【作品#0684】アンナと王様(1999) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

アンナと王様(原題:Anna and the King)

【概要】

1999年のアメリカ映画
上映時間は148分

【あらすじ】

インドで育った未亡人のアンナは息子とともに、シャム王国の王様から王国の近代化を図るための家庭教師として招かれることになる。

【スタッフ】

監督はアンディ・テナント
音楽はジョージ・フェントン
撮影はキャレブ・デシャネル

【キャスト】

ジョディ・フォスター(アンナ)
チョウ・ユンファ(モンクット王)

【感想】

本作の主人公のモデルであるアナ・リオノウンズが発表した小説の映画化。映画化や舞台での上演は度々行われてきたが、中でも「王様と私(1956)」が大変有名であるが、そのリメイクというわけではない。アカデミー賞では美術賞と衣装デザイン賞の2部門にノミネートされた。

本作の着地を考えるとアンナとシャム王のロマンス映画と捉えるのが自然だろう。英語の教師として呼ばれたイギリス人のアンナと、多くの妻を娶っているシャム王という、生まれも育ちも考えも全く異なる二人が互いに本音でぶつかり合ってきたからこそ通じ合えた。そんな本作もラストシーンはキスシーンでもラブシーンでもなくダンスシーンである。本作のテイストや当時の情勢を考えるとごく自然な終わらせ方に見えるし、味わい深い。

そんな本作も主演2人あってのもの。シャム王を演じたチョウ・ユンファはさすがの存在感。かつて同名原作の映画化で同役を演じたレックス・ハリソンともユル・ブリンナーとも明らかに異なるアジア人が演じたことは大きな意義があるだろう。彼にとって母国語ではない英語は決して堪能ではないかもしれないが、それこそ本作で英語を学んでいるシャム王という設定に合っているだろう。

それから相手役とも言えるアンナを演じたのはジョディ・フォスター。キャラクターとしてちょっと「強すぎる」印象はなくもないが、そのシャム王国にとって異物とも言える英国人が良くも悪くもずけずけと足を踏み入れたことでドラマは展開していった訳である。ただ、彼女が強すぎるからか、シャム王の側室たちは彼女を目の敵にすることもない。どう考えても嫉妬の対象としていじめられてもおかしくはなかったと思うのだが、どうなんだろう。

また、彼らのドラマの合間にシャム王での裏切りやシャム王の娘の死、側室になりながらも脱走を図って罰せられる男女などが描かれる。決して冗長になることなく、彼らのドラマを深堀するエピソードになっていると感じる。

そして、本作はその時代や舞台を感じさせるセットや衣装、音楽なども素晴らしい。一部にはCGも使用されているが、ゴルフ場に作り上げた当時のハリウッドでも最大級のセットは目を見張るものがあるし、当時のシャム王国にいる気分を味合わせてくれる。

傑作とまでは言えないかもしれないが、非常に丁寧な語り口で、キーとなる主演二人も抜群に良かった。アジアを舞台にした歴史ドラマとしてはなかなかの秀作。

【音声解説】


参加者
├アンディ・テナント(監督)

舞台となるタイとロケ地のマレーシアの文化の違い、40度を超える日が続き熱射病で倒れる人が続出した話、チョウ・ユンファの衣装が汗びっしょりになり常に4着用意していた話、当時の映画史上最大規模のセットをゴルフ場に作った話、ジョディ・フォスターの骨折による功罪、史実に基づいた細かい箇所の話、タイの王族には気に入られたが政治的配慮により上映禁止になった話、チョウ・ユンファは母国語ではないタイ語と英語の使い分けを難なくこなした話、アンナの人物造形について話し合ったこと、CGとマットペインティングの使い分けなど本作にまつわる話を満遍なく語ってくれる。



取り上げた作品の一覧はこちら



【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語/タイ語/フランス語)


【ソフト関連】

 

<DVD>

 

言語

├オリジナル(英語/タイ語/フランス語)

├日本語吹き替え

音声特典

├アンディ・テナント(監督)による音声解説

映像特典

├メイキング・オブ「アンナと王様」
├ミュージック・ビデオ(How Can I Not Love You?)
├オリジナル劇場予告編