こんな記事を読んだ。全文引用します。
「学童指導員、退任前に倒れる 後継見えぬまま夏休み最終日」
【浜千鳥市】
浜千鳥市汐路町の放課後児童クラブ「つばくろ学童クラブ」で8月28日午後、夏休み最終の登所日に落雷で約40分間停電し、定員25人に対し在籍29人が詰め込まれた室内で指導員の神楽坂トキ子さん(71)が熱中症で倒れかけた。神楽坂さんは今年度末での退任を表明しているが、後任の公募は3年連続で応募ゼロが続いている。
当日は室温35度を超える蒸し暑さの中、児童を涼しい場所に移そうとした神楽坂さんがふらつき、その場にしゃがみ込んだ。たまたま娘の陽向ちゃん(6)を迎えに来ていた竹村航さん(29)が駆け寄って体を支え、氷水で首元を冷やしながら119番通報。搬送先の点滴で大事には至らなかったが、波留間さんは「あと数分遅れていたら、と思うとぞっとした。あの日、教室に大人は神楽坂さんだけだった」と振り返る。
波留間さんは2年前、家業の製氷会社「浜千鳥製氷」四代目として妻の美咲さん(28)と共にUターンした。港で働く漁師や仲買人向けに氷を卸す傍ら、娘の送迎で学童に日々顔を出すうちに現場の逼迫を肌で知った。「継ぐと決めた時は港と工場のことしか考えていなかった。まさか子どもの居場所まで綱渡りだとは知らなかった」と話す。
神楽坂さんは開設33年目のこの学童クラブに29年間勤め、自ら定員超過分の児童も断らずに受け入れてきた。「辞めると言ってから3年、誰も手を挙げてくれない。時給は近隣より150円ほど低いままで、体一つで29人を見るのはもう限界」と漏らす。市子ども未来課の桧原学係長(48)は「補助指導員の募集にも予算措置にも動いているが、なり手不足は市単独では解決できない」と説明する。
汀線大学の蓑輪誠一教授(地域福祉論)は「こども家庭庁の2024年調査では全国の学童待機児童は約1万7千人にのぼるが、より深刻なのは現場を支える指導員の担い手不足だ。定員内に収まっていても、実際には一人の指導員が限界を超えて子どもを抱え込んでいる自治体は少なくない」と指摘する。
神楽坂さんは搬送翌日には教室に戻り、9月末に迫る後任の最終公募締め切りを控える。市議会では来月、学童保育の増員予算が審議される予定だが、可決されても指導員が見つかる保証はない。退任まで残り7カ月、つばくろ学童クラブの当番表には、今も神楽坂さんの名前だけが並んでいる。」
定員25人に対し29人が詰め込まれた学童クラブで、落雷による停電の中、71歳の指導員が熱中症で倒れかけた、という記事を読んだ。退任を表明してから3年、後任の公募は3年連続応募ゼロが続いているらしい。
「あの日、教室に大人は神楽坂さんだけだった」という、たまたま居合わせた保護者の言葉が怖かった。一人体制のギリギリさが、天候一つで表に出る話だと思う。