There is no place like home... | ロンドンつれづれ

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気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

 

 

大邸宅でもなければ、広大な庭でもない。 ほんのハンブルな(質素)な家と、イギリスで言えば、小さな庭である。 

 

それでも、離婚した子持ちの私が、頑張って家を手に入れておいて本当に良かった、と思えるのは、こんな晴れた午後、押し迫って何かをやらなくてはいけないというストレスもなく、庭にガーデンチェアとテーブルを出して、ゆっくり座ってひとりでお茶やランチなどを楽しむときである。(そう、夫は2階で仕事をしている…。いかにも読書をしているように見えるが、テーブルの上にあるのは萩尾望都さんの漫画である。そしてランチは、納豆ごはんである)

 

 

そんな時、猫がなんとなくそばにいて、一緒に時間を過ごしてくれるというのであれば、その幸福感はいや増すのである…。 

 

 

猫はもちろん自由気ままなので、こちらがそばにいてほしい時にいてくれるとは限らないし、勝手に庭を出たり入ったりしているが、呼べば4,5分以内には、「別に呼ばれたから帰ってきたわけじゃないけど」という顔付きをして悠々と戻ってくるのである。

 

 

飛んでいる虫を見ているミイナ。 1日に20匹ぐらい食べているに違いない…。

 

 

この近所は交通量も少ないし、子どもたちが学校に行っている時間帯は大変に静か、鳥の声が聞こえるのみである。 なんてのどかな時間なんだ…。

 

 

 

そんなひと時、漫画から目を移すと、 自分が手入れした花々が。

 

一冬を越してくれたオールドローズ。この渋い色合いが英国調。

 

 

 

そして、毎朝のナメクジ・カタツムリ退治で、元気が良くなったマーガレット。 これでもか、というぐらい花がついている。

 

 

 

 

夏の花々を植え替えて、ずいぶんと落ち着いてきたセンターピース。

 

 

 

 

これも、冬を越した鉢。春になって、ビオラが元気に。

 

 

 

 

黄色だけかと思っていたら、紫も咲いた池のアイリス。 オタマジャクシはまだたくさんいます。 先日、近所の4歳児が1時間ぐらい池のふちにねそべって、オタマを30匹ぐらい手ですくっておうちに意気揚々と持って帰りました…。

 

 

 

朝日があたるのは、池のあるフロントヤードの方。 ピンクと赤のバラも咲き始めた。

 

 

 

20年前に息子が作ってくれた、一応ジャパニーズガーデンは、海棠も椿もヤツデもアオキも茂り過ぎて狭くなってしまっているが…。 その先の藤は、相変わらずきれいだ。

 

 

 

昨年採れた種から植えたペチュニアは、まだ小さくてつぼみもついていないが、あと10日ぐらいで咲き始めてほしい…。 一応色分けした苗をバランスよく鉢に植え替えたつもりだが、どこに何色が出てくるか…。 ケシはたくさん発芽したのに、水をやり過ぎたのか、生き延びたものが少ない…。

 


 

 

そういえば、2,3日前に大きなキツネが庭に平気で入ってきて、びっくりした。 ちょうど友人が遊びに来ていて、庭でお茶をしていた時である。 

 

若い友人は「アッ、キツネ!」と驚き、「あんな大きな動物をこんな近くで見るのって、動物園以来です!」と喜んでいたが、私は手を叩いて追い出した。 ミイナがいるのに、こんな大きなキツネにここを自分のテリトリーと思われては困る。どうやら、草ぼうぼう、まったく手入れをしていない隣家の庭に住み着いている様子。

 

そして、昨日は隣家の庭で、おそらくミイナとそのキツネだろうと思える、すさまじい戦いの騒ぎが聴こえた。 「にやあお~~!ぎゃーおう!フーッ、しゃーっ!!」と、あまりの声に、思わず心配して「ミイナ、ミイナ!」と呼んでしまったが、しばらく帰ってこなかった。 

 

狐にやられたんじゃないか、と2階に駆けあがって夫に訴えたが「猫はそんなに簡単にキツネにやられないよ」とぜんぜん動じない。いや、飼い猫がキツネに攻撃されたというニュースもあるので、やっぱり心配。 前の猫も、首輪を残してある日忽然といなくなったので…。

 

しかし、しばらくしたら、ひょうひょうとした様子で帰ってきた。

 

そして私のそばにやってきて、おやつを催促。

 

 

 

怪我をしていないかチェックしたが、大丈夫だった。 けっこう大きめの鳩もハントしてしまう野生の強いミイナである。 案外、強いのかも…。しかし、あのキツネは、ミイナの4倍以上はある。ちょっとした大きな犬ぐらいあったのである。

 

 

 

