【タイトル】
ロープ(原題:Rope)
【概要】
1948年のアメリカ映画
上映時間は80分
【あらすじ】
フィリップとブランドンは友人だったデヴィッドをロープで絞め殺す。その後、彼らはスリルを味わうためにデヴィッドの両親や彼らの恩師らを招いたパーティを催す。
【スタッフ】
監督はアルフレッド・ヒッチコック
音楽はデヴィッド・バトルフ/レオ・F・フォーブスタイン
撮影はジョセフ・ヴァレンタイン/ウィリアム・V・スコール
【キャスト】
ジェームズ・スチュワート(ルパート)
ジョン・ドール(ブランドン)
ファーリー・グレンジャー(フィリップ)
【感想】
ヒッチコックにとって初のカラー作品となった本作は、まるで全編がワンカットで撮影されているかのように見える手法が用いられている。また、本作は1924年に実際に発生した殺人事件にインスピレーションを得たとされている。
ヒッチコックの実験的な取り組みは、カメラが救命艇から出ることのなかったある種の密室劇「救命艇(1944)」に続くものであろう。本作も冒頭の通りを人が歩く様子を映すカットがあることを除けば、部屋の中からカメラが出ることはない。
冒頭のシーンで観客にはブランドンとフィリップの二人がデヴィッドをロープで絞殺した様子は示される。さらに、タイトルロールはヒッチコック映画に初出演となったジェームズ・スチュワートである(ヒッチコック映画には計4回出演)。となればジェームズ・スチュワートが彼らの犯罪を暴くのだろうと大体の察しはついてしまう。
その分かり切った展開の作品だからか、当時のヒッチコック映画では短めの80分という上映時間である。バレるかバレないかをこれ以上引っ張るのは難しかったと思うのでこの程度の上映時間に収めたことは良かったポイントだと思う。
すでに多くの指摘があるように、本作のブランドンとフィリップは同性愛の関係が暗示されている。堂々としているブランドンは当時の男らしく、情緒不安定なフィリップは当時の女らしく描かれている。フィリップをそのまま女性に置き換えても何ら違和感のない物語だったと思う。
ただ、結局フィリップを女性としてこの物語を捉えた場合、やはり「女性はヒステリーを起こす」と言わんばかりの当時のステレオタイプに見える。当時のハリウッド映画では「女性はヒステリーを起こすものだ」として、女性キャラクターを信用しない周囲の男性という構図はよく見られた。
当時のハリウッドがヘイズ・コードという自主規制を敷いていたことを考えると、確かに挑戦的であり実験的でもあると感じるが、フィリップを女性として考えた物語として見ればかなり陳腐ではある。
そんなブランドンとフィリップが殺したデヴィッドをチェストに入れたまま、彼らはデヴィッドの両親や友人、恩師の先生を招いたパーティを催すことになる。特にブランドンはそれにスリルと興奮を覚えているようである。一方でフィリップは誰かにバレるのではないかと終始怯えており、ブランドンが「彼は飲み過ぎたんだ」とフォローすることになる。
最終的にフィリップが情緒不安定であることでボロが出て、ルパートが彼らの犯行とデヴィッドの遺体の隠されている場所を言い当てることになる。フィリップがいつ口を滑らすかを待つような展開が続いていき、案の定その形で映画は終わる。これだったらブランドン側が何か失態を犯す方がよっぽど意外性があったと思う。
パーティの招待客同士の会話も意味ありげな場面こそ散りばめられているが、その積み重ねが最後に集約された印象はない。ルパートが事件の真相を暴くことも、フィリップの情緒不安定な態度が決め手になったことなど割と想定通りである。80分という短めの上映時間だから辛うじて見られる作品になっていると思う。
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