【作品#0757】ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(原題:Män som hatar kvinnor)

【Podcast】

Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。

Apple Podcastsはこちら
Google Podcastsはこちら
Spotifyはこちら
Anchorはこちら
Stand FMはこちら

【概要】

2009年のスウェーデン/デンマーク/ドイツ/ノルウェー合作映画
上映時間は152分
※完全版は180分

【あらすじ】

雑誌「ミレニアム」の発行責任者であるミカエルは実業家の不正を掲載した記事が名誉棄損に当たるとして裁判に敗れてしまう。そんな彼の元へヴァンゲルグループの前会長ヘンリックから弁護士を通じて仕事の依頼が舞い込んできた。それは36年前にヘンリックの姪っ子ハリエットが失踪した事件を調べてほしいというものだった。

【スタッフ】

監督はニールス・アルデン・オプレヴ
音楽はヤコブ・グロート
撮影はエリック・クレス/イェンス・フィッシェル

【キャスト】

ミカエル・ニクヴィスト(ミカエル・ブルムクヴィスト)
ノオミ・ラパス(リスベット・サランデル)

【感想】

スウェーデン人のジャーナリストだったスティーグ・ラーソンが2004年に亡くなった後に生前に書かれた「ミレニアム3部作」は2005年から毎年発売されて大ヒットを記録した。2009年に「ミレニアム3部作」はスウェーデンで映画化され、その1作目に当たる本作は全世界で1億ドルを上回るヒットを記録した。

原作は785ページもある長編なので、完全版の180分を割いたとしても描ききれるわけがないのは理解できる。ただ、原作の持つおどろおどろしさやキャラクターの持つ魅力は本作にはあまり反映されなかったように思うし、特にリスベットのキャラクター描写は大いに物足らなかったと言える。

ミカエルとリスベットのダブル主演といえる本作は、その両者を演じた役者が微妙だった。ミカエルを演じたミカエル・ニクヴィストは、やり手の雑誌編集者にも既婚者で雑誌編集部のエリカと不倫する魅力的な男にも見えず、ちょっと軟な男という印象は拭えない。原作でも衝動に駆られたリスベットがミカエルの体を求める場面があるのだが、本作のミカエルだとより唐突な印象は拭えない。

それから、リスベットを演じたノオミ・ラパスの演技は各地での映画祭で称賛された。ただ、当時30歳を前にしたノオミ・ラパスが24歳の役を演じるのにちょっと無理があるように見える。原作ではまだ10代に間違われることもあるという設定だったので、幼さの残る印象は欲しかったのだが、ノオミ・ラパスからはそれを感じない。ただ、幼児体型であることをコンプレックスに思っている描写があり、その辺りは原作通りの印象はある。

本作もラスト近くにミカエルを待ち伏せしたリスベットが声をかけようとすると、ミカエルと彼を追いかけて出てきたエリカが仲良さそうにしているところを見て引き返すという描写がある。これはほとんど原作通りだが、本作の二人の描き方だとリスベットの行動が唐突にしか見えない。原作では、リスベットなりに積んできた経験をもとに行動しても今までに経験したことのない感情をミカエルに抱き、彼女なりに答えを出そうと考えた末にそれが「恋」であると気付くという物語があった。本作にはリスベットがミカエルに惚れるに至る描写は皆無と言って良い。映画化する上でサスペンスミステリーを描くだけならそれはそれで良いと思う。ただ、リスベットがミカエルに声をかけようとするラストを用意するのなら彼ら(特にリスベット)の心理描写はもっと必要だったように思う。

原作のエピソードの取捨選択、演出、編集などにはどこか垢抜けない印象はあり、原作のエピソードをごっそりそのまま映画内にもってきましたと言わんばかりの場面も散見される。原作にあったおどろおどろしい感じや寒さや痛さに関しては手ぬるいと感じた。

スウェーデン発のベストセラーをスウェーデン本国で映画化した本作は評価された上にハリウッドリメイクまで製作された。ただ、原作を読んだ身としては原作で重要なエッセンスが映画にあまり反映されていないと感じた。

【関連作品】


「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)」…シリーズ1作目
「ミレニアム2 火と戯れる女(2009)」…シリーズ2作目
「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(2009)」…シリーズ3作目
ドラゴン・タトゥーの女(2011)」…シリーズ1作目のハリウッドリメイク
「蜘蛛の巣を払う女(2018)」…シリーズ4作目



取り上げた作品の一覧はこちら



【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(スウェーデン語/英語)

 

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(スウェーデン語/英語)


【ソフト関連】

<DVD>

本編

├劇場公開版
言語
├オリジナル(スウェーデン語/英語)

 

<DVD>

本編

├完全版
言語
├オリジナル(スウェーデン語/英語)

 

【書籍関連】

 

<ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上下合本版)>

 

形式

├電子

├紙

出版社

├ハヤカワ・ミステリー文庫

著者

├スティーグ・ラーソン

翻訳者

├岩澤雅利

長さ

├785ページ