グルノーブルは思ったよりずーっと暖かく、思ったよりずーっと都会でした。
サンジェルベに行ったときは、本当に山の中のひなびた綺麗な街で、ホテルをでてリンクまで歩くと深い渓谷や川があり、街並みも村、という感じ。レストランやお店もあまりたくさんはなく、歩いてすべて見られるようでした。
グルノーブルは、駅からリンクまでも市電で30分ほどかかります。またリンクのすぐ横には大きなショッピングセンターがあり、ブラック・フライデーのセールスがあったせいか、人でごった返していました。
それでも町の周りには山があり・・・。 でも自然を満喫しようとするなら、試合観戦の合間にちょっと、というのは難しいな、という大きな都市でした。
世界のスケオタの間で、フランスでの競技会はちょっと評判が悪く、私たちもこれまでパリ、マルセイユ、ボルドー、そして今回のグルノーブルと見てきましたが、イベント別にチケットを販売、その都度に全員を建物から追い出して、再度並ばせてセキュリティチェックをするということをするのが、たいへんに面倒くさい。 ついこの間のヘルシンキのGPSも、イベント別にチケットを販売しましたが、建物の外に追い出すということはありませんでした。 リンク周りの座席から外にでればOKでした。再度座席に戻る時に、たくさんある入り口でチケットを見るだけですから、時間はまったくかからず。
フランスでは今回もやっぱり男子シングル・ダンスの後は、全員を建物の外に追い出して再度並ばせるということをやってました。入り口はたったひとつ、セキュリティはたった二人。もちろん、百メートルを超す長蛇の列です。 雨が降っていなかったから良かったですが、パリの時なんか寒くて雨が降っていて風も強くて、外で1時間半も待たされて、傘があっても濡れて本当につらかったのを覚えています。 しかし、女子・ペアのチケットだけを買ってくる人たちもいるので、座席をいったん空けるのはしかたありません。特に、指定席ではなかったので・・・。
しかし指定席ではないとなると、これは良い座席の争奪戦になります。オータムクラッシックで、会場が開いたとたんに修羅場になり、靴が落ちていた、という話も聞きました。 グルノーブルでは、イベント終了後は建物を出てくださいということだったのに、座席に毛布やおせんべいなど私物を置きっぱなしにして「場所取り」をする人たちが大勢いました。私たちは先のイベント終了後、荷物を全部持ってすぐにでて並びなおしたので、列のほぼ先頭。1時間半も並んでやっと入ってきたら、ほぼ空のリンクの座席に、私物がいっぱい。私たちより先に並んでいた人たちは、女子・ペアのチケットをもって、きっと2時間近く並んでいた地元の人たちです。先頭で入ってきて良い座席に座ろうとしたら、もうこの状態でびっくりしていました。
しかし、これも、自由席の上、イベントごとに外に追い出すからこういうことになるのではないでしょうか。 自由席だというなら、オータムクラッシックのように厳しく「私物で場所取り」をすることを禁じないと、こういうことは横行するような気がします。 今回のフランス杯、それほど混んでいなかったからこれでもOKだったかもしれませんが、羽生君が参戦するような試合でこれをやったら、大変な混乱が起きるだろうなと思いました。 来年のファイナル、どうやらフランスで行うようですが、この運営で大丈夫か。
パリでも客を外に延々と並ばせた上、少ない入り口でセキュリティチェックを再度していた時は、人々が半分も入りきらないうちに試合が始まってしまい、みんな怒ってました。 だって、まずリンクから人を追い出すのにすごく時間がかかり、全員が出終わってから、次のイベントの人たちを入れようとするから間に合うわけないんですよ・・・。 選手が演技をしているのに、座席の間を人がウロウロ、もう座ってみている人にとっても、大変に迷惑でした。
英語のファンサイトには、「大丈夫か、来年のファイナル。 ヘルシンキが両手を広げて待ってるよ~!なぜヘルシンキでやらないの!」という声がたくさん。 ほんと、なんでヘルシンキでのGPS、あるいはファイナルをレギュラー化してくれないんでしょうかね。 フィンランドの運営は、いつも本当に素晴らしい。 この間もたった2か月半で引き受けたというのに、まったく手落ちもなく、スタッフもボランティアも優秀であたたかくて・・・。 あれほど多くの日本人が押し掛けたのに、当日の混乱もなく。 トイレも便座があるし(ここ大事)、並ばないし。 ISUに手紙を書かなくちゃ・・・。
ところで英語ファンサイトでは、フランス杯の前に面白いアンケートが話題になっていたのをご存知でしょうか。
それはフランス杯のメダルのこと。
前回、星の形をしたプラスチックのオブジェがメダル(あるいはトロフィ)代わりでした。これが評判悪かったようで、今年のはどういうのが良いか、というアンケート。
選ぶ項目として「絨毯のサンプル(通常小さい四角に切ってある)」とか、「ヨーグルトのふた」とかいうのがあって、大笑いしました。 なに、それよりひどいというのか・・・。 確かに星形のプラスチックには、なに、これだけ?という感じがありました・・・。
で、今回は競技開催中に選手紹介で、なんども花火をシューッと上げたんですが、「あんなものに金を使えるんだったら、今度のトロフィーは昨年のプラスチックの星よりはましなんだろうな」というコメントがファンの間で飛び交っていました。
ところが、今年はなんと6角形のアクリル板・・・。 うむむむむ・・・・。
あっという間に、ファンがこの写真をアップ。 「これが今年のトロフィに対するパパダキスの感想だ・・・」と。 また大笑いさせてもらいました。 ははははは!