今日は1日、風もなく強い日差しがあたって、夏日だった。 私はカモガヤの花粉症があるので、ちょうど今頃は庭にでると鼻と喉、目がかゆくなるのだが、朝クラリティンを飲んでおいたので、あまりひどい症状はでなかった。 猫はちょっと暑かったのか、ガーデンチェアの上で寝ようとしていたが、どこかへ行ってしまった。

 

 

しばらくして、家の中に入ると、ちゃっかりキャットタワーの上で熟睡していた。 どこが涼しいかよく知っているのだな。

 

 

 

熟睡している猫のおなかや肉球のにおいをかぐと、幸福感が…。 猫って、ひなたのにおいがする…。

 

 

 

 

明日のミーティングの下調べも庭でジュースを飲みながらゆっくり行い、夕食は夫の作ってくれた「チョウメン」を食べて、ジブリのラピュタを久しぶりに見て、楽しんだ。

 

 

ああ、What a life.... なんにもたいそうなことをしなくても、こういった平凡で幸せな毎日を送れることを、本当に神様に感謝したい。

 

 

現役で仕事をしていた時は朝6時半に家を出て、夜は11時、12時まで残業。 お休みの日も常に頭は仕事モードで、テレビをみていても、何かあったらすぐにメモをとり、仕事に利用する…。もちろん仕事のメールは365日チェックしない日はない。日本に帰国して実家でくつろいでいても、1日300通を超す仕事のメールは目を通して返事を出していた。 気持ちが仕事からオフになることはほとんどなかったのである。

 

 

そういうのがもう、気力も体力も「無理だな…」と感じて、63歳の時に退職したのだが、もちろんその後もぽつぽつ単発の仕事はしているし、ボランティアで児童福祉関連のNPOの理事などは引き受けているので、そっち関係でやることはあるとはいえ、フルタイム+残業まみれの時とは比べられない。

 

 

昨年1年は本を1冊翻訳したので、それはけっこう大変だったが、それも12月に出版したので、今が一番気持ち的に楽なのかもしれない…。頸椎ヘルニアは痛むし、神経性の胃腸炎はたまに起こるが、とりあえず、67歳にしては健康だと言えるだろう。 これまで気をつけているので、幸い、コロナにも感染しなかった。

 

 

年金はスズメの涙ほどしか出ないが、なにしろ家賃がかからないということは大きい。 プラス、優しい夫が食わせてくれて、おこずかいもくれるのであるから、私はスケートに通うこともできる。 貯金はできないけれども、イギリスはワクチンも、がんの検査も、定期的に連絡がくるし、医療費は無料なので、いざ病気になってもあまり心配はしなくてすむ。

 

 

とりあえず、今のところ、健康で、好きなことができて、夫と猫がそばにいてくれる。 これを幸せと言わずに何を幸せと言うのだろうか。 しかし、人生どこで何が起こるかわからない。こんな幸せも、永久に続くとは限らないのだから、手にあるうちだけでも精いっぱい楽しんでおこうと思っている。

 

 

豪華クルーズ旅行ができなくたって、ロンドンの高級レストランでアフタヌーンティをしなくたって、年に1回日本に帰国して息子や父や妹、姪っ子たちに会えればそれでよいし、自宅の庭で手作りのスコーンでクリームティをした方がおいしい。

 

 

よく昔、家族旅行にでては、家に帰ってくると父親が「あ~、うちが一番いいな!」と狭い我が家に帰れたことを喜んでいたが、(そして今も入院から帰ってくると「あ~、うちが一番だ!」というが)、子どもだった私は人の家に泊まりに行ったり旅行に行ったりする方が家にいるよりもずーっと楽しかったので、実に不思議だった。

 

しかし、今自分がこの年齢になってみると、「わが家が一番安心でくつろぐ。 自分が大切に思う人や猫やモノに囲まれて、自分の好きなものを好きな時間に食べられるのが、一番幸せ!」ということが良くわかる。

 

「オズの魔法使い」で、ジュディ・ガーランド扮するドロシーが、There is no place like home! (おうちほどいいところはないわ!)という有名なセリフがあるが、どれほどエキサイティングな冒険を楽しんだとしても、最後にたどり着きたいのは、やはり暖かい我が家なのだ。

 

おそらく、その狭い世界で(狐とけんかしたりしながら)冒険をしてくるミイナも、我が家が一番だ、と思うからちゃんと毎日帰ってきてくれるんだろう。

 

 

ね、そうだよね、ミイナ!

