マタニティ・ハラスメント | ロンドンつれづれ

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マタニティ・ハラスメントという言葉があるとは、初めて知った。


今朝のJSTV,NHKのニュースでやっていた。


職場での、妊娠している女性職員に対する嫌がらせだそうである。嫌がらせどころか、解雇されたり辞めるように上司から言われたりするという。あいかわらずそんなことをやっているとは・・・。


まったく、なんて情けないことだろうか。もちろん、すべての会社でこの手のハラスメントが行われているとは思わないし、思いたくはない。


そもそも、女性のマタニティ・リーブ(産休)は法律で定められていることであり、妊娠した女性に対してそれを理由に解雇したり、あるいは職場の異動を命ずることは法律違反である。


ここで、私のフィンランド人の友人の言葉を思い出した。男女が真の意味で社会で同等に活躍するには、育児休暇は男女等しくとれるようでなくてはならない。しかも、とらない場合の罰則が必要、これは、本人と会社の両方に罰を課すことが必要だと彼女はいった。北欧では、そうやって法令化された内容を、現場で必ず実践するように確認しているという。


罰がなければ法律があっても守らないと言うのは、情けない社会ではあるが、それが現実ならばぜひ罰則を設けてもらいたい。


少子化対策、女性の労働力導入といくら政府が騒いでも、社会の規範がそれに追いついていなければ何にもならない。社会全体が子供を生み、はぐくむと言う文化がなければ、女性だけの負担になり、そんな状況で何人も子供を産もうという女性が減ってきたところで驚くには値しない。


女性が子供を産んで育てやすい社会とは、保育園の充実だけではない。また、子供に補助金を出せばすむ問題でもない。それらは大前提であって、5時までしか預からない保育園や、病気児童の問題、お母さんたちのフレックス就業を渋る企業や、子供の病気で早退するお母さんに意地悪をいう同僚など、社会の意識が低すぎるのだ。


少子化は、まったなしの国家的危機であることを、もっと社会に広く、何度も繰り返し訴え、協力しない企業に対しては罰則を科するぐらいの強い態度で臨まなければ、2050年には日本の人口は半分以下になっているだろう。(もちろん、収められる税金は半分以下どころではないだろう、だって非正規労働者が半分以上いるんだから)。


子供を生んで育てたことのある人までが、妊娠した職員に冷たいというのは、抜けた穴を周りの職員がカバーしなくてはならないからだ。ただでさえ仕事量の多いところへ不定期に他の職員のカバーを押し付けられるから、文句も言いたくなるのに違いない。女性が妊娠して、お休みをとったり、子供を生んだ後にフレックスタイムになることを企業は最初から予測して、それに対応するだけの人事をすればよいのだ。


そのためにかかる費用は、税制を優遇することで奨励すればよいのだ。アベノミクスは法人税の引き下げを、経済活性化の一つにあげているが、一律に法人税を下げると言うことをしないで、税金をうまく使って、企業風土を国の政策にあった態度に導けばよいのだ。


子供を産み、育てることに優しい企業がふえないかぎり、女性は「産まない」というチョイスをするだろう。あるいは、ギリギリまで待って、高齢出産になり子供ひとりでやめてしまうか、高齢のため妊娠できなくなって、不妊治療に莫大なお金(税金も)使うのが関の山だ。


政治は、先を見通して政策を立てるべきだし、まともな政策があるのであれば、社会は従うべきである。法律があってもしたがわない社会であれば、罰するしかないのだ。ムチとアメをうまく使って、社会を望む方向に導いていけばよいのだ。


マタニティ・ハラスメント。まったく。


セクハラ、パワハラ、モラハラ、いったいいくつでてくるんだろう。

大人の社会でありながら、相手の立場に立って考えれば、こんなにたくさんのハラスメントは生まれずにすむはずだ。どれも、弱いものをいじめるという点では一緒である。


情けないことだ。


女性よ、マタ・ハラに負けないで欲しい。妊娠したってやめなくてもいいのだ。

お母さんになったって、辞める必要はないのだ。法律であなたは守られているはずだ。 


闘わずして、自分の権利を投げ出さないでほしい。