人災は防げる | ロンドンつれづれ

ロンドンつれづれ

気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

 

地震やかみなりなど、自然災害は人知を超えたところで起きる。これを予防したり予知したりすることはできない。自然の力の前に、人間はなすすべがない。

 

しかし人災は、過去の例から学び、予防することはできるはずである…。

 

........................

 

石川県・能登地方では、2020年12月から地震活動が活発になっており、23年5月には最大震度6強の地震が発生していた。兵庫県立大の後藤忠徳教授(地球物理学)によると、当初は珠洲市の中心部で地震活動が活発だったが、それ以降は徐々に北の方に移動し、能登半島先端のあちこちで地震が起きるようになっていたという。

 今回の地震は能登半島北沿岸部の陸域と海域の境界にある活断層がずれ動いた「逆断層型」とみられる。後藤教授は「能登半島北側の珠洲市から輪島市にかけて10本弱の活断層があり、それが一斉に動いた可能性がある。動いた距離は数十キロ超にわたるのではないか」と推測する。

 

「10本弱の活断層が一斉に動いた可能性」 後藤・兵庫県立大教授 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

 

昨日も書いたけれども、これほどの地震大国の日本が、いざとなると大災害になりうるエネルギー源である原発を、わざわざ不安定な地殻の上に建てるのはなぜか。誰か納得のできる答えを用意してほしい。

 

もちろんエネルギーを海外の自然資源に頼ることは、国家として不安はある。 しかし、原発を安全だ、安全だと言い続けてきた人たちは、何を根拠にしてきたのだろうか。

 

2011年の福島第一の事故も、大地震や津波に備えた設計にはなっていなかったことで、人災と言われている。 石川県の志賀原発も、つい11月に経団連が「再稼働しろ」と圧力をかけていた。再起動していたら、今の被害はもっと大きくなっていたのではないか。

 

経団連・十倉会長 志賀原発視察「早期の再稼働を期待したい」|NHK 石川県のニュース

 

 

志賀原発では、実は敷地内の水位が3メートルも上昇していたというではないか。

 

 

1日午後4時10分ごろの地震のあと、気象庁は一時、志賀原発がある石川県能登地方に大津波警報を発表し、その後、各地で津波が観測されました。

北陸電力は2日夜、原発内の機器の冷却に使う海水を取り込む取水口付近に設置した水位計を詳しく確認したところ、1日午後5時45分から午後6時までの間におよそ3メートルの水位の上昇を観測していたことがわかったと発表しました。

北陸電力は、2日の午前中に開いた記者会見では、水位計を監視していたものの、有意な変動は確認されなかったと説明していました。

また、敷地内の状況を改めて確認したところ、1号機の海側に設置している高さおよそ4メートルの防潮壁が、数センチ傾いているのが見つかったということです。

志賀原発では、地震の影響で外部から電気を受けるための変圧器で配管が壊れて油が漏れ、一部の系統が使えない状況が続いています

 

志賀原子力発電所 敷地内の水位計で約3メートルの水位上昇を観測 石川県 | NHK | 令和6年能登半島地震

 

 

3メートルも水位が上がっており、外部からの電力が使えないというのに、なぜ「有意な変動は確認されなかった」という説明をしたんだろうか。 そういうことするから、私たちの信頼を損なうのではないかと思う。

 

 

他国のエネルギー資源に頼らないためにも、日本国内での発電は必要だが、原発に関していえば、近隣住民が安心して暮らせるようなセイフティネットが、2重、3重、4重になされているのだろうか。3.11で学ばなかったのか。大変に不安に思う。

 

下は2010年に国会での質問に対し、薄笑いをしながら安全性を強調する原子力安全保安院長の答弁。

 

もちろん、この後にフクシマ第一の事故が起きて、まったく安全ではなかったことが露呈したのである。

 

 

 

 

石川県珠洲市は、6千世帯中5千世帯が住居を失うほどの壊滅的ダメージを受けた。 しかし、ここは原発利権をはねのけた日本でも数少ない自治体だという。

 

珠洲原子力発電所(すずげんしりょくはつでんしょ)は、石川県珠洲市高屋地区に建設される計画であった原子力発電所である。

北陸電力・中部電力・関西電力の電力会社3社による共同運営が予定されていたが、1975年の計画浮上から28年目の2003年12月5日に計画が凍結された。

 

珠洲原子力発電所 - Wikipedia

 

珠洲原発が作られて、稼働していたら、福島第一の悪夢の再現になっていたかもしれない…。

 

 

 

ところで、ニュースではいま被災者に足りないのは「段ボール」と「水」と話していた。 これだけ震災の多い国で、まだ被災者を固い冷たい床の体育館に集め、下にひく段ボールすら、飲料水すら足りないというのは、先進国のやることだろうか。いったい我々の税金はどこに使われているのだろうか。

 

下の記事を読んでほしい。

 

 

 

概要を下に記する。

 

..............................

