友人の死 | ロンドンつれづれ

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あまりに突然だった。



先週金曜日おそくに、前の職場の友人から Give me a call... という短いメールが入ったが、それに気がついたのは日曜日、自宅で仕事のメールチェックしていた時だった。



月曜日の朝、彼女に電話した。


ちょっと胸騒ぎがしながら・・・「なんだろう?メールに書けないことって?」と。




共通の友人の死だった。金曜日の朝だったそうである。仕事にいく支度をしているときに倒れたという。




彼女は、外務大臣と防衛大臣の今週の訪英のロジにかかわっていた。体はきつくともこれだけは自分が責任を持ってと亡くなる前日も働いて、手はずはすべて整えてあったそうだ…。

今回、2+2と呼ばれる閣僚会議で日英防衛協力などが話し合われ、日本人拉致問題に関しても、テロの専門知識の高い英国の全面協力を得ることになった。





亡くなった友人は、まだ44歳。



早すぎる・・・・。




彼女は夫が2年前に脳梗塞を起こして倒れ、その後のリハビリに大変に苦労していた。彼はまだ重い言語障害がのこっており、半身不随である。



そんな彼女と定期的に食事をしては、話をきいたり励ましてきたりした。




ここ数年の彼女の生活は、本当にストレスの多いものであった。




11月中旬、私たちは夕食を一緒にすることにしていたのだ。まめな彼女は、連絡が途絶えがちな私に、いつも積極的にメールをくれては、夕食会をセッティングしてくれていた。



そんな彼女の方からキャンセルの連絡がはいったのは、予定していた日のほんの3,4日前のことだった。




「急にフランスに行ってくることにしたから、悪いけれど、12月にまたしきりなおしたい」と。



ちょうど忙しかった私は、彼女のメールの内容にあまり注意をはらわないまま、「いいわよ、わかった。じゃあ、12月にまた連絡頂戴ね!」といって、そのままにしてしまったのだ・・・。




そして、あっというまに12月になり、私は帰国休暇になってしまって今にいたる。




あまりのことに、絶句した私に、「死因はまだわからないのよ。朝起きてきて、急に倒れて、救急車の中で亡くなった」と友人は私に告げた。




彼女から最後に来たメールを探した・・・・。



「最近、体調が悪く、夜も寝ていると首が痛くて何度も目がさめてしまいます。



ちょっと休みを長く取って、フランスにいってゆっくりしてきますので、申し訳ないけれど・・・」



そう書いてあった。





自分を責めた。



どうして、「フランスから帰ってきたら、すぐに医者にいったほうがいい」と強く勧めなかったのか。




どうして、彼女の発していたサインを見落としてしまったのか。



この半年ほどは、食欲もあまりないといってやせていた彼女。




自分を責めつづけている。




彼女がここ数年、精神的にとても大変だったことを知っていたのに。



どれほどのサポートをしただろうか。





きっと、何の役にもたっていなかった・・・・。



遅すぎる。





遠いイギリスの地で日本の家族と離れて暮らす私たちは、往々にして異文化を持つ夫と暮らし、仕事でも家庭でも、英語でコミュニケーションをとらなくてはならない。



これは、時としてかなりきついことであり、日本語だけで話すことのできる日本人の友人と定期的に会って、思い切り愚痴をいいあったりすることは、必要なのだ。



海外で、現地人に混じって仕事をして暮らしている人は、気を抜けない戦場のフロントラインにいるような気がするときがあるのだ。



そんなロンドンでの戦友ともいうべき友人が亡くなってしまった。





あまりにも若く、あっけなく逝ってしまった。




今はまだ、涙を流す気にもなれないのだ。なんだか信じられなくて。



亡くなる前の日も、立つこともつらそうで杖を突きながら残業していたんだってね。そんな責任感、悲しすぎるよ・・・。どうしてもっと自分を大切にしなかったの。

でもあなたがやり通した仕事は、きっと多くの人の役に立つ…。そう信じているよ。


あまりにも早いお別れで、まだなにを言っていいかわかりません。




残された彼のことが心配ですが、きっと彼のご両親とともにフランスに帰国していくでしょう・・・。彼は、あなたなしにひとりでロンドンで生きていく気持ちはきっとないでしょうから・・・。





さようなら。Nちゃん。たくさんの優しさをありがとう。





そして、最後のメッセージのサインに気がついてあげられなくて、ごめんなさい・・・・・。