ジャニーズ事件フォローインタ | ロンドンつれづれ

ロンドンつれづれ

気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

 

もう、ほとんどどこもジャニー喜多川の性加害について報道していないが…

 

そもそもこの大規模な「子どもに対する性犯罪」を暴いたBBCのモビーン・アザー記者がフォローアップの取材を発表した。

 

これはBBCワールドで数日前に放映されたが、BBCワールドからも日本語字幕付きで2日前に動画サイトに載せた。

 

 

冒頭モビーンさんは、ジャニーズ=スマイルアップの幹部クラスの人が、自分に会ってくれたのはこれまでで初めてのことだとし、どれほど取材許可を求めても、まったく相手にされなかったことを伝えている。

 

新たな会社として、そして主に被害者に対する「補償」を業務の中心にしているスマイルアップ社のトップとして、かつてのジャニーズ事務所のような「臭いものにふたをする」ような隠蔽体質であってはいけない。

 

しかし、それにしても、東山氏はよく取材を受けたな、とも思ったのである。なにしろジャニー氏の犯罪を暴いたBBCであり、ジャニーズ事務所が事実上解体せざるを得なくなった原因を作ったジャーナリストである。モビーンさんの質問は、要点をずらすことも忖度することもないだろう。

 

そして私の期待通り、彼は核心に触れた質問を連発した。東山さんは優秀な俳優さんでもあるので、ジャニー氏の犯罪を「知らないことだった」とモビーンさんをまっすぐに見つめて答える様子も、「演技」かもしれないなと思いながら見ていたのである。しかし、あえて困難な役割を引き受け、このように矢面に立つという選択をした彼は、気の毒でもある。

 

東山さんについては、ジャニーズタレントに興味の無い人たちの間でも、気の毒だと思っている人たちはかなりいるんじゃないだろうか。なぜ引き受けたか、という問いに答える東山さんの言葉に嘘は無いように思える。そして「補償」がすべて終われば会社は廃業、というのは潔いように聞こえる。

 

しかし、そうは言っても、これまでのスマイルアップ社の「補償」については納得できていないという被害者の声も聞こえてくるので、一方の声だけを聴いて判断はできない。

 

 

この取材ビデオの中で、いくつか気になることを東山さんは発言している。

 

モビーンさんは、自分のCEOとしての仕事の一部として「被害者に対して正義を尽くし、一人一人に向き合い話し合って…」と話した東山さんに、「被害者と直接話して対応するということだが、あなたは社会福祉士の資格を持っているのか」と鋭い問いを。「性的虐待のサバイバーの補償を専門にする会社のCEOとして、社会があなたが適任と信頼していると思いますか?」と。

 

「僕しかいないな、と思いました。これだけのタレントたち、スタッフたちを路頭に迷わすわけにはいかないので…」という答えは、「性的虐待の被害者」の立場を考え、寄り添い補償をする、というよりは、企業としての存続のために…としか聞こえない。う~ん、ずれた答えだな…。

 

 

そして、「補償」という業務のプロセスはどうなっているのかという具体的な質問が出る。900人以上の被害者のクレームに対し、どうやって対応しているのか、と。どのぐらいの時間がかかると考えているか、と。「想像もつかないですね。ただ、時間はかけなければ、かけるべきだと思っている。皆さんの人生もかかっている」という答え。 しかし、被害者への補償は、早ければ早いほど良いのではないか…。10年もかかっていては、彼らの人生への悪影響が大きすぎる。

 

「被害者にカウンセリングは提供しているか」との問いに、「僕自身はカウンセリングの(資格)持っていないんですが、結果的にそうなればありがたい」という答えには、特に子ども時代の性的虐待被害者に対応する心理士たちのプロとしての話をしっかり聞いてほしい、と感じた。どれほど気持ちがあろうと、しろうとには理解できないトラウマに対応するためには、やはりプロを入れなくてはならない…。「200人に会ったけれど、それによって少しでも心が癒されればそれが僕の役割」というのは、考えが甘すぎる…。リスクが高すぎる。

