イギリス在住のジャーナリスト、小林恭子さんが、英国公共放送のBBCについて本を書きました。
BBCは、日本ではNHKと似たようなポジションで、英国民から視聴料を回収して成り立っています。
BBCの報道姿勢としては、ジャーナリストの倫理にそって「真実・事実を情報としていち早く視聴者に届ける」を貫こうとしているところに、信頼を寄せる人が多いのです。
BBCはまた報道内容の一部をネットニュースとしてあげており、そちらは世界中の人が視聴しています。
日本人の記憶に新しいところでは、日本の大手メディアがまったく報道してこなかった「児童への性虐待」という著しい人権侵害について、BBCが1時間番組を作り世界中の人がそれを視聴したこと。
これにより、国連人権委員会も動き、やっと日本の報道機関がそれを取り上げたということがありました。
英国ではブレアー政権がイラクの「ありもしない大量殺りく兵器」を理由にイギリスを戦争に引き込んだことを厳しく追及し、自社の報道についても反省をする報道も行われ、ブレアー政権はそれがもとで崩壊しました。
そもそもは、ブッシュ大統領がイギリス政府に送った、「大量殺りく兵器があるという嘘の情報をもとに国連での戦争開始の決議を得る」という情報は、イギリス政府の情報員からオブザーバー紙へのリークと同紙のスクープによって国民に知れたが、その情報員は「彼女は時の政権の利益ではなく、国民の利益のために働いた」として裁判で無実になります。(映画、オフィシャル・シークレットで詳しい)
そしてブレア首相の嘘を報道してきた英国の報道陣は反省とともに政府を一斉に叩いたのです。
間違いも犯すが、自浄作用も働いていると私は思って見ています。
つい最近もボリス・ジョンソン首相がコロナの最中に誕生パーティを開いていたことが問題にされて失脚したことからも、英国の報道機関は権力に対しても臆さずに追及していると思います。
ジャーナリストの倫理である「権力を持つものがそれを悪用しないように監視する」という、報道者の第一義をしっかり守ろうとする姿勢は、日本の報道機関にも見習ってもらいたいと思います。
公共放送の役割とはなにか。 メディアの社会に果たす義務とはなにか。私たちも過去1年、ジャニーズの事件や統一教会の問題、そして政府のメディアに対する介入の疑惑などで、いろいろ考えることもあったのではないでしょうか。
本の出版は少し先になりますが、2月1日に、その内容について小林さんがお話をします。
日本語での講演です。
「英国最大の公共サービス放送BBCが視聴者にどのような番組を放送・配信し、社会の中でどのような位置づけになっているのかを国外から知るのは容易ではありません。どの国の放送局も制作したコンテンツは、原則国内でのみ視聴できるようになっているからです。
BBCは時として「国営」と間違って紹介されることもありますが、視聴世帯から放送受信料を徴収して活動する「公共放送」であり、社会を構成する「みんなのもの」です。
インターネットが私たちの生活に欠かせなくなった今、メディア環境は大きく変わっています。BBCのライバルはかつては他局でしたが、今はネットフリックス、アマゾンプライム、ティックトックやユーチューブと競い、存在価値を認めてもらわなければなりません。
開局から約100年、BBCが伝えてきたことを辿りながら、公共放送やメディアの未来を考えてみましょう。」
セミナーは、2月1日、日本時間の夜9時から。ズームミーティングに参加する形で行われます。申し込みをした人たちに、そのリンクが送られます。
セミナー参加は無料です。日本語での講演です。
以下のウェブサイトでお申し込みください。
BBC が伝えてきたこと - 大和基金 (dajf.org.uk)
画面中央の赤い四角、Book your placeと書かれたところをクリックすると、氏名やメルアドを書き込むページがでてきます。
BBC が伝えてきたこと - 大和基金 (dajf.org.uk)
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小林さんは、東洋経済オンラインでページをお持ちです。
小林 恭子 | 著者ページ | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)