椅子の張替え | ロンドンつれづれ

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気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
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先月、ebayで3脚120ポンド(2万円ぐらい)で買ったバーレイ・ツイストのオークの椅子。
 
座席部分の布の色も質感もどうも気に入らないので張り替えることに。
 
張り替えると言っても、業者に出すと高いことを言われるので、自分でやることにしました。
 

 
 
「売主が座席は張り替えたって言ってたよ」と夫は言うが、なんとなく薄汚れた感じのピンクのビロード地。 染みや焼け焦げ、食べこぼしなどは確かについていないが、やはり自分で使うなら、自分の好みの布地を張りたい。
 

 
 
ということで、座席部分を外し、布地をはがすことに。
 

 
 
確かに汚れはついていないが、おそらく張り替えたのは10年ぐらい昔だろう。生地は日に当たっていた部分と、そうでない部分で色がだいぶ違っていた。

 

 

この麻のような裏張りを取り払うだけで1時間以上。なにしろ、全部で50か所ぐらいを小さいホッチキスで木の部分に留め付けてある。
 
スクルードライバーを針の部分に差し込んで浮かせるが、その段階で針が折れて木の中に残る。
 

 
そうなると、今度はペンチで針を挟んで引っ張って抜かなくてはならない。
 
 
それでも抜けずに残ってしまうものは、ハンマーでたたいて、木の中に埋め込む。危なくないように…。
 
 
ドライバーとペンチで、ホチキスの針を抜くこの作業、案外力が必要で、うんと疲れる…。
 
表布には、裏布よりもたくさんのホチキスだから、こちらと両方合わせて、2時間半ぐらいかかる。
 
 
 
 
やっと取れた表布を広げ、型紙をつくる。裏布も同様に。
 

 
 
 

そして、こちらが昨日届いた布。2色ほどのサンプルを取り寄せてちゃんと見ておいたから、思った通りのものが届いた。 やっぱり、赤よりこちらの方がよかった。

 
カーテンや、椅子の張り替えようの生地だから、しっかりしている。
 
この写真は、生地の裏側。表から見ると、もうちょっとうすい色の印象。
 
色味としては、灰色、青、緑が混ざったような色である。実際の生地はこの写真よりも、緑味が強い。
 



布地を広げるとすぐに猫が上ってくる...




さて、型紙通りに切り抜いて、座席に張り付けて、ホッチキスで留める。裏布も同じように新しい生地を張り付けた。 ホッチキスの間隔は、ちょっと広めに。 次に張り替えるときに楽なように…。
 
 
 
古い布をはがすより、新しい布を張る作業の方がうんと簡単。
 
 
あっというまに新品の座席ができてしまった。
 
模様の部分がビロード状になっています。その部分の色味が深く見えてウイリアム・モリスのデザインが引き立ちます。
 
この生地は、150センチ幅で、かなり厚手のどっしりした生地で23ポンド/m弱。まあ、メーター5千円近いけれど、本来は40ポンドほどする布地がオンラインのファブリックショップでセールになっていた。
 
実際、John Lewisのカーテン生地売り場にも足を運んだが、気に入ったものはなかった。
 
オンラインショップなら、色やデザイン、生地の種類、値段までを入れて検索ができるので、うんと楽である。その中から、ウイリアム・モリスのセール品を選んだ。ウイリアム・モリスデザインは、高いものだとメートル160ポンド近く(3万円)するものもある。
 
頼めば無料で2-3日でサンプルを送ってくるので、実際の柄の大きさや色味、そしてテクスチャーなど、すべて実際にチェックできるので安心だ。本当に便利。
 

 
 
 
できあがりは思った通りの印象で、大満足!オーク材の部分と色も合っている
 

 
 
 
座席の中もきちんとチェックし、自分で清潔にして、表も裏も張り替えたから、気持ちよく座ることができる。
 
先ほど張り替えた椅子に、猫があっというまにちゃっかり座った。また毛だらけになってしまう…。


 
しかし、これから猫が汚そうが、爪をとごうが、まだ布地はたっぷりあるので、いざとなったらまた自分で張り替えることができる。 それが自分で作ったり張り替えたりする時の良い点だろう。 なんでも自分で修理したり手入れできれば、モノを次々と捨ててしまうことは減るだろう。
 
自分の選んだお気に入りの布地を張る作業は楽しいんだけどね。そっちは30分ぐらいで終わっちゃう。
 
座席からホッチキスを全部抜いて古い布地をはがすというのが、ちっとも楽しくない、そして結構な肉体労働の作業なのである…。
 
 
物事はすべて、こういう地味で基本的な作業の方がずーっと多くて長くて、それを嫌がっていたら、きれいで華やかなことはできないんだよね。 スケートもピアノもそうだけど。
 
地味な基礎練習。その繰り返し。それを嫌がらないで続けた人だけが、美しい動きや難しいエレメンツをこなし、複雑な曲を弾くことができるんだね。

分かってはいるが、3脚の椅子の張替えで何時間も座り込んでホチキスを抜いていたら、さすがにウンザリしてきた。

これだから業者に出すとうんと高くつくのである。手間賃だ、ということだろう。

しかし昔のものはこうやって張り替えて何代も使えるしっかりした作りのものが多い。

友人の夫も、祖父の使っていたという1人掛けの背の部分が高い大きなソファを何百ポンドも出して張り替えたというが、そうやって受け継いだ家具を大事に使う文化も良いものだ。

それは本当にみならうべきだな、と思うのである...。

これらの椅子も、できれば息子の代まで使ってくれたら嬉しいが、若い人には若い人の好みもあるから、押し付けることはできないけれども。