 

日本では大規模災害が起きると、学校の体育館が避難所に転用されるケースが多い。しかし、先進国ではこうした対応はあり得ない。新潟大学大学院の榛沢和彦特任教授は「日本の避難所は欧米からみればハラスメント状態だ。『避難所の生活を改善すると、被災者の自立が遅れる』という主張がされるなど、根本的な誤解がある」という――。(聞き手・構成=ノンフィクションライター・山川徹)

 

榛沢和彦特任教授は2012年、イタリアの大地震の2か月後、避難所を視察したそうだ。

歩いて入れるほど屋根が高いテントは被災した家族ごとに割り当てられており、カーペットが敷かれ、人数分のベッドや冷暖房装置も設置されていた、と。

 

トイレやシャワーは、移動のコンテナ式でスタッフによって清潔に保たれており、コインランドリーや子どもの遊具を備えた避難所もあり、食堂も巨大テントで、キッチンコンテナで調理したばかりの料理を口にできる。「非常食」があるのは日本だけだ、と話す。

 

 

日本では、その数か月まえまで3.11の避難所で、被災者が並んでおにぎりや弁当を受け取るケースを目の当たりにしたせいか、衝撃を受けた、と。

 

日本は災害大国と言われるが避難所運営だけを見てもアメリカやヨーロッパの方が格段に進んでいる。イタリアも地震だけではなく、山火事も水害もひんぱんに起きる。アメリカも毎年のように、ハリケーンやトルネードにおそわれる。そうした中で避難所の環境改善や災害対策が進んだそうで、イタリアでは全人口の0.5%にあたる人たちに必要なテントやキッチン、トイレ、ベッドを備蓄している。10年以内に津波地震が予想されているシチリアでは今後は3%まで増やす予定だそうだ。

 

 

またイタリアでは、災害が発生すると政府から州の市民保護局に対して、72時間以内に避難所を設置するよう指令が下ります。ここでのポイントは、指令を受けるのは、被災した自治体の市民保護局ではなく、その周辺で被害をまぬがれた自治体の市民保護局という点

 

日本では被災した自治体の職員が避難所に寝泊まりして、管理、運営を担当する。当然ですが、被災自治体の職員も、被災者。避難所運営に奔走する自治体職員の姿が、日本では美談として取り上げられるが、アメリカやヨーロッパなら人権侵害、あるいはハラスメントとして問題になるだろう。

 

被災者がガマンを強いられるのは食事だけではありません。寒くて広い体育館で、冷たい床の上にあり合わせの畳やマット……なかには段ボールやビニールシートを敷いて眠る。3.11の避難所を撮影した写真をアメリカやヨーロッパの支援者に見せたところ「クレイジー……」と絶句されたそうだ。

 

硬い床に一日中すわって過ごすと足腰に想像以上の負担がかかる。3.11のある避難所では、1000人中、30人の高齢者が歩行困難になった。足腰が痛んでトイレに立つのがおっくうになり、水分を控える被災者も。そうなると脱水状態で血液が濃くなり、エコノミークラス症候群や脳梗塞、心筋梗塞を発症しやすくなるという悪循環に。また雑魚寝は床にたまった埃にウイルスや細菌が付着し、感染症のリスクも高くなるという。

 

避難所改善などの問題意識は、県の防災担当者には少しずつ浸透してきたが、被災者支援の中心となる市町村の職員にまでそうした意識が共有できているかと言えば、疑問。市町村の職員はたいてい3年程度で部署を異動する。経験や問題意識が蓄積されにくい上に、市町村には予算もない。

 

ある自治体でベッドやトイレ、キッチンを48時間以内に避難所に届ける仕組み作りを提案したところ「予算がない」「水や食べ物が先だろう」という反応。水や食べ物も大切だが、ベッドやトイレの導入、温かい食べ物の提供も災害関連死の防止には必要。

 

