若者(女性)に不向きな国? | ロンドンつれづれ

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イタリア在住のブログ友達、Nympheaさんが、良記事を紹介してくれました。

 

Nympheaさんのご友人のジャーナリスト、コスタンツァ・リッツァカーザ・ドルソーニャさんが書かれた記事が、イタリア最大の全国紙コリエーレ・デッラ・セーラの金曜日版に添付される雑誌「7」に大きな特集として掲載されたということです。

 

 

Nympheaさんによると、実はイタリアもEUの中でもジェンダーギャップランキングでほぼ最下位だということで、そういうお国柄から、コスタンツアさんも先進国の一員である日本でのジェンダーギャップにも興味を持たれたんじゃないでしょうか。

 

下はイタリア語原文の、デジタル記事のサイトです。

Giappone, non è un Paese per giovani (e donne). La rivoluzione delle cinque ministre- Corriere.it

 

 

以下、Nympheaさんが日本語に訳してくださったものを転記いたしますので、ぜひ読んでください。 もちろん、コスタンツアさんも日本語の掲載を快諾、喜んでくださっているということです。

 

読まれた感想をコメントに残してくださったら、それをNympheaさんを通して、コスタンツアさんにフィードバックいたしますので、ぜひコメントを残してください。

 

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日本:  若者(と女性)に不向きな国
女性大臣5人の改革


岸田首相は、少子化危機に対処するための重要な省庁を彼女たちに任せた。そして、上川陽子(外相)は初の女性首相候補となっている

2024年2月9日

文:コスタンツァ・リッツァカーザ・ドルソーニャ
写真:ジャームス・ホワイトロー・デラーノ

 

数ヶ月前、東京にあるNLI総合研究所が、日本人男性2,828人、女性1,960人を対象に、性別によって職場で不利な立場に立たされたと感じたことがあるかどうかを尋ねたアンケートは、必要以上に話題にされることはなかった。興味深いことに、男性では年齢が低いほど差別を感じる割合が高く、35歳未満では15.4%が「ある」または「どちらかといえばある」と答えたのに対し、35〜44歳では13.4%、45〜54歳では10.4%、55〜64歳では6.4%だった。

 

この数字は、日本では権力がまだ高齢者の手中にあるため、若者が非常に長い年功序列を強いられているという事実も影響していると専門家は説明する。そのため、35歳以下の男性では、自分は家庭を犠牲にしてでもキャリアを積みたいが、女性は逆で、特に子供を産んだ後はそうすべきではないと答えた人の割合が多かった。さらに、女性が男性より出世することを「受け入れられない」と答えた人さえいた。逆に、「差別されていると感じる」と答えた女性の割合は、どの年齢層でも男性を上回り、年齢が上がるにつれて増えた。

 

我々イタリア人は、多くの西洋社会と同様、日本を理解出来ず、戯画化することがあまりにも多い。しかし、イタリアと日本には多くの共通点がある。地球上で最も高齢化が進んでいる国の2つ、史上最低の人口増加率、そして強い男女格差、形は全く異なるものの、どちらの国の文化にも男性優位が強く根付いている。女性と若者、そして成長しない2つの国。

 

 

賞味期限

 

神戸のギャラリーオーナーでアートディレクターの入澤久子(56)は、金融業界でキャリアを積んだ後、独立を決意した。「20年前と比べると、女性を取り巻く状況は確かに良くなっています。しかし、それは、女性のために対策が講じられたからではなく、国民の高齢化と労働力激減の影響に対処するための政策によるものだと私は思います。労働力の減少により、女性の雇用促進が必要不可欠になったからです。女性に若さと可愛さだけを求める社会での生活は、年々息苦しくなっています。私達には未だに賞味期限が適用されます。平均結婚年齢が25歳で、『12月23日頃に売られたクリスマスケーキは26日以降に賞味期限が切れる』というクリスマスケーキ理論が流行していた1980年代のように」。

 

(日本の伝統的な花嫁衣裳「綿帽子」には、女性の「嫉妬の角」を隠す意味がある)

 


そして、年齢で差別されることが日本社会の常識だとすれば、企業における女性へのハラスメントはまさに疫病である。「私が部長だった頃、ある社員がクライアントの前で私を侮辱しましたが、会社は何の措置も講じませんでした。彼は男性で、家族を養っていました。若いキャリアウーマンは、特に妊娠中であったり母親であったりすると、彼女達に脅威を感じる既婚の同僚にいじめられます。更に資格があればあるほど、多くの災難が降りかかります。30年前、四年制の大学を卒業した女性は、短大卒の女性よりも就職するのが困難でした。結婚による退職は「寿退社」と呼ばれ、つい最近まで強く奨励されていた。幸いなことに、今は女性起業家が増えています」。

