ルール変更会議 | ロンドンつれづれ

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新たなシーズンに向けて、ISUで6月に討論されるルール改正について、各国からの提案が発表されたようである。(https://www.isu.org/communications/17037-isu-communication-2156/file)

 

 

このルール改正の提案を基に、ISUでの話し合いが行われることになるが、今まで噂で出ていたことの他にも国によってはいろんな希望や提案があるようだ。

 
例えば、ノルウェイの提案は、ジャッジを二組に分けて、半数がGOE担当、半数がPCS担当にした方が良い、といっている。(例えば、5人ずつがGPシリーズで、7人ずつが世界選手権やオリンピックなど)
確かにそうした方がどちらかに集中して注意を払うことができるかも。そして、誰かに贔屓をしようとするジャッジがいたとしても、その効果は半減されるだろう。
 
カナダと日本は、後半に跳ぶジャンプの数を制限するべきだ、と提案している。たとえば、SPで2回、フリーで4回に(カナダ提案)、あるいはSPで1回、フリーで3回まで(日本提案)とする、など。 そうすれば、トウトベリッツ門下生のようなプログラムを防ぐことは、確かにできる。
 
日本はさらに、フリーで6回の「クリーンな」トリプル、あるいはクワドジャンプを成功させた選手には、ボーナスポイントを与えるべき、と提案している。
 
オランダは、男子スケーターのPCSの倍率を上げて、その高い技術スコアに合わせるべき、としている。現在PCSは50点の満点に、SPで1.0の倍率だが、これを1.2にして、60点まで上げる。フリーでは、現在満点に2.0の倍率だが、これを2.4にして120点にする、と。 これだと、またあっという間に世界歴代最高得点が出されそうですね…。
 
オランダはまた、転倒に対しての減点の廃止も提案している。3回目の2点引きの減点、4,5回目の3点引きの減点もだが、1回目の転倒の減点も廃止、と。 たしかに転倒するとGOEでかなり減点されているから、その上さらに減点されるのはかわいそうかもしれない・・・。GOEが5点のプラマイということになれば、その差はもっとひろがるかもしれないし。 オランダは、転倒、大きなエラー、演技の中断などはPCSにも反映されるべき、とも提案している。たしかに、転倒やハンズダウンがあってもPCSがとても高いというスケーターもいる。
 
ISUは、GPシリーズの試合に関して、1-3位にランクしているスケーターはかならず最終グループの後半で滑るべきで、その中でドロウをして順番を決める、その他のランクの選手も同じようにする、と提案している。 そうなると、試合運びとして強い選手が必ず最後の3人に入ってくる、ということで、ますますテレビは順位の低い選手の演技を放映しなくなるよな~という懸念が…。
 
ISUはまたSPのソロジャンプの前に規定となっていたステップをやらなくてもよい、という提案もしている。もっともこれは、今でもちゃんとやっていないスケーターはたくさんいるが・・・。だから廃止にするのかな?しかし、ちゃんとステップを入れれば、GOEで反映する、という提案をしているようだ。
 
ISUの提案として大きなものは、アジェンダの261番の、「どんなクワドジャンプも、繰り返してはいけない」というものだ。たとえ、コンビネーションに入れても、と提案している。 こうなると、4回転を2種類以上持っていないスケーターにとっては困る改訂になるだろう。彼らはクワドをフリーで1回しか跳べないことになる。コンビネーションにも入れられなければ、そこで10点ほど今より低いスコアになってしまう。もっとも、そうなると、クワドを1回も飛ばないスケーターにとってみれば、今までよりも順位が上がる可能性は高くなるが。 このルールになると、表彰台に上る可能性を持つスケーターは大変に限られたものになる。
 
一つの種類のクワドを1回ずつしか跳べないとなると、スケーターたちは跳べるクワドの種類をひとつでも増やそうとやっきになって、今より怪我が増えるかもしれない・・・。 試合では、完ぺきに跳べないクワドを無理に入れてきて、転倒が増えるかもしれない。 転倒の減点を廃止すれば、この傾向はさらに強まるだろう。 このルール改正は、しないでもらいたい、と思う。 選手たちに健康でいてもらうためにも、そして試合で完ぺきに近い演技を見せてもらうためにも・・・。
 
ISUはまた、コレオシークエンスの廃止も提案をしているようで、PCSのコンポネントでのトランジションを要求するだけという提案をしているようである…。
 
と、ことほど左様に、6月のISU総会では、各国から様々な提案がなされ、ルール改正の最終討議が行われるようである。
 
新シーズンではどんなルールの下で競技が行われるのだろうか。
 
それにより、振り付けも微調整が必要だから、6月に結論がでるまでは、みんな待っているのだろうか…。きっともう選曲はすんでいるスケーターさんが多いんだろうけれど。
 
ドキドキしますね!