 

だから会社として不用意な発表をし(被害者をかたって補償を受け取ろうとする人がいる、という)、それによる誹謗中傷で自殺者まで出してしまうのだ。 ここでもリスク管理に失敗している。被害者の命を軽く考えていると判断されてもしかたがない。

 

もちろん、モビーンさんは「いや、しかし専門家は入れているんですか」と重ねて聞いている。「専門家による支援に対して、スマイルアップは資金援助をするんですか」と。被害者に対する保障以前の対応として、当たり前のことだが。

 

「もちろんです、無期限にやろうとおもっています」という東山さん。現在のところ実際はどうなっているのだろうか。被害者の口からきいてみたい。

 

ジャニーズは変わったといいつつ、10才、12才といった子どもを集めてタレントに養成しようというスタイルはそのまま踏襲している。その子どもたちの安全性をどうやって守るのか、モビーン氏の追及は厳しい。具体的に何をしているのか、と。そこについてはあまり具体的な回答はなかった。

 

また東山氏自身がジャニーの性犯罪について知っていたか、自分は怖い目に合わなかったか、については100%のNoの答え。しかし、児童に対する性犯罪の裁判があり、週刊誌も出ていたが、知らなかったのか、という問いに対しては、「スキャンダルの一つだと思っていたから」と。自分も色々書かれたし、それは嘘が多かった、と。

 

モビーンさんは、「しかし、ことは、子どもに対する性犯罪、小児性愛者の犯罪ですよ?スキャンダルと言ってもレベルが違うでしょう?」と指摘。2004年、東京高裁で判決がでたとき、東山氏は38歳ぐらい、もう大人だった。その段階でうわさから現実になったはずだったが、会社内では子どもを守るための危機管理のための話し合いがあったはずだが?という問いかけに、「その時に立ち上がるべきだった」という東山さんの答え。

 

一つの会社の社長が犯し続けていた犯罪に対し、所属タレントとしては自分には責任がないという認識だったのだろうか。ここが、やはり英国人のモビーンさんの育った文化(成人は誰でも子どもを守る義務を持っている)と、日本の文化(他人の子ども、他人の犯した罪に関しての無責任感)との違いが現れるのではないか、と感じた。

 

なぜ社内でそのことについての話し合いがなかったのか、と問われて「フーン…」と考え込んでしまう東山さん。「今思えばなぜだったんだろう。マスコミも新聞もほとんどが書くこともなく…」と。「オームの麻原の方にすべての目が言っていた」という彼の答えに、モビーンさんjは「でも世界のどこかでいつも大きな事件は起こってますが、これはあなたのすぐ身近で起きていた事件ですよ?」と指摘。「なので、もう一度、同じ質問をします。なぜ社内で話し合いがなかったんですか?」…「あの時は信じていたんでしょうね。喜多川氏を」

 

そうかな?

 

モビーンさんは続けて、「ジャニーズジュニアの一人は、当時ジャニー以外にもスタッフが子どもたちに性的加害を行っていた、と証言しています。知っていましたか?」と。

 

東山氏、「僕が今聞いているのは、二人と聞いています」と。そして加害者はまだ存命だそうである。

 

「社内に、性的虐待の文化があった、という懸念を持ってますか?」に対しては、東山さん、「そういう文化があったとは思っていません」と返答。 「しかし、ジャニーの他にも二人のスタッフが性虐待を行っていた、これは非常に根の深い問題ではないか?」と。「それも踏まえて、会社を変えていかなければならないと思っている」という東山さんの答えは、先ほどの答えと矛盾していないか?