 

 

侮辱

 

FAO職員としてローマに長年滞在している大阪出身の戸田有里子(55)もこの状況を認める。「私が働き始めた頃は、日本ではまだ女性の制服が普及していました。書類上、私達は男性と同じ仕事をするために雇われていましたが、実際にはお茶を出したり、事務所を掃除したりしました」。 今日、こうした仕事は男性社員にも求められる。

 

数週間前、日本の若者の自殺率の高さについて街頭インタビューを受けたある青年は、その理由は孤独だけでなく、絶え間ない嫌がらせにあると指摘した。修士号を持つ才能あるプロフェッショナルが、年長者にコーヒーを持って頭を下げることを強要され、キャリアを積む前に何年もくすぶらなければならない。若者の政治参加を奨励する「ノー・ユース・ノー・ジャパン」の野城桃子はこう説明する。「多くの若者が日本を出ていきたいと思っています。誰も自分達の声に耳を傾けてくれないからです」

 

「近年、男女不平等に関する議論が企業内で活発に行われるようになりました」と語るのは、北海道在住の毎日新聞フォトジャーナリスト貝塚太一(46)だ。「現在、多くの女性がキャリアアップを果たし、優遇された待遇を享受していますが、制度が改革されなければ、それは、ただのトークニズムであり、形だけのジェスチャーとしての最低限の譲歩に過ぎません。実際には、女性は存在しない男女平等のポスターとして企業に利用されているのです」。数字がそれを物語っている。政界や企業のトップに占める女性の数は、まだ極めて少ない。

 

世界経済フォーラムの2023年版報告書によると、日本の男女平等度は146カ国中125位(昨年は116位)で、G7諸国(イタリアは下から2番目)でも東アジア・太平洋諸国でも最下位というネガティブな数字を記録した。2022年7月現在、東京証券取引所に上場している大企業の18.7%は取締役会に女性がおらず、30%以上女性がいる企業はわずか2.2%である。スタンド・バイ・ウィメンの浜田麻里氏は、「男女不平等が経済を苦しめています」と指摘する。「そして、男性が多数を占める国会では、性暴力について語ることは不可能です」。

 

2000年代に入ってから、東京だけで2,000件を超える通報(多くは未成年からのもの)が寄せられたという記録を受け、地下鉄での痴漢に対処するために日本の全ての主要都市では女性専用車両が設置された。東京都に勤務する辰巳恵美子は、日本のひきこもり146万人(15~39歳の45%、40~64歳の52%)の半数を占めるひきこもり女性の社会的悲劇を強調する。「一日中一言もしゃべらない女性、家庭内暴力や失業で引きこもる女性。残念ながら、助けを求めることはまだとても困難なのです」。

 

(地下鉄で痴漢から女性を守るための女性専用車両)

 

 

岸田文雄政権は対策に追われており、2031年までにシングルマザーの受給率を40%に引き上げることや、2025年までに東京証券取引所のプライム市場に上場する企業の取締役に少なくとも1人は女性を起用することを義務づけるなどの提案がなされている。9月の内閣改造で、上川陽子外相(70)を含む5人の女性が入閣した。これは2014年以来である。副総理はいないものの、岸田総理は2人の女性議員に重要な役職を与えた。賃金・雇用担当の矢田稚子氏(57)、そして女性問題・福祉担当の上野通子(65)である。

 

感性も変わる。「25歳で父親になった当初は、家庭で何かあれば妻が面倒を見てくれました」と貝塚は言う。「今は違います。6年前に末っ子が生まれた時は、4カ月間休暇を取りました。家族が最優先です」。この考え方はますます広がっている。「子供ができたら、できるだけ面倒を見たいです」と神奈川県に住む24歳の吉川肇は言う。経済状況が大きく変化した今、女性が専業主婦でいることはもはや不可能だと戸田は説明する。

 

京都生まれでイタリア人と結婚した折り紙アーティストの清水みのりは、「確かに、未だに結婚しない女性は奇異な目で見られることが多いです」と説明する。「同時に、日本人特有な内気さもあってか、結婚相談所の利用も増えています。出会って1カ月も経たないうちに便宜上の理由で結婚し、結果的に殆ど会話のない夫婦になってしまいます」。入澤も同意見だ。「結婚=安定という考え方はいまだに根強く残っています。経済的に不安を感じたり、健康に問題があったりすると、結婚すれば問題が解決すると思ってしまいます。幸いなことに、すぐに我に返りますが」

 

@CostanzaRdO

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