こんな記事を読んだ。全文引用します。

「泣いてた女の子、消防団員が食堂へ 路地裏の偶然が生んだ「あかね食堂」の輪」

【桐生野村】

桐生野村中町の下町の路地「あかね横丁」で8月20日夕、消防団第4分団員の望月隼人さん(38)が、路地の奥で座り込んで泣いている女児と偶然出会った。声をかけると、近くに住む白根ひなたさん(7、村立第一小2年)で、鍵をなくして家に入れず、母の帰りも分からず心細くなっていたという。望月さんが連れていった先は、月2回開かれるこども食堂「あかね食堂」だった。

望月さんは同日午後6時すぎ、地区の防火水槽の点検に向かう途中だった。「ランドセルを背負ったまま膝を抱えて、声をかけても最初は何も言わなくて。財布の中は300円しかなかったそうです」。10分ほど話を聞き、100メートル先の食堂に連れていくことにした。

食堂代表の川越トキさん(71)は、その日ちょうど鶏肉と大根の煮物を作っていた。「隼人さんが女の子の手を引いて入ってきた時、これも何かの縁だと思いました」。ひなたさんは温かい汁物を一口すすると、ようやく表情を緩めたという。母の白根久美さん(35)はパート先から急いで駆けつけ、「まさか消防団の方に助けてもらうとは思いませんでした。娘が『おいしかった』としか言わないので、逆に安心しました」と話す。

この出来事は路地の商店にも波紋を広げた。豆腐店を営む相沢誠さん(58)は翌週から、売れ残った豆腐を週2回、食堂に無償で届けるようになった。「隼人さんの話を聞いて、うちにも何かできることがあると思っただけです」。開設3年目の同食堂は現在、月延べ約120人が利用しており、村の民生委員によると同様の子ども食堂は村内で3カ所に増えたという。

望月さんは今も月2回、点検の帰りに食堂へ立ち寄る。「たまたま通りかかっただけなんです。でも、あの日路地に明かりがついていたから、あの子は一人で泣かずに済んだ。それだけで、遠回りした甲斐がありました」」

消防団員が点検の途中で、鍵をなくして家に入れず座り込んで泣いていた7歳の女の子を見つけ、近くの子ども食堂に連れていった、という記事を読んだ。「財布の中は300円しかなかったそうです」というくだりが妙にリアルだった。

「たまたま通りかかっただけなんです」という団員のコメント、こういう「たまたま」に支えられている地域の仕組みって、全国あちこちにあるんだろうな。