【タイトル】
バンディダス(原題:Bandidas)
【概要】
2006年のアメリカ/メキシコ/フランス合作映画
上映時間は93分
【あらすじ】
19世紀中頃のメキシコ。父が負傷させられたマリアと父を殺されたサラは復讐のために銀行を襲い始める。
【スタッフ】
監督はヨアヒム・ローニング/エスペン・サンドベリ
脚本/製作はリュック・ベッソン
音楽はエリック・セラ
撮影はティエリー・アルボガスト
【キャスト】
ペネロペ・クルス(マリア)
サルマ・ハエック(サラ)
スティーヴ・ザーン(クエンティン)
ドワイト・ヨーカム(ジャクソン)
サム・シェパード(バック)
【感想】
長年の友人であるペネロペ・クルスとサルマ・ハエックが共演した西部劇は、3,500万ドルの製作費に対して1,800万ドルしか稼ぐことができず、おそらくアメリカでの興行成績を受けて日本では劇場公開されずビデオスルーとなった。
ペネロペ・クルスとサルマ・ハエックの主演二人は胸元をさらけ出したような服装を着て、いかにも観客向けサービスといった場面も多い。こういったものは映画においては「おまけ」であってほしいものだが、それがメインだったと思えるほどに内容はない。
マリアは父が重傷を負い、サラは父が殺されている。その復讐の映画と字面だけ見ればシリアスに感じるが、いたってコミカルな映画である。ラストで黒幕のジャクソンをやっつけて終わるのだが、せめてお互いがともに父を思う場面があって然るべきだと思う。コメディにしては主人公らが受ける仕打ちがハードすぎる。もう少しバランスの取れた筋書きを用意すべきだったと思う。
その主演二人に途中からスティーヴ・ザーン演じる探偵のクエンティンが加わってくる。クエンティンは冒頭にひと場面あるのでそれなりの扱いではあるが、以降しばらく登場しない。彼に婚約者がいることも映画的な面白さには直結しておらず、マリアやサラと仕方なくキスすることがあっても、彼に婚約者がいるの設定が生きているわけでもない。映画を見終えてから振り返ると、クエンティンがわざわざ冒頭に登場する必要はなかったように思える。
マリアとサラは銀行強盗を決心するが、やったこともないので銀行強盗で名を馳せたバックという男のもとへ向かい修行を受けることになる。このバックを演じたのはサム・シェパードである。彼女たちの依頼に付き合い訓練するのだが、よくよく見てみるとこのバックは心得は伝授していても具体的になにかの訓練をしているわけではない。マリアとサラが武器の練習や体力作りをする程度である。しかも、この場面が終わるとバックは映画から姿を消し以降も登場することはない。マリアとサラが自分たちの力で解決させる映画なので、肝心な場面で助けにやってくるなんかよりよっぽど良いが、名優サム・シェパードがこの程度の扱いとはどこか可哀想。
また、この場面あたりから「明日に向って撃て!(1969)」を意識した場面が増えてくる。訓練する様子をモンタージュで描くのはブッチ(ポール・ニューマン)の自転車シーンを、マリアの「I Can't Swim!!」はサンダンス(ロバート・レッドフォード)を思い出すに決まっている。また、クエンティンが加わってからの3人組も「明日に向って撃て!(1969)」の3人組の性別を入れ替えたように見える。このオマージュは映画愛といえばそうかもしれないが、やや安易すぎないか。
そして、このマリアとサラのバディものだが、彼女たちが最悪の出会いでいがみ合いながらも共通の敵をやっつけるために徐々に絆を深めていく過程はあまりにも予定調和である。ここがメインの映画なはずなのにもはや事務的であり、まるでこの部分に興味がないと思わせるほどである。
この二人が力を合わせたからこそ映画のラストまでたどり着いた印象はなく、ジャクソンをやっつけるのも言わずもがな予定調和で面白みに欠ける。一応、マリアとサラでキャラクターの描き分けこそしているが、それに納得感のある展開はほとんど用意されていない。ちなみに、マリアが男性経験のない設定であるが、これは名前がマリアというところにしか説明できる要素はなく、ペネロペ・クルスの見た目でその設定は無理がある。
セクシーな女性キャストの性的な魅力を全面に押し出したは良いものの、観客からはほぼ総スカンを食らったという感じだろう。やっぱり映画からそういった「雑音」が聞こえてくれば総じて観客は敬遠してしまうものなのだと思う。当時のリュック・ベッソンが脚本を書いたいかにも彼らしい幼稚な作品。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語/スペイン語)
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語/スペイン語)
映像特典
├メイキング
├NGシーン集
├オリジナル予告編
<BD>
収録内容
├上記DVDと同様