【作品#0882】大地震(1974) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

大地震(原題:Earthquake)

 

【概要】

 

1974年のアメリカ映画

上映時間は122分

 

【あらすじ】

 

ロサンゼルスで大地震が発生する。

 

【スタッフ】

 

監督はマーク・ロブソン

音楽はジョン・ウィリアムズ

撮影はフィリップ・ラスロップ

 

【キャスト】

 

チャールトン・ヘストン(スチュアート)

エヴァ・ガードナー(レミー)

ジョージ・ケネディ(ルー)

ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド(デニス)

リチャード・ラウンドツリー(マイルズ)

ウォルター・マッソー(酔っ払い)

 

【感想】

 

1970年代に流行したパニック映画の一つで、本作は「センサラウンド」という地震を疑似体験できる音響効果が売り物であった。アカデミー賞では5部門でノミネートされ、音響賞、特別業績賞(視覚効果)の2部門を受賞している。

 

本作は上映時間122分で、邦題にもある大地震がロサンゼルスを襲うのは上映時間50分を過ぎてからである。もしそれが本震だとしたらその前に前震が数回あることにはなるが、いくら何でも本題に入るのが遅すぎるわ。だってタイトルが「大地震」で原題も「Earthquake」なんだから。

 

そして本作はいわゆる「グランド・ホテル形式」で多くのキャラクターが登場することになり、本震までの50分間に描かれることになるのだが、これが以降の展開に全く関係ないものもあるし、はっきり言って描き方はうまくない。

 

本作の始まりはチャールトン・ヘストン演じる建築家のスチュアートとエヴァ・ガードナー演じる彼の妻レミーの喧嘩の場面からである。ほかにもジョージ・ケネディ演じる警官ルーが郡警察の管轄にまで手を出して署長から停職処分を受ける場面もある。こういった人間同士の対立が序盤で描かれているので、地震という災害を目の前にして人々が協力するドラマが描かれるのかと言われたら決してそうとも限らない。

 

スチュアートはデニスという女優と不倫中であり、ラストでスチュアートはダム決壊によって下水道の中を流される中、上にはデニスがいるが、下水道では妻のレミーが流されていく。少し迷った挙句スチュアートはレミーを助けに行く。彼らのその後は描かれないが、おそらく助からなかったという感じだろう。スチュアートが命からがらレミーを助けに行く心情は映画では表現されていなかった。喧嘩中で始まった彼らの物語はたいして描かれないままスチュアートがレミーを選ぶという結末になったとしてもなぁ。

 

それから、ジョージ・ケネディ演じる警官ルーのドラマもちゃんと描かれていない。郡警察の管轄に手を出したことで署長に叱られたルーは署長から停職処分を受け、いずれ懲罰会議にかけられるという。犯人を追いながら郡警察に邪魔をされてその警官を殴ったんだからこの処分はしょうがない。そしてこのパニック映画なので、てっきり後にルーと郡警察が否応なしに協力せざるを得ない展開が用意されているのかと思いきやそんなことはない。停職処分を受けたとはいえ、制服を着ている以上警官としての役目を果たさないわけにいかず、警官として時に強引ともとれる行動をとっていく。同じ警察同士が管轄がどうのこうので揉めているわけにもいかないという方向に持っていけなかったか。

 

ほかにも、地震研究所でとある博士の方式で大地震が発生すると予想する若手の研究者が上司とやり取りする場面が何度か出てくるのだが、大地震発生後には尻切れトンボの如く姿を現さない。まぁ地震が発生してしまえば研究所の連中がどうしようもないのは分かるんだが、これだったら別にこの研究所の場面自体を削除しても問題なかっただろう。

 

そして、印象的なのはスーパーの店長で州兵でもあるジョディである。彼は州兵としての勤務のために着替えると、男性のボディビルダーのポスターを張っていることを同居人の男三人からからかわれる。そして、大地震発生後にこの同居人の男三人はどうやら火事場泥棒をはたらいており、ジョディに見つかり、最終的にこの男三人は丸腰であるにもかかわらずジョディによって銃殺されてしまう。さらに彼はスーパーで気にかけていたローザを見つけると立場を利用してレイプしようとする。こういう奴がいてもおかしくないとは思うが、話が極端なんだよな。他にもサブキャラたちのドラマも描かれているのだが、そのどれもが時間をかけた割には全く描けておらず、ただただ散漫な印象を受けた。

 

肝心の災害描写はCGのない当時にしてはという前置きがついてしまうがボチボチじゃないだろうか。消防ホースを椅子に括り付けて一人ずつ下ろしていくとか、アイデアの賜物のような場面もあるにはあるが、災害・救出の後半も決して見どころが多いわけではない。終わりどころが見えず、「えっ、ここで終わるの⁉」みたいな終わり方をする。これだったら同年の「タワーリング・インフェルノ(1974)」の方がパニック映画としてもよっぽどよくできている。

 

 

 

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【ソフト関連】

 

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