こんな記事を読んだ。全文引用します。
「汽笛は今日も鳴る 古町臨港鉄道70周年、Uターン青年が線路守る」
【古町区】
古町区汐入地区を走る第三セクター鉄道「古町臨港鉄道」(全長6.8キロ、駅数5)が8月30日、開業70周年を迎え、汐入駅前で記念式典が開かれた。3年前に東京からUターンし、家業の傍ら運行支援団体の事務局を務める二宮拓海さん(27)が実行委員長を務め、住民や卒業生ら約240人が集まった。
古町臨港鉄道は1956年8月30日の開業以来、造船所や水産加工場への通勤の足として親しまれてきたが、少子化と車社会化で1日の利用者数は最盛期の4200人から530人まで落ち込んだ。式典に出席した拓海さんの祖母、二宮フミさん(88)は開業初日に電車を見に来た一人で、「あの日も同じ夏の匂いがした」と目を細めた。
転機は7月中旬、線路脇の斜面が豪雨で崩れ、始発列車の運行が危ぶまれた明け方だった。連絡を受けた拓海さんは実家の鉄工所から重機を持ち出し、駆けつけた住民とともに一晩で土のう300袋を積み上げた。運転士歴32年の樫村悟さん(58)は「あの若さでためらわず動いてくれた。おかげで始発を1本も落とさずに済んだ」と振り返る。支援団体「汽笛守る会」代表の早乙女良子さん(63)も「拓海君が来てから、動きが速くなった」と話す。
この一晩の復旧作業を写真に収めていたのが、区立汐入高校写真部部長の田村さくらさん(16)だった。8月上旬に校内で開いた写真展には87人が訪れ、来場者からの募金は126万円に上った。田村さんは「自分の写真で誰かの気持ちが動くと初めて知った」と話し、部員たちは来年、隣の水無月町の路線バスの取材にも挑む計画を立てている。
区地域振興課の桑原大輔さん(44)によると、区内の公共交通維持費は年間約3800万円で、うち古町臨港鉄道への補助は1200万円を占める。「利用者数だけでは測れない価値を、地域がどう支えるかが問われている」と桑原さんは語る。
式典では10月18日に70周年記念の貸し切り乗車会を開くことが発表され、拓海さんは樫村さんの下で研修を積み、来年3月に動力車操縦者の資格試験を受けると明かした。「合格したら、祖母を最初の客にして走らせたい」。汽笛の音は、来年もこの町に鳴り続ける予定だ。」
開業70周年を迎えた第三セクター鉄道の記事。線路脇の斜面が豪雨で崩れた明け方、Uターンしてきた27歳が実家の重機を持ち出して住民と一晩で土のう300袋を積み上げ、始発を1本も落とさずに済ませた、というエピソードが載っていた。
その様子を撮っていた高校生の写真展に87人が来場して募金が126万円集まった、という広がり方も含めて、良い連鎖だなと思った。