【作品#0859】刑事ジョー ママにお手上げ(1992) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

刑事ジョー/ママにお手上げ(原題:Stop!or My Mom Will Shoot)

【概要】

1992年のアメリカ映画
上映時間は87分

【あらすじ】

ロス市警のジョーのもとへ、ニューヨークからお騒がせの母親トゥッティがやって来る。

【スタッフ】

監督はロジャー・スポティスウッド
音楽はアラン・シルヴェストリ
撮影はフランク・タイディ

【キャスト】

シルヴェスター・スタローン(ジョー)
エステル・ゲティ(トゥッティ)
ジョベス・ウィリアムズ(グウェン)

【感想】

シルヴェスター・スタローンにとって本格コメディ進出作品「オスカー(1991)」に続いて出演した本作はラジー賞で最低主演男優賞受賞し、スタローン本人も2006年にやらなかったら良かった映画についての質問で本作を挙げている。ちなみに、アーノルド・シュワルツェネッガーは本作に興味を持ったという嘘の噂を流して、シルヴェスター・スタローンに食いつかせたらしい。

シルヴェスター・スタローンがコメディ映画に進出したのは、ライバルのアーノルド・シュワルツェネッガーが「ツインズ(1988)」や「キンダガートン・コップ(1990)」といったコメディ映画でも成功を収めたことが要因だろう。そのアーノルド・シュワルツェネッガーが主演した「ターミネーター」シリーズから「I’ll Be Back」のセリフまで引用している。

屈強なアクション俳優と小柄なお母さんという組み合わせはクリント・イーストウッド主演の「ダーティ・ファイター(1978)」シリーズからの影響だろう。屈強な男がお母さんには弱いというのはギャップを生じさせてコメディに昇華しやすいはずだ。だからこそ冒頭にスタローンによるアクションシーンを入れたのは意図としては理解できるところだ。さらに、クリント・イーストウッド主演の「ダーティハリー4(1983)」の名セリフ「Go Ahead, Make My Day」を引用して、「Go Ahead, Make Your Bed」というセリフまで出てくる。

結論言ってしまうと評判通りの一本。スタローンにコメディ演技ができないわけでもないと思うが、本作のような「受け」の芝居は見事にハマっていない。90年代以降でいうところのベン・スティラーくらい徹底しないとダメだったんじゃないだろうか(スタローンならそれでもうまくいかなかったと思うが)。主人公が夢に見るオムツ姿も色んな意味でいただけない。

そもそもだが、彼の母親を演じたエステル・ゲティの演技や振る舞いがちょっと狙い過ぎだと思うわ。個人的には「大空港(1970)」の老女ヘレン・ヘイズくらいがちょうどいいと思う。

別に彼らだけが悪いわけではなく、脚本もすこぶる酷い。母親のトゥッティが関係した事件と、ジョーとグウェンのロマンスを軸に映画は進んでいくのだが、その両輪がうまく機能するわけでもない。とにかくジョーが母親のトゥッティに振り回されるだけ。一応はトゥッティの言うことをジョーが聞いたことでグウェンとのロマンスに進展が見られるのだが、そもそも彼らのロマンスにも見どころはない。

一応作品としての体はなしているし、上映時間も90分未満だし、見どころが全くないわけではない(色んな意味で)。壊滅的な出来でもないが、再見の価値はないな。にしても、ロジャー・スポティスウッド監督ってフィルモグラフィーを見ると多分職人監督何だが面白い人だな。この次に撮るのはテレビ映画「運命の瞬間/そしてエイズは蔓延した(1993)」という評価を得た作品である。以降は「007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997)」や本作に関連するシュワちゃん主演の「シックス・デイ(2000)」も撮っている。そして、スタローンは再びアクション映画に戻り「クリフハンガー(1993)」をヒットさせる。




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