 

「社内にいる複数の人間が子どもに対し性的虐待をしていたとなれば、常識的に考えて、警察に報告するべき事案ではないですか?」との質問に対し、「法的なことを考えると僕らには権限がないと考えるので、その当事者が刑事告訴をしたら僕らとしては全面的に協力したい」という答えだが、法律では「児童への虐待は、その恐れがあるという段階で通報する義務」が、すべての大人に課せられている。つまり、虐待があるという証拠を見せなくとも、子どもからの訴えがなくとも、虐待を受けているかもと疑いを持った段階で、日本中のどの大人も(保育士、教師、医師だけでなく)通報する義務があるのだ。

 

児童を虐待から守るために、国はそのぐらいの厳しい法律を作っている。権限がないどころか、義務があるのである。ジャニー喜多川の事件は、ただの性犯罪ではない。「子どもに対する性犯罪」だということを忘れてはいけない。これは先進国では、有無を言わさず「合意」などの状況を問わず、刑事事件になるものなのだ。日本も含めて。

 

東山さんが当時38歳の時に、東京高裁でジャニー喜多川による子どもへの性犯罪が行われていたことが認定された。サリン事件がどうこうではなく、同じ組織に所属していた40才近い大人であったあなたは何をしていたか、それをBBCの記者に問われているのだ。そして、今現在も、なんの罰も受けていない社員二人を通報しないのか、と問われているのだ。加害したのは自分じゃない、被害を受けたのも自分じゃない。そういう話をしているのではないのだ。

 

今それを通報することが、新会社が正義を実行するいい機会じゃないんですか?」とモビーンさん。またまた、「うーん…」とうなる東山氏。誰を守ろうとしているのだろうか? どうやら、性加害をしていた2人の社員のうちの一人は、東山さんの元マネジャーだった人のようである…。「実際僕もどうしていいかわからないですね…」とまったく腰の引けた東山さん。

 

「着地点が分からない、被害者が何を望んでいるのかわからない」という東山さん。しかし、子どもへの性虐待は、たとえ子ども本人が望んでいなくとも、加害者は罰せられるべきなのである。なぜなら、児童に対する性虐待は、往々にして子どもにとって大切な大人から加えられることが多く、子どもは父や兄、叔父、教師、コーチ、(この場合は社長やマネジャー)など信頼していた大人による加害を訴えて出ることは稀であり、またかばおうとすることが多いからだ。

 

しかし、かばった相手から受けた虐待は、トラウマとなって、長い間被害者の人生をむしばむのである。

 

それでも、「被害者が声を上げるべき、私たちは動けない」と言い張る東山氏。モビーンさんに「正しいことは、子どもが虐待を受けたなら、加害者は有罪になるべきでは? 大きな権力を持った会社であるあなたたちには、役割があるのでは?」と問われても、「被害者が訴え出ない限り会社としては難しい」の一点張り。「ではこのケースについて被害者と話していますか?」の質問には「どなたか、僕は把握していないです」と。

 

うーん、それじゃあね…。被害者が訴え出ないなら、うやむやにしてしまおうというところが見え見えです。

 

また、補償手続きについては、被害者の弁護士が「ブラックボックス」と呼んでいる、とモビーン氏。どのように進んでいるのかプロセスが不透明でわからない、と被害者自身が話していることをどう思いますか、の質問には、「それは救済委員会の先生方に入ってもらって、被害者個人個人がプロセスを受けるんだと思います。心に傷を負っているので公表してさらに傷を…」と、ちょっと的外れの感じの答え。 

 

モビーン氏の言うプロセスとは、まずはどの被害者に対しても同じ手順を踏んで、被害の真偽や多寡、質なども含めどのようなプロセスでアセスメントをしているのか、基準は何か、それが明確ではないという批判が出ているという指摘なのだ。個人のプライバシーを透明にしろとは言っていない。

 

「被害者をよそおった虚偽の申し立てをしている人がいる。メディアは被害を訴える人たちの真偽を検証してから報道を」という文章を会社が公表した点について、「ではスマイルアップの、真偽の検証方法のプロセスを教えてください」とモビーンさん。「在籍証明とか、僕も見たことあるとか、そういうのができればいいのかな…」と東山さん。