 

 

 


 

 

 

保護猫は、虐待された経験があったりするから、人間になれるのはなかなかたいへん、ということも聞くが、我が家のミイナは(抱っこはキライだが)おなかを出して寝るので、きっと安心しているのだと思う。

 

 

 

動物も、人間の子どもも、「おうちが一番!」と思って安心の基地にして、冒険から帰ってくる場所になっていれば、きっと毎日すくすく育つんだろうな。

 

 

もう育っちゃった大人だって、「わが家が一番」と思えることが大切なんだから。

 

 

 

庭の花を切って、トイレに飾った。 夫は気が付いているんだかいないんだか。

 

こういうことも、私の幸せのひとつなのである。

 

 

 

幸せは、ちょっと手を伸ばせばそこにある。

 

先日、ママ友に支配されて自分の5歳の息子を餓死させた母親の裁判を読んだが、自分の夫が浮気していると信じ込まされ、子どものしつけの方法まで介入され、生活保護費をほとんど巻き上げられていたようである。そこまで自分を見失う大人になってしまったのはなぜか。母親の育ちに関心がわいた。もちろん、支配していた加害者の育ちも問題である。

 

 

自分にとって大切な人はだれか。大切なものは何か。 自分の人生をどのように生きるかは自分で決める、というシンプルなことが分かっていれば、多くのものを持たなくても幸せになることはできるはずだ。人の言うこと、人のモノサシに惑わされることなく…。

 

 

そして、強い人が弱い人を優しい気持ちでいたわることを忘れないよう、強いものが支配することを許さないよう。 それは人と人の間でも、国と国のあいだでも同じことだ。

 

 

大切な人との平凡な日常こそ、なによりも貴重な幸せであることを思えば、もっと人々は穏やかに生きることができ、他人への攻撃性をおさめ、世の中の色んな無駄がなくなるのに、と思う。

 

 

小さくても良いから自分が自分でいられて人から侵略されないスペースを持ち、自分のことは自分で決められる自由を持つこと。 それだけのことを奪われている人々が、案外世界中にいるのかもしれない…。

 

それを思うと、天気の良い昼下がりの自宅の庭での平凡な幸せでさえ、とてつもない贅沢をさせてもらっているような罪悪感さえ湧いてくるのである…。

 

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後8日!

 

私は、5月の24日にドイツで行われたISU公認、アダルトスケート競技会の60歳―70歳の部門に参加することをチャリティ・チャレンジとして、6月25日までクラウドファンディングでの寄付活動を支援しています。 支援しているのは、子ども食堂「ピノッキオ」です。

 

皆さまの暖かい応援、ご支援で、5月26日には目標金額の80万円に達しました。本当にありがとうございました。 ピノッキオでは100万円のネクストゴールを設定したようです。寄付の締め切りである6月25日まで、ひきつづき少しでも多くのご支援をいただけるようお願いしたいと思います。家賃だけではなく、光熱費、食材費、水道代など、支出先はいくらでもありますので、あと8日間、続いてのご支援をいただけると助かります。

 

一度ではなく、2度、3度とご寄付をいただいている方もいらっしゃいます。心よりお礼を申し上げます。また、クラウドファンディングではなく、ピノッキオのゆうちょの口座に複数回振り込んでくださった方もいらっしゃいます。お礼を申し上げます。

 

以下のリンクをクリックすると、ピノッキオのクラウドファンディングのサイトに飛びます。ピノッキオの活動の趣旨など詳細が載っています。 主催者は、早稲田大学の人間科学学術院の元教授、川名はつ子先生。

 

虐待を減らそう!子どもや保護者のための居場所「ピノッキオ」を存続させたい!#北区 - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)

 

 

24日のドイツでの試合の様子は以下の動画で。転倒せずにプログラムをやり終えるというチャレンジは、なんとか成功しました。

 

 

 

直接ピノッキオの郵貯の口座に振り込んでくださった皆様には、メールでのお礼ができないということで、この場でお礼を申し上げます。 これまでのところ、40万円を超す直接の寄付が集まっております。 こちらも本当にありがとうございました!

 

クラウドファンディングでは非営利団体向けの、Good Morningという部門で、クレジットカードでの寄付が可能です。 メールアドレスとユーザーネームを登録するだけで、海外からも寄付が可能です。

 

ご自分の希望の支援金額を「リターン」というところから選び、メールアドレスを登録して、先へ進んでください。 これは起業などではなく子ども食堂の支援ですので、物品のリターンは無く、お礼のメールだけが届きます。

 

また、クラウドファンディングではなく、郵便局や銀行から直接寄付を行う方が良い、という方は、以下にお振込みをお願いいたします。

 

●ゆうちょ銀行間での振り込み
【振込口座名義】シャ)ピノッキオ
【記号】11370
【番号】07694211

●他銀行からゆうちょ銀行への振り込み
【振込口座名義】シャ)ピノッキオ
【支店名】一三八(読み イチサンハチ)
【支店コード】138
【預金種目】普通預金
【口座番号】0769421

 

ピノッキオのホームページより

一般社団法人ピノッキオとは (studio.site)

 

皆様の優しい応援・ご支援・ご寄付を、どうぞよろしくお願いいたします!