https://twitter.com/outofcontextfs/status/1066388148140343297
ちなみに、紀平さん、三原さんは、これのピンクバージョンでしたね。
これと、箱のふたを開けた時計と花束を渡され、さらにオフィシャルのおじさんおばさんに握手を求められて、台の上の選手たち困ってましたね。
もしかしたら、著名なデザイナーに高い金払ってつくったトロフィーかもしれませんが、わたしは、やっぱりメダルの方が嬉しいと思うんだよな~、選手たちは。
それも透明のプラスチックじゃなくて、ちゃんとしたメダルですよ・・・。金の。
表彰式の後の紀平・三原両選手のファンサービスについては前記事にも書きましたが、選手たちは本当はファンとの交流を楽しんでいるんだなあ、と改めて感じたひとこまでした。スケ連の人は止めてましたが、三原選手、最後の最後までファンサービスしてました。 そういえば、羽生選手もソチオリンピック前の2012年のフィンランドの試合などでは地元のちびっ子スケーターたちにたくさんサインをしてあげてました。 そして同じ試合で、リプニツカヤ選手やキーラ・コーピ選手が、延々とサイン帳に書き込んでいる姿も覚えています。あのリプニツカヤ選手ですよ!当時14歳。 にこりともしないでやってましたが、でも一人残らず、全員に書いてましたね。30分以上かけて・・・。
おそらく、自分も小さいころにスター選手にサインをしてもらい、嬉しかった経験があるのでしょう。だから、小さいファンたちを大切にするんですね。ところで、羽生君が有名になった後はサインをねだるのはほとんどが日本人の大人になってましたが。でもフィンランドではいつもリンク際の座席に子供たちを大勢入れてやって、子供がサインをもらえるようにしてあげるのがしきたりなんですよ…。
ところでメドベデワ選手が心配です。インタビューで、「メンタルが弱かった」と話したそうです。 環境を変え、これまでは上から言われたことをその通りやっていれば良かったのが、民主的なカナダのクラブに移動し、「どうしたい?」と自分のチョイスを尊重されるようになり、これが案外難しいのかもしれません。 基礎技術の叩き直しも行っているようで、試合で高得点をとれる技術とはまた違った部分の土台をつくりなおしているとすれば、それには1-2年はかかるでしょう。
少女の体型のうちに跳べるジャンプと動きをつめこんでスコアを上げる方式から、大人の女性の体になっても滑り続けることのできるスケート技術につくりなおすのは時間がかかると思います。 大人スケートの理想は、カロリーナ・コストナー選手のような滑りでしょう。 ジャンプ力は衰えてきても、美しいスケート技術。
今回、初めて表彰台を逃しても、負けないでスケートを続けていってくれることこそ、真の意味でのロシアスケートへの貢献になることと思います。 カナダで手に入れた教授法をきっといつかロシアに持ち帰り、16、7歳までしか通用しないというロシア女子スケートを改善してくれるでしょう。
そして、ソーシャルメディアはしない方がいいです! ファンが無責任に色々言うことは、見ない、聞かない。 それに越したことはない、と思います。 選手のうちは自分の練習と競技だけに集中してください。本当に意地の悪いひどいことをいう人たちはいますから・・・。 今このスランプを乗り越えた時、本当に強いメドベデワ選手が生まれるはずです。
さて、午後のガーラも楽しんできます。
今回も、お声をかけてくださった皆様、本当にありがとうございました。
お話しできて、嬉しかったです!