【作品#0725】ベイビー・トーク(1989) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

ベイビー・トーク(原題:Look Who's Talking)

【概要】

1989年のアメリカ映画
上映時間は93分

【あらすじ】

公認会計士のモリーは得意先のアルバートから体の関係を迫られ妊娠してしまう。ところが、アルバートは妻子がありながらモリーだけでなく他の女性とも関係を持っており、モリーはシングルマザーとして子供を育てていく決意をする。ある日、外出先で陣痛の始まったモリーはタクシーに乗り込むと、運転手のジェームズが事情を察して猛スピードで病院に向かい、モリーは男児マイキーを出産する。ジェームズとはそれっきりと思っていたが、モリーの住むアパートにジェームズが忘れた荷物を届けにやってくる。

【スタッフ】

監督/脚本はエイミー・ヘッカリンク
音楽はデイヴィッド・キティ
撮影はトーマス・デル・ルース

【キャスト】

カーティス・アレイ(モリー)
ジョン・トラヴォルタ(ジェームズ)
オリンピア・デュカキス(ロージー)
ジョージ・シーガル(アルバート)
ブルース・ウィリス(マイキーの声)

【感想】

750万ドルの予算に対し、全世界で2億9千万ドルの大ヒットを記録した。また、しばらく低迷を続けていたジョン・トラヴォルタにとっての復活作となり、計3作品が作られる人気シリーズとなった。後に地位を確立する「パルプ・フィクション(1994)」でマイキーの声を演じたブルース・ウィリスと共演することになる。

タイトルが「ベイビー・トーク」なんだから、もっと赤ちゃんのマイキーにフィーチャーした作品かと思いきや、割と大人二人が主演であり、赤ちゃんのマイキーは準主演くらいの立ち位置である。そもそも、本作の原題は、「Look Who's Talking」であり、「おまえに言われたくないよ」といった意味合いになるそうだ。確かに赤ちゃんの心の声をブルース・ウィリスが演じているのだからそっちをアピールしたい気持ちも分かるが、やや邦題によるミスリードがあると感じてしまう。

ただ、あくまで大人たちが自分たちの意志で考え行動する物語という意味では悪くないし、ご都合主義的にも見える終盤の展開も決して悪くはない。どう考えても結ばれる二人、主演女優側の母親、主演男優側の父親、わかりやすい敵などの人物配置も王道中の王道。ただ、モリーとジェームズの人となりはもう少し掘り下げても良かったように思う。正直、アルバートは序盤以降すっかり出てこなくても良かったくらいの存在だったと感じる。

また、その大人たちの様子をブルース・ウィリスがマイキーの声として面白おかしく表現しているところは実に様になっている。仮に本作のマイキーを見ている途中にブルース・ウィリスの顔が浮かんだって何ら問題がない。引退したブルース・ウィリスはキャリアを振り返っても多くの監督から愛され、そして本作のような声の出演もある。本作の声の出演も素晴らしいと感じるが、キャリア通して見るとそこまでやっていないのが意外なくらいだ。

そして、本作の製作された80年代後半は、アメリカはじめ全世界でエイズが猛威を振るっていた頃である。そんな事情はお構いなしにアルバートは妻子がありながらモリーだけではなく他の多くの女性と体の関係を持っていることを示唆する描写がある。モリーはアルバートが妻子持ちであることを知りながらアルバートと関係を持つことを受け入れており、さらには避妊もしていない。年も30を過ぎ、仕事ばかりでもいられないという思いもあったのかもしれない。

さらに、モリーは職場での仕事ぶりをそれなりに評価されており、アルバートのいる得意先にはモリーが必要だと上司から言われる場面がある。すべての事情を話せないにしても、モリーがアルバートを担当したくないと言ったとしてもその意見が通ることはない。本気を出せば断れたのに最終的に体を許したのはモリーじゃないかという話であり、ここがタイトルに繋がってくるところだろう。

また、マイキーの父親代わりになっていくのがタクシーでモリーを病院まで連れて行ったジェームズである。彼は本業のパイロットはさっぱりで、タクシーの運転手として生計を立てているようだ。また、施設に入れている父親の関係で郵便の送り先をモリーの家に許可なくするような人間でもある。

なので、キャリアウーマンのモリーに対して、低収入のジェームズという構図になる。ただ、このいわゆる格差のある関係について言及する場面は皆無といって良い(モリーの母親ロージーがジェームズをもっと毛嫌いしても良いと思うくらいである)。このあたりは掘り下げ甲斐のあった箇所ではないかと感じた。

やはり子供が生まれると子供中心の生活になるように、マイキーが生まれてからのモリーとジェームズの関係性にはもっとマイキーが絡んできても良かった。子供を軸に物語が展開する映画もあるように、たとえ話すことのできない子供であっても、登場人物に気付きを与える場面がもう少しあると、赤ちゃんの心の声をブルース・ウィリスが演じる意義も大いにあったことだと思う。

また、少し気になったのはマイキーが途中から若干成長しているところである。途中からマイキー役の赤ちゃんも変わっており、どう見ても1歳位にはなっている。あらゆる事情がそうさせたのだと察するが、時間が経過したのならその経過を表す必要があるし、また本作の描き方だと時間は経過していないという印象も受けた。

とはいえ、ブルース・ウィリスのアテレコはこれでもかとハマっており、主演した二人もいきいきして良かった。上映時間も短く、のんびり楽しめる一本。

【関連作品】


「ベイビー・トーク(1989)」…シリーズ1作目
リトル★ダイナマイツ/ベイビー・トークTOO(1990)」…シリーズ2作目
ベイビー・トーク3/ワンダフル・ファミリー(1993)」…シリーズ3作目



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