 

「その検証システムってどのぐらい信頼性があります?キタガワはよく自分で少年をスカウトしていたと言いますね。正式に入所しなかった少年も、ダンスのリハーサルに来ていたりしたと聞いています。ジャニーさんがかかわった少年たちをすべて把握できないでしょう」と問われても、「広く救済すべきだと思っているので時間をかけて…」と、煮え切らない。

 

「この取材の前に、貴社のPRスタッフから被害者の数人を紹介されて会いましたが、彼らは、被害者の多くは真実を話していない、と言っていました。彼らを私に会わせた意図はなんですか?」とモビーン氏。「いや、幅広く話を聞いてもらった方がいいんじゃないかな、と。様々な被害者の意見を聞いてもらった方がいいと。」と東山さん。

 

「あなたは被害者の正義を実現するよりも、虚偽の申告をする人がいるぞと警告をすることの方が大事だと考える被害者たちがいる、と本当に思っているんですか?」とモビーンさん。それに対しては、東山さん、「正しいところに正しく金銭を使ってほしいという願いは聞いている」と返答。

 

「確かに多様な意見を聞くことは必要だが、特に僕に彼らを会わせた理由は、他の被害者の言うことが嘘だという印象を植え付けたかったのでは?」と突っ込むモビーンさんに、「いや、真摯に向き合おうと思っていますので、様々な意見をモビーンさんに聞いていただくべきだと僕は思ってます」と東山さん。ひえ~、食えない。

 

「大事なのは、僕らのイメージが良くなることではなく、被害を受けた方たちを救済し、補償していくっていうことがやっぱり一番大事だと思ってます」

 

ん?ン?言ってることとやってることがだいぶ矛盾しているぞ!?

 

 

と、ここまで書いて、疲れてきました…。

どうなんでしょう、目を見て答えて、誠実そうに見えるんですが、本当のところは…。

 

 

暖簾に腕押し、という言葉が浮かんできました。

 

皆さんもぜひご自分で動画をご覧ください…。

 

 

。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。

 

地域に根付いて活動を続けているピノッキオさんに、今年もスケートのチャリティ・チャレンジを行ってクラウドファンディングで寄付を募っております。今年のチャレンジは、「ループジャンプ」と、「シットスピン」。 まだ全くできません! あと1か月でできるようになるのか…。 心もとないです。

 

プログラムは「カリブの海賊」です。 音楽と衣装は昔のものを使うけれど、振り付けはまったく新しいものでチャレンジします。

 

 

ピノッキオの主催をしているのは、元早稲田大学の川名はつ子教授、里親さんを支援する会を長年サポートしてきた方です。 

 

クラウドファンディングは、以下、キャンプファイヤーというNPOなどの支援をしているプラットフォームからすることができます。

 

以下のサイトに飛んで、ご支援ください!

 

なお、今回のクラファンの寄付には17%ほどの手数料がかかるようです。例えば、3000円の寄付を選んだ場合、500円ほどが手数料として加算されるようです。そのつもりで金額を選んでください。

 

その分、ピノッキオの方で手数料として寄付から引かれることがないのでピノッキオは助かるのですが、皆さんのご負担が17%増えてしまうようです。よろしくお願いいたします。

 

笑顔はじけるみんなの居場所に!『子ども食堂』拡張工事にご支援をお願いいたします。 - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)

 

 

海外からの寄付も受け付けられるはずですので、日本以外にお住まいの方も、奮ってご支援ください!

 

また、クラファンはどうも、という方は、ピノッキオの郵便貯金の口座に直接お振込みください。前回も、郵貯の方に寄付をくださった方が、かなりの数いらっしゃいました。

 

以下のサイトに、振込先が載っています。

 

一般社団法人ピノッキオとは (studio.site)