【タイトル】
インフェルノ(原題:Inferno)
【概要】
2016年のアメリカ/ハンガリー合作映画
上映時間は121分
【あらすじ】
フィレンツェの病院で目覚めここ数日間の記憶のないロバート・ラングドン教授は、医師のシエナから頭部をかすめた銃撃による転倒で記憶が曖昧になっているのだと知らされる。そこへ女殺し屋が現れ、ロバートはシエナの手を借りて何とか病院を脱出するが…。
【スタッフ】
監督はロン・ハワード
音楽はハンス・ジマー
撮影はサルヴァトーレ・トティーノ
【キャスト】
トム・ハンクス(ロバート・ラングドン教授)
フェリシティ・ジョーンズ(シエナ)
オマール・シー(ブシャール)
ベン・フォスター(ゾブリスト)
シセ・バベット・クヌッセン(エリザベス)
【感想】
前作から7年ぶりに製作されたシリーズ3作目は、前作の約半分の製作費で製作され前作の半分以下の興行成績に留まった。
本作は前2作品の宗教的な要素はあまりなく、ダンテに関する話が中心にあり、ロバート・ラングドン教授が本当に必要な物語だったのかと疑う。
さらには、ロバート・ラングドンが記憶を失う設定となっており、彼が様々な手がかりから失った記憶を取り戻していく物語になっている。いつものロバート・ラングドンが謎解きをするだけでは物足りないと判断したのか、ロバート・ラングドンの記憶をあいまいにしてその記憶を辿ることも物語に組み入れたのだろうか。ロン・ハワード監督は本作を続編ではなく独立した作品として位置付けていると話しているように前作までの要素はかなり少ないと言える。
ロバート・ラングドンの記憶が曖昧になっていることは観客にも共有され、徐々に事態が明らかになっていくのだが、後の場面になって「実はあの時こうでした」という展開があまりにも多い。これは伏線でも何でもない。ロバート・ラングドンが時折頭痛をこじらせ、フラッシュバックで断片的に記憶が蘇るのだが、そこで表示される短いカットの映像も観客をミスリードさせるためだけのものでしかない。
更には冒頭の病院からの脱出に至る一連のシークエンスはすべて仕組まれたものだったことが中盤以降に判明する。銃弾がかすめた話は嘘で、記憶を曖昧にさせるために注射を打たれており、病室の前での銃撃は空砲であり、病院を出てから乗ったタクシーも仕込みであったというのだ。さすがに手が込み過ぎだし、そこまで周到に準備できるのなら他にもっと手段があっただろうと思う。
また、ウイルスの話も序盤から分かってくるのだが、ロバート・ラングドンが感染しているかどうかで話を持続させるわけでもなく、またこのウイルスに感染すればどうなるのかの映像も見せられることはない。あのウイルスが飛散すればどうなるのかはイメージだけでも見せておかないとピンとこない。さらにはこのウイルスを巡る攻防も話を単純化させ過ぎ。ここまで来るとマクガフィンと言わざるを得ない。
そして、このウイルスが時限装置になっている必然性も感じない。ゾブリストは自ら死ぬことも厭わぬ人間だった。なのに人類を半減させるほどのウイルスを飛散させるために時限装置にしているのかがさっぱり分からない。しかもその時限装置を起動させるために愛するシエナへ何も教えていない理由もわからないし、そのためだけにロバート・ラングドンが引っ張り出される理由もわからない。物語の根幹となる場所が謎だらけである。
結論、ありとあらゆる話を創作し過ぎ。映画が始まってから物語がきれいに進んでいる印象は全く無く、作られた物語を当てはめているかの如く不自然なものである。シリーズ3作品を続けて鑑賞したがどれもこれも似たりよったり。このシリーズで何を見せたかったのか、何を作りたかったのかが理解できなかった。
【関連作品】
「ダ・ヴィンチ・コード(2006)」…シリーズ1作目
「天使と悪魔(2009)」…シリーズ2作目
「インフェルノ(2016)」…シリーズ3作目
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語/フランス語/イタリア語/トルコ語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(英語/フランス語/イタリア語/トルコ語)
├日本語吹き替え
映像特典
├別バージョン&エクステンデッド・シーン(7種)
├幻覚の中の地獄
├世界を巡る「インフェルノ」
├ラングドンの検証
├シエナ・ブルックスに迫る
├邪悪な億万長者
├監督の撮影日誌
【書籍関連】
<インフェルノ(上中下合本版)>
形式
├電子
出版社
├角川文庫
著者
├ダン・ブラウン
翻訳者
├越前敏弥
長さ
├722ページ
【グッズ関連】
<ポスター>
サイズ
├68.5㎝×101.5cm