【タイトル】
ソウ ザ・ファイナル 3D(原題:Saw 3D)
【概要】
2010年のアメリカ/カナダ合作映画
上映時間は90分
【あらすじ】
ジクソウのゲームから生存したボビー・デイゲンはその経験をTVで話したり著書にまとめたりしていた。彼と同じくジクソウのゲームから生存した人たちが集う会では、ローレンス・ゴードン医師もいた。そしてその夜ボビーは何者かによって拉致されてしまう。
【スタッフ】
監督はケヴィン・グルタート
音楽はチャーリー・クロウザー
撮影はブライアン・ゲッジ
【キャスト】
トビン・ベル(ジクソウ/ジョン・クレイマー)
ショーン・パトリック・フラナリー(ボビー・デイゲン)
ベッツィ・ラッセル(ジル・タック)
ケイリー・エルウィズ(ローレンス・ゴードン)
【感想】
2004年から毎年製作し続けてきた「ソウ」シリーズ最後の作品。当初は2部作が検討されていたが、「ソウ6(2009)」の興収が振るわなかったことで本作の1作品にまとめられることになった。また、本作が3Dで撮影されたのは、「ソウ(2004)」を3Dに変換したものを鑑賞したプロデューサーが感銘を受けたからであるそうだ。
また、「ソウ(2004)」でローレンス・ゴードン医師を演じたケイリー・エルウィズはそのギャラをめぐって訴訟を起こしており、続編への出演依頼も断っていたが、和解によって解決したことで本作への出演が叶っている。
後に「ジクソウ:ソウ・レガシー(2017)」というシリーズ8作目が製作されるのだが、一応のひと段落といえるのが本作である。見始めた以上は最後までというもはや義務感で本シリーズを鑑賞し続けてきたが、今度は「私はジクソウのゲームの生存者です」と嘘を付く人間が登場する。よくもこれだけ物語を創作できるなと感心する(似たような話はどこかで見たような…)。
本作はそのボビー・デイゲンという生存者がメインキャラクターであり、ジクソウの登場シーンは合計たったの3分程度である。序盤に「ジクソウのゲームから生存した人の会」という集まりがある。過去作でも生存者はいたが、集まるとこんなにも生存者がいたのか。ジクソウのゲームが甘かったのか、何かを犠牲にして生存したのか…。そして、そこには何とシリーズ1作目「ソウ(2004)」でゲームに参加させられて足を切断したローレンス・ゴードン医師が登場する。足を切断したら15分で出血多量により死んでしまうとか言ってなかったっけ。
そして、盛大なネタバレになるが、このローレンス・ゴードン医師がジクソウの遺志を継いでゲームを行っていたというのだ。序盤のこのシーン以降、ラストまでローレンス・ゴードン医師は登場せず、ラストになって「実はこうでした」的な映像が駆け足で流れていく。過去作ほとんどすべてに言えることだが、「だから何だ」って話であるし、ジクソウのゲームに参加したことで片足を失ったローレンス・ゴードン医師がジクソウの遺志を継ぐ理由はまるで見えず、映画的にはその理由を提示する気すらない。何の伏線もなくいきなりこんな事実を見せつけられたところでなぁ…。
また、今までとの違いは一般市民が目撃できる場所でゲームが行われる場面があることだ。序盤のゲームによるスプラッターシーンは街の人通りのある場所。ガラス張りになった部屋に3人の男女が拘束されており、ガラスを破ることはできず人たちはそれをただ見るしかできないという状況である。あんな場所に誰にもバレずに準備できるって無理があり過ぎるでしょ。
それから、本作は3Dで撮影されて公開されたシリーズ初の作品である。本作の前年に3D映画「アバター(2009)」が大ヒットしたことを受けて便乗しただけだと思うが、観客がわざわざ追加料金を払って3Dメガネをかけてまで見る映画なのかと思う。血が噴き出したり肉片が吹き飛んだりするところに臨場感が味わえたのだろうか。
ローレンス・ゴードン医師演じるケイリー・エルウィズが再搭乗できる見込みが立ったからこそ本作のような物語になったのだとは思うが、もしそうでなければ過去作でその後が描かれなかったキャラクターをジクソウの遺志を継ぐ黒幕として描く予定だったんだろうか。グロ表現を前面に押し出すスタイルの作品だから脚本の部分の粗はしょうがないものと思っているが、やっぱり2作目以降はどれもこれも大体同じという印象であることに変わりはない。
【関連作品】
「ソウ(2004)」…シリーズ1作目
「ソウ2(2005)」…シリーズ2作目
「ソウ3(2006)」…シリーズ3作目
「ソウ4(2007)」…シリーズ4作目
「ソウ5(2008)」…シリーズ5作目
「ソウ6(2009)」…シリーズ6作目
「ソウ ザ・ファイナル 3D(2010)」…シリーズ7作目
「ジグソウ:ソウ・レガシー(2017)」…シリーズ8作目
「スパイラル:ソウ オールリセット(2021)」…シリーズ9作目
「Saw X(2023)」…シリーズ10作目
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├マーク・バーグ(製作)、オーレン・クルーズ(製作)、ピーター・ブロック(製作)による音声解説
映像特典
├52通りの死に方
├未公開シーン集
├イメージ・ミュージック・クリップ集
├予告編集