【作品#0912】ラストスタンド（2013）

【タイトル】

ラストスタンド（原題:The Last Stand）

【概要】

2013年のアメリカ/韓国合作映画

上映時間は107分

【あらすじ】

護送中の凶悪犯コルテスが仲間の助けを得て脱走してしまった。コルテスがメキシコへ向かう情報を得たFBIは、彼が通過するアメリカとメキシコ国境にあるソマートンにいるレイ保安官に連絡する。

【スタッフ】

監督はキム・ジウン

音楽はモグ

撮影はキム・ジヨン

【キャスト】

アーノルド・シュワルツェネッガー（レイ・オーウェンズ）

フォレスト・ウィテカー（ジョン・バニスター）

ジョニー・ノックスビル（ルイス・ディンカム）

ロドリゴ・サンドロ（フランク・マルチネス）

ジェイミー・アレクサンダー（サラ・トーランス）

ルイス・ガスマン（フィギー）

エドゥアルド・ノリエガ（ガブリエル・コルテス）

ピーター・ストーメア（トーマス・ブレル）

ハリー・ディーン・スタントン（パーソンズ）

【感想】

「ターミネーター3（2003）」以来となったアーノルド・シュワルツェネッガーの主演作は、韓国人映画監督キム・ジウンの初ハリウッド作品となったが、約4,500万ドルの予算に対し、4,800万ドルという芳しくない成績となった。

「エクスペンダブルズ2（2012）」などの出演はあったが、カリフォルニア州知事退任以降では初となるシュワちゃんの主演作は、「シュワちゃん、おかえり」的な意味合いが強かったことと思う。ガトリングガンやショットガンをぶちかまし、一仕事終えると一言といったシュワちゃんお馴染みのものを見ることができる。観客が「そうそう、こういうのが見たかった」と思えるものは本作にそれなりに詰まっていたんじゃないかと思う。

ただ、FBI側はもっと手短な描写で良かったんじゃないだろうか。フォレスト・ウィテカー演じるジョン・バニスターは準主演に近い扱いを受けているが、そこまでの扱いをする必要のあるキャラクターだったとはあまり思えない。主人公レイとの関わりは、連絡を何度か取るのと最後に会うだけである。それ以外は捜査の指揮を執り、内通者がいることを見破るなどの場面があるが、コルテスがいかに凄いかを際立たせるためだけの存在で良かったと思うわ。あくまでシュワちゃん主演映画なんだからこんなところに時間を割く必要はない。

また、一部のサブキャラは決して悪くない。それだけに、FBI側の描写を減らして主人公のレイとサブキャラをもっと掘り下げても良かった。なお、序盤に若手のジェリー副保安官が殺されてしまう展開があるが、こちらもそこまでしなくても良かったのにという感じになっている。彼が死んだことでチームとして戦う決意をする描写になっているが、ジェリーを死なせなくてもレイがこの町を守る意思は強かったように思うから、彼の死をわざわざ用意する必要はなかったと思う。

あと、平和だった街に悪が忍び寄ることになり、資源も物資も限られた状況で戦わなければならなくなる。その街に「武器博物館」を営むディンカムという男がいて彼の博物館の武器を使わせてもらう展開は、物語的に力業以外の何物でもないが、本作のテイストならこの展開があることで不満は全くない。ただ、せっかく武器博物館なんだから、「コマンドー（1986）」でシュワちゃん演じるジョン・メイトリクスが島に上陸してから武装する様子を手早く見せていたように本作でももっと武器を選定したり試射したりする場面を入れてほしかった。敵が来て車のドアを開けるとシュワちゃんがガトリングガンを撃ちまくるところを見せたかった意図は理解できる。ただ、「武器博物館」という設定を入れたのならシュワちゃんが武器を愛でるような描写は欲しかった。

結局は待ち伏せして敵を迎え撃つという展開になる。この辺りから映画のギアは少しずつ上がっていく。ピーター・ストーメア演じるブレルをやっつけると、レイとコルテスの一騎打ちとなる。シュワちゃんの映画に車対車みたいな演出も必要ないな。冒頭に登場した市長の車をめちゃくちゃにするという意図も理解するがなんかちょっと違うな。そしてクライマックスは橋の上での文字通り一騎打ち。なぜかお互いに銃器を持ち合わせていない中での格闘になる。時折プロレス技を披露しつつ肉弾戦を展開していく。理屈なんて関係のない力業で勝利をするレイ。

どう見ても「リオ・ブラボー（1959）」っぽいお話。じゃあシュワちゃんはジョン・ウェインかと言われたらそれは違う（まぁ別に違っても何の問題もないんだけど）。年老いたことをセリフで言わせたんだから、もうちょっと哀愁とか漂わせるとかできないかね。できないか…。

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【予告編】