【作品#0924】デモリションマン(1993) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

デモリションマン(原題:Demolition Man)

 

【概要】

 

1993年のアメリカ映画

上映時間は115分

 

【あらすじ】

 

1996年のロサンゼルス。市警のスパルタンは凶悪犯フェニックスを逮捕するが、フェニックスの罠により市民の命が犠牲になった。スパルタンは責任を問われて有罪判決となり、フェニックスと同じく冷凍保存の刑になった。それから36年後の2032年。暴力や犯罪がすっかりなくなった平和な社会だったサン・アンゼルスで、冷凍保存されていたフェニックスが解凍されて脱獄した。凶悪犯への対応を知らない警察は当時フェニックスを追っていたスパルタンも解凍する。

 

【スタッフ】

 

監督はマルコ・ブランビア

音楽はエリオット・ゴールデンサール

撮影はアレックス・トムソン

 

【キャスト】

 

シルヴェスター・スタローン(ジョン・スパルタン)

ウェズリー・スナイプス(サイモン・フェニックス)

サンドラ・ブロック(レニーナ・ハックスリー)

ナイジェル・ホーソーン(コクトー)

デニス・リアリー(フレンドリー)

ベンジャミン・プラット(ガルシア)

 

【感想】

 

シルヴェスター・スタローンはサイモン役にジャッキー・チェンを希望したが、いきなり悪役を演じることに懸念を示して断られている。

 

本作の描く2032年は犯罪や暴力がないエコな社会という設定である。これだけ治安が良いのになぜあんなにたくさんの警官がいるのか。それがそもそもの疑問である。さらに、自然死以外の死は20年以上ぶりなのに平和ボケしているのか警官連中は吞気そのものである。車中でハックスリーとガルシアはこの未来の人気CMソングのホットドッグの歌を楽しそうに熱唱しているのだ。

 

というか、そもそも未来を舞台にした意味をまるで感じない。せいぜいフェニックスが未来の武器を使うくらいじゃないか。特にスパルタンは冷凍にされる前の1996年の感覚のまま、すっかり変わってしまった2032年の世界とのギャップに苦労することになる。一方のフェニックスはプログラムされたことで何の苦労もなく2032年の社会で暴れまわっている。

 

結局彼らの結末はただの殴り合いである。1996年の感覚のままの男対最新の情報をプログラミングされた未来の男。頭の固い男が未来の感覚を身に着けてやっつけるとか、未来の男だからこその弱点を突くとか、何かないかね。これだったら現代劇と大して変わらないじゃないか。SFという味変でしかない。

 

その未来の設定もかなりいい加減である。そもそも1996年の時点で極悪人を冷凍保存する理由が見当たらない。めちゃくちゃ金のかかりそうな気がするけど、エコでクリーンな社会を目指しているこの未来社会では真っ先にメスが入れられそうである。

 

また、ちょっと汚い言葉を使っただけで罰金刑が適応される未来において20世紀の物は所有が禁止されているという設定だ。なのに、その刑を取り締まる側の警官ハックスリーはそれらの物を大量に所有している。まぁ平和に飽きて犯罪が起こるのを待ち望んでいるようなキャラクターだから良いんだが、これは警察が身内に甘いという皮肉だろうか(違うだろうな)。

 

それから悪役のコクトーはフェニックスを操り自分を攻撃できないようにプログラミングしているが、最終的にフェニックスに良いようにやられて死んでしまう(ロボコップか‼)。このコクトーも間抜けすぎるわ。わざわざフェニックスを冷凍から目覚めさせる必要なんてない。手下にやらせたら良いだけの話に見えたけどな。

 

実は本作って実は昨今の行き過ぎたコンプライアンスを予見した作品ではないか。1996年当時の感覚のまま未来の世界で蘇った男が、その行き過ぎたコンプライアンスをもろともせずにその当時の生き方を全うして最後は敵をやっつける。汚い言葉を使う度に罰金を支払うようにと紙が出てきて、その紙をトイレの紙に使ってしまうのだ。要するにクソ食らえなわけだ。

 

後の時代になって見るとほんのちょっとだけそんなことを考えてしまったが、そんな意図はなかっただろうな。結局はSFの皮を被った大味な爆破に頼ったいつものアクション映画。

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

 

<BD(日本語吹替音声追加収録版)>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

    ├ソフト版

    ├テレビ朝日版

音声特典

├マルコ・ブランビア(監督)、ジョエル・シルバー(製作)による音声解説

映像特典

├予告編