今回トランプ政権は、ベネズエラという独立した主権国家に対し、アメリカ議会の承認を得ずに軍を使って攻撃を強行した可能性が高く、さらにその国家元首である大統領を拉致拘束して監禁する行為にでたわけだが、、EU諸国ではこれに対し、「国際法違反」と「力の支配」として強く非難した。

 

 

たしかにマドウロ政権に関しては、選挙の不正、腐敗政治や麻薬の問題などがあるということだが、だからと言って、よその国が主権国家の政治に勝手に介入し、その国の大統領を拉致誘拐して良いという理屈は通らない。 トランプ政権は、さらに「ベネズエラを無期限に運営する」と主張しており、それではただの植民地支配と言われても言葉を返せないだろう。

......................

 

(CNN) 昨年11月2日、ホワイトハウスのワイルズ大統領首席補佐官は米誌バニティ・フェアの取材に対し、ベネズエラでの地上攻撃には連邦議会の承認が必要になると語った。仮にトランプ大統領が「地上での何らかの行動を許可すればそれは戦争であり、続いて連邦議会が必要になる」という。

 

数日後、トランプ政権の複数の当局者が非公開の発言で、連邦議会の議員らにほぼ同じ内容を告げた。つまり自分たちには法的正当性がなく、ベネズエラ国内のいかなる地上目標に対する攻撃も支持することができないと。

 

ところがそのわずか2カ月後、トランプ政権は当初不可能だと示唆していたことを実行に移してしまった。

 

それはトランプ氏が言うところの「ベネズエラに対する大規模攻撃」と、同国のマドゥロ大統領の起訴を目的とした拘束に他ならない。トランプ政権はこうした体制転覆の取り組みを議会の承認を得ることなく開始した。

 

作戦の要点はマドゥロ氏の拘束だけでなく、ベネズエラの運営ならびに同国の石油の掌握にも及ぶ。こうしたコメントから、明らかにマドゥロ氏の拘束以上の目的が作戦にあったことが理解できる。

 

合法性が疑わしい中での他国への攻撃は、目的を外国の指導者排除に限定したものであっても、近年の米国において珍しい話ではない。しかしそうした背景があってさえなお、今回の攻撃には際立った特徴が見られる。

二転三転する正当化


その理由は、トランプ政権が一貫した正当化なり法的枠組みを、今回の攻撃に関して提示することに驚くほど無頓着だからだ。しかも前もって議会に攻撃を知らせた様子さえない。こうした状況では、通常そうするのが最低限の措置だ。

攻撃の正当性を主張する完全な説明はまだ出されていないが、初期段階で見られる兆候の特徴は分かりにくさにある。

共和党のマイク・リー上院議員は攻撃直後、ルビオ国務長官から攻撃は必要だと言われたと明かした。リー氏の言葉を借りれば、「逮捕令状の執行者を保護する」ためというのがルビオ氏の説明だった。

「この行動は合衆国憲法第2条に基づく大統領固有の権限の範囲内に収まる公算が大きい。同条は実際の、もしくは差し迫った攻撃から米国人を保護するためのものだ」と、リー氏は指摘した。同氏は未承認の外国での軍事行動をしばしば批判している。

数時間後にはバンス副大統領やヘグセス国防長官、ルビオ氏もその台詞(せりふ)を繰り返した。ルビオ氏の言葉を借りれば今回の攻撃は「法執行任務」であり、そこに「2~3時間の行動」が関与するものだった。

NBCの番組で冒頭のワイルズ氏のコメントについて直接質問されたルビオ氏は、「これはベネズエラへの攻撃ではなかった」と答えた。ワイルズ氏は地上攻撃の是非は議会で審議する必要があると述べている。これに対しルビオ氏は「これは起訴された麻薬密売人を拘束する法執行任務だった」と主張した。

ルビオ氏はさらに、政権には議会の承認を得る必要がなかったと指摘。「なぜなら
これは侵攻ではなかったからだ。これは大規模な軍事作戦ではなかった」と付け加えた。同氏によれば国防総省が関与したのは、ベネズエラ側に対空ミサイルの装備があり、「ヘリコプターが撃墜される恐れがあった」からだという。

しかし、米国内で起訴された状態で国外に暮らす人は大勢いる。外国を攻撃してそうした人々に裁きを受けさせるのは、通常の米国のやり方ではない。

 

当初、トランプ氏はベネズエラ国内での地上攻撃で麻薬の密売人を標的にすると脅していた。ただ見たところ、麻薬密輸の業界でベネズエラはそれほど重要な存在ではないようだ。

その後、政権は攻撃が必要になり得る理由として、
ベネズエラが悪人を米国に送り込んだからだと示唆している。

また米国によるベネズエラとマドゥロ氏への圧力キャンペーンにおいて、当初石油の役割は軽視されていたが、後になってトランプ氏は
「彼らが以前我々から盗んだ石油、土地、その他の資産」を取り戻す狙いがあると語っている。

 

トランプ氏が記者会見で語ったのは米国が今後少なくとも一時的に、ベネズエラの運営に関与するということだった。その上で同氏は、ベネズエラの石油に再三言及した。

我々は石油インフラを再建する」と、トランプ氏は宣言し、別のある時点では「我々が国を適正に運営する」とも言い添えた。

 

【分析】トランプ氏によるベネズエラへの攻撃と大統領の拘束は合法か - CNN.co.jp

 

トランプは議会の承認などどうでもいい、と思ってるでしょうし、ルビオの言い訳は、まったく理屈になっていない。

 

要するに、麻薬がどうたら言っているが、要は邪魔なトップを退かして自分たちの言うとおりに動く傀儡政権をつくり、石油の利権を手に入れよう、そういうことなんだろう。だから、攻撃のいいわけが二転三転するのだ。

 

まずは麻薬を理由にインネンをつけ、その後には、犯罪者をアメリカにたくさん送り込んでいるとインネンをつけ、最後に本音を、つまり石油や資源が欲しいんんだ、ということを言い出す、と。

 

議会の承認も得ず、国際法にも違反するようなトランプ政権のやり方は、アメリカ大統領の権限がどこまで通用するかを試しているのかもしれない、とCNNでは分析しているが、これが通るのであれば、ロシアが何をしようと中国が何をしようと、大国がその武力を使って他国をどのように蹂躙することも可能、そして政権を倒して自分たちに都合の良い傀儡政権を立てることも可能になってしまうだろう。

 

 

ところで、「力による現状変更は赦されない」と中国に対して発言してきた高市政権。それは台湾有事だけだというのは通らないだろう。

 

「一つの中国」、つまり中国の内政干渉までするのであれば、アメリカがベネズエラというまったく別の国に武力で侵攻し、その国のトップを拉致して移送、アメリカに監禁するという暴挙に対し、高市政権はEU諸国のような毅然とした態度をとれるのか。 

 

しかし、高市首相からは6日も経つのに何の言葉も聞こえないどころか、外務省が代わりに出した声明には、「どの国が攻撃をした」ということすら、うまーく除かれていたのである…。

 

 

 

 

外務省が、ぬるい声明を出したのみ。

 

なにしろ、トランプ大統領を「ノーベル平和賞」に推薦した高市サンである…。