【作品#0891】モロッコ(1930) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

モロッコ(原題:Morocco)

 

【概要】

 

1930年のアメリカ映画

上映時間は92分

 

【あらすじ】

 

モロッコの駐屯地に帰還したトム・ブラウンは酒場でアミー・ジョリーという歌手に恋をする。ところが、トム・ブラウンはセザール副官の妻に手を出していたことから懲罰で最前線に送られることになる。トムはアミーに会いに行くと彼女は富豪のベシエールに求婚されていることを知る。

 

【スタッフ】

 

監督はジョセフ・フォン・スタンバーグ

音楽はカール・ハヨス

撮影はリー・ガームス

 

【キャスト】

 

ゲイリー・クーパー(トム・ブラウン)

マレーネ・ディートリヒ(アミー・ジョリー)

アドルフ・マンジュー(ベシエール)

 

【感想】

 

合計7度のタッグを組んだジョセフ・フォン・スタンバーグ監督とマレーネ・ディートリヒの2度目のタッグ作品にして、マレーネ・ディートリヒのハリウッドデビュー作。アカデミー賞では4部門でノミネートされたが受賞はならなかった。

 

良く言えばシンプルな、悪く言えば淡白な映画だった。

 

ゲイリー・クーパーとマレーネ・ディートリヒのダブル主演で、ゲイリー・クーパーがファーストクレジットではあるが、どう見てもマレーネ・ディートリヒの映画である。もっと言うとマレーネ・ディートリヒの「アイドル映画」である。場面が変わる度にとまでは言わないが、映画内で何度も衣装チェンジをしている。最後にはあの有名なハイヒールを脱ぐシーンまである。

 

そんなマレーネ・ディートリヒとゲイリー・クーパーのロマンス映画なのだが、肝心の彼らの心情は全くと言っていいほど伝わってこない。本作に決定的に欠けているのは緊張感。ゲイリー・クーパー演じるトムが懲罰で最前線に送られて彼らは一度離れ離れになるのだが、この最前線に「死」や「別れ」が迫る緊張感はまるでない。彼らが離れる前に重厚な描写がなくとも、ここで多少の緊張感を演出できていればまだのちの彼らの物語に入っていけたのだと思う。

 

そしてアミーは富豪のベシエールと結婚することになる。すでに本作は古典映画だが物語自体も非常に古典的だ。アミーはトムが負傷したと聞いて病院に行くと、トムは負傷したふりをしたことがバレて別の部隊行きになっていた。そしてトムは酒場で女と酒を飲んでいた。ベシエールとの結婚でアミーを諦めたトムだが、酒場の机にはナイフで彼女の名前を彫っていたのだ(乙女か‼)。そしてあの有名なラストに繋がっていくわけだ。

 

やっぱりこのラストになるにしても彼らの心情描写はあまりにも淡白だ。一から十まで説明する必要はもちろんないのだが、彼らが惚れあう過程は決して丁寧とは言えない。ちなみに、当初のヒロインの設定は麻薬中毒の売春婦だったらしい。ただ、当時の規制の緩かったハリウッドでもこの設定は受け入れられなかったようだ。また、ヒロインがトムを捨ててブエノスアイレス行きの船に乗るという当初のラストも現在のラストに変更されている。もう少し人物描写に深みは欲しかった。

 

ただ、マレーネ・ディートリヒを拝むには十分な映画。主役だから以上の特別扱いを思わせる登場シーンに、男装して最後には女性客にキスまでしてしまう舞台のシーン、そしてラストのハイヒールの脱ぎっぷりなど彼女を見るためだけに見たっていいくらいの作品。だからより一層普通の男みたいに見えたゲイリー・クーパー相手に惚れちゃうのが掴みづらいな。

 

余談だが、本作はこれ以上の画質向上は難しいのだろうか。海外でもソフト化はDVD止まりのようだ。特に序盤の酒場のシーンとラストの砂漠のシーンは高画質で見てみたい。

 

 

 

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