ジョン・カリイのレッスン | ロンドンつれづれ

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11月に行われるGPSの一つが、イギリスはシェフィールドで行われることになった。

 

シェフィールドはジョン・ウイルソンやMKといったスケートのブレードの老舗メーカーがあることでも有名。 羽生選手のブレードもおそらくジョン・ウイルソンのレボリューション、ゴールドシールかパターン99だと思うが、世界のトップスケーターが使っているブレードはほとんどシェフィールドで作られている。(私のはMKだが、この両社はもとは同じ会社だった)

 

(2) #JohnWilsonBladesさんはTwitterを使っています: 「Yuzuru Hanyu 🔥 https://t.co/vD42GdwmbQ」 / Twitter

 

 

もともとシェフィールドはナイフやフォークといったカテラリーの製造で有名。金属鋳物の街なのである。

 

で、そこにはアイスリンクもあり、ISUの公認解説者であるマーク・ハンレッティ氏がコーチをしている。 私はそこにたびたびスケートキャンプに行く。 そして私のスケートブーツやブレードは、そのリンクに併設されているショップで買うのである。品数が多いし、試し履きができるので良いのだ。

 

で、何が言いたかったかと言うと、現在のイギリスはトップスケーターがなかなか育たないので、「え、イギリスでGPS?」と思った方は多いと思う。

 

しかし、実はイギリスは古くはジョン・カリイ(1976インスブルック・オリンピック、男子シングル)、またロビン・カズンズ(1980レイクプラシッド・オリンピック)など、金メダリストを輩出、またアイスダンスではトーヴィル&ディーン組の「ボレロ」では満点が続出して記憶されている方もいるだろう。

 

ジョン・カリイは「男子スケートにバレエを持ち込んだ最初のスケーター」と言われるほど優雅なスケーターで、その人生は「ジ・アイス・キング」という映画にもなった。 当時男性フィギュアスケートは、力強さだけが求められ、ジャンプやスピードばかりが重視されていたが、もともとバレエダンサーになりたくて父親に禁止されていたジョンは、アイススケートならスポーツだから許すと言われ、始めたのがフィギュアスケート。そのフィギュアスケートにバレエダンサーの優美さを持ち込んだのである。 

 

その姿勢やポジションの優美さは当初評価されなかったが、美しさだけではなくジャンプなどのエレメンツも完璧にして見せたジョンに、オリンピック審査員は金メダルを与えたのである。「男らしさ」ばかりが求められていた男性フィギュアに優美さも必要、と認めさせた瞬間だった。

 

 

かつてイギリスには「ジョン・カリイ・メモリアル」という大会があって、今でいうチャレンジャーシリーズのようなものだが、町田樹氏が、これに2007年、ジュニアのころに優勝している。

 

そのジョン・カリイ氏のレッスン動画を、夫が送ってきたのである。どうやら最近放映されたらしい。 動画サイトから消えてしまう前に、皆さんにご紹介したい。生徒たちに口を酸っぱくして、姿勢の美しさを説いている。 ジョンがジャンプなどのエレメンツだけでなく、「美しいスケート」にどれほどこだわっていたかが分かる。

 

確かにイギリスからは現在なかなかトップ選手はでてこない。 しかしイギリスのコーチたちは「ポスチャー!エクステンション!腕を伸ばして、肩をおろして!首を長く!顎を上げて!」と姿勢に大変にうるさい。そしてガリガリと音を立てるスケートを嫌う…。まずは、基礎になる美しい滑りをしっかりと身に着けること。これがイギリス伝統のスケートといっても良いのではないだろうか。そして、日本のコーチたちもこの点は似ている。

 

大変に役に立つので、消されてしまう前にぜひご覧ください。動画サイトに飛んでみてください。各25分ぐらいずつ、5つの動画がアップロードされています。感謝してお借りします。

 

 

エピソード1

 

 

 

 

 

エピソード2

 

 

 

 

エピソード3

 

 

 

エピソード4

 

 

 

エピソード5