【作品#0695】ハリウッド的殺人事件(2003) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

ハリウッド的殺人事件(原題:Hollywood Homicide)

【概要】

2003年のアメリカ映画
上映時間は115分

【あらすじ】

ロサンゼルスにあるクラブで銃撃事件が発生した。捜査を担当することになったジョーとコールデンは殺されたヒップホップメンバーの暗殺であると考えて捜査を進めていく。

【スタッフ】

監督/製作はロン・シェルトン
脚本はロン・シェルトン/ロバート・ソウザ
音楽はアレックス・ワーマン
撮影はバリー・ピーターソン

【キャスト】

ハリソン・フォード(ジョー・ギャヴィラン)
ジョシュ・ハートネット(K・C・コールデン)
レナ・オリン(ルビー)
イザイア・ワシントン(アントワン・サーティン)
ドワイト・ヨーカム(リロイ・ワズリー)
ブルース・グリーンウッド(ベニー)
キース・デヴィッド(レオン)
マーティン・ランドー(ジェリー)

【感想】

本作の脚本を務めたロバート・ソウザは14年間ロス市警で警官をしていた経歴を持ち、不動産仲介業の副業をしていたことや、手錠を掛けられた犯人が警官の銃を奪って発砲する場面は、実際に起こったことから着想を得ている。また、当初はジョン・トラヴォルタとジョセフ・ゴードン=レヴィット主演で話が進められていたが、ハリソン・フォードとジョシュ・ハートネット主演で製作された。

ハリソン・フォードは後の本作への出演を後悔する発言をしているが、それほど悪くは思わない。何ならハリソン・フォードのコメディ演技はかなり良かったと思う。ハリソン・フォードが全力でチャリを漕いで、タクシーのドアにぶつかって横転するところなんかは笑える(スタントも見事)。着メロの件はややくどいが、あの着メロが鳴っただけでニヤッとさせるほどの面白さもある。

相手役のジョシュ・ハートネットも良かった。撮影中、ハリソン・フォードとは仲良くならなかったようだが、相性は良かったように思う。親子くらいの年の離れた二人だが、時にお互いを心配しあう関係。

それから、本作は刑事ものであるが他の作品とは一味も二味も違う。何と言っても実際に警官をしていた人が脚本を務めているだけあって、今までの刑事ものにはなかった新たなものを見せてくれる。かつての刑事ものであれば、その刑事のプライベートは家族や恋人がいれば彼らとの関係を描き、独身で恋人もいなければ一人で酒でも飲んでいるみたいな描写が多かった。ところが、本作では主演の二人の刑事が副業をしている様子を描いていく。

日本の警察官が公務員で副業を禁止しているのとは異なり、アメリカでは副業が認められており、本作の脚本家もかつては不動産業を副業にしていたらしい。本作ではジョーが不動産業を、K・Cはヨガ講師を副業にしており、殺人事件の捜査の合間に彼らの副業の様子が描かれていく。また、K・Cは警察を辞めて俳優業を目指しており、その恵子の様子なんかも盛り込んでいく。これらを同時進行で描いていくのは決してスマートではないが、新鮮な気分にさせてくれるし、本作以降にこういったテイストの刑事ものはあまりお見掛けしない。

また、ジョーは何としても売りたい物件があり、それを戦略的に売り込もうとする様子を描いていく。そして、犯人追跡中のエレベーターでの移動中に携帯電話で交渉が成立すると捜査を忘れて大喜びする。この時のハリソン・フォードが実に良い。

ただ、本作は殺人事件と警官の副業だけでなく、内務調査課のマッコがジョーを追っている話や、そのマッコとかつて交際しており現在はジョーと交際しているルビーの話まで描いている。この辺りは欲張り過ぎたと思う。特に内務調査課の話は描き方があまりにも中途半端であり、マッコが最後に逮捕されるところも特に爽快感などはない。上司に目を付けられる設定が陳腐になることを避けたのかもしれないが、これなら内務調査課関連の話は丸ごとなくても良かったと思う。

そして、アクションはボチボチなんだが、本作のコメディテイストを考えるとこれくらいが丁度良かったのかもしれない。実際に警官をしていた人が脚本家ということで、他にもいろんな引き出しがあったんじゃないかと思う。そう考えると映画よりもテレビシリーズ向きだったのかもしれない。少なくとも世間での評価とは全く異なり、結構好きな作品。

【音声解説】


参加者
├ロン・シェルトン(監督/共同脚本)

監督で共同脚本のロン・シェルトンによる単独の音声解説。かつてスポーツ映画を多数撮ってきたロン・シェルトンなりのスポーツ映画と刑事映画の共通点、あえて今までの刑事ものから外れた作品に仕立て上げたかったこと、本作で描かれるエピソードで実話から着想を得ているもの、ラッパーの演技、ロケ地、使用した楽曲とその使いどころ、アクションシーンの裏側などについて話してくれる。また、監督は「ハリソン・フォードのコメディ演技は過小評価されている」と語っていたが、私もそう思う。



取り上げた作品の一覧はこちら



【ソフト関連】

 

<DVD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典

├ロン・シェルトン(監督)による音声解説

映像特典
├メイキングドキュメンタリー
├LAPDストーリー
├マル秘ハリウッド殺人課
├フィルモ・グラフィ
├オリジナル劇場予告編集