2019年の台風19号では、総務省は発災後かなり速やかに福島、長野、茨城、千葉の4県の担当部署に連絡し、段ボールベッドがどのくらい必要か聞きとりを行い、発災4日後には段ボールベッド会社から送付したが、保管場所は自衛隊基地などで、県の担当者も保管場所や送付先を把握していなかったため、被災者に速やかに届かなかったという。避難所の設置部署と運営部署が違う。発災事前の準備は総務省の管轄で、発災後は厚労省に代わるという縦割り行政の弊害

 

その弊害をなくすためにも災害専門省庁の設立が急務。専門省庁がないから、いつも発災後に補正予算をつけて対応するしかない。

 

イタリアでは災害関連の国家予算は約3000億円。この予算で、テントやトイレ、キッチンなどを備蓄し、搬送用のトレーラーやトラックのメンテナンスを行う。

 

イタリアでも、災害対策を行う市民保護庁が発足したのが約40年前。それまでは、現在の日本のように、災害支援は市町村に丸投げ。しかし1980年にイルピニア大地震が発生し、建物の倒壊などで約3000人が亡くなった。また災害対応の遅れで約1万人が避難生活で病気を発症し、命を落とす被災者もでた。そうした反省から、市民保護庁が誕生した。

 

イタリアは“災害関連死”を教訓として、災害専門省庁をつくった。日本の災害対策から抜け落ちている視点が“市民社会保護”という考え方。災害後に人々の暮らし、地域コミュニティーをできるだけ早く戻すこと。つまり生命を守るだけでなく、市民生活の復旧を第一に考えた災害対応。

 

まずは市民の命を助ける。その後、いち早く社会復帰を果たしてもらう。それが、市民生活の保障や経済の早期復旧につながり、被災者自身のためになると受け止められている。

 

現状のまま、南海トラフ地震や首都直下地震が発生したらどうなるのか。このままでは避難所で、高齢者や基礎疾患を持つ人は過酷な生活を強いられる。災害時の被災者支援は個人救済ではなく、公共の福祉。だからこそ、何よりも避難所の環境改善を急ぐ必要がある。

 

「体育館を避難所にする先進国なんて存在しない」災害大国・日本の被災者ケアが劣悪である根本原因 日本での「美談」は、欧米なら「人権侵害」「ハラスメント」になる | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

 

日本の被災者は、自ら動いて炊き出しをしたり、リーダーを決めて食料の割り振りをしたりするが、日本人の勤勉さとまじめさ、モラルの高さは、3.11でも世界で称賛された。しかし、中央政府はじめ、行政がそれに甘えていてはいけないのではないか。

 

段ボールすら、水すら足りないというニュースを見ると、「有事の際の備え」を、税金でしっかり行っていないことが露呈するではないか…。 これほど自然災害の多い国だというのに…。

 

ひとりひとりに「防災バッグ」を用意しろと呼びかけたって、あっというまに家屋倒壊したり火災が発生する状況で、どうやってそれを持ち出すというのか。そろそろ、自己責任論はやめたらどうか。

 

 

日本国民はこんなに残業をして少ない有給休暇すらろくに取れないで、一生懸命、毎日働きづめで税金を支払っている。

 

それだというのに、こういった有事の際に、国は、地方行政は、国民をどれだけ守ってくれているのだろうか。

 

日本人が勤勉で一生懸命で素晴らしい国民性を持っているというのに、イタリアよりGDPで劣り、韓国より平均給与が低くなり、年金がどんどん減らされ、若い人の間では閉塞感が漂い、大規模災害での被災者へのケアすらろくにできないのはなぜか。

 

それは、「一生懸命じゃないやつらが政治をしているからなんだよ。理由なんてそれしかないんだよ。だからちゃんと選挙行こうよ。」というツイッターを見て、うなずいてしまった。

 

反対の多い大阪万博に費やす予算があるなら、国はその費用をすべて被災者の救済に使ったらどうか。 大多数の国民は賛成すると思いますよ。

 

 

今日も金に汚い政治家や、中抜きしていた政治家のニュースがひっそり出ていたが、もっともなツイッターの呼びかけを見ても、きっとまたこういう汚い政治家に思考停止で投票する人たちが選挙に行って、生活に苦しんでいる人たちは行かないんだろうなあ、とちょっと絶望の気持ちになってしまった…。

 

安倍派裏金6億円規模か 議員「中抜き」も不記載疑い―パーティー収入事件:時事ドットコム (jiji.com)

 

<独自>森元首相の関与有無解明へ 東京地検、パーティー収入不記載事件 - 産経ニュース (sankei.com)