【タイトル】
ティン・カップ(原題:Tin Cup)
【概要】
1996年のアメリカ映画
上映時間は135分
【あらすじ】
かつてはゴルファーとして有望だったロイは、今は田舎の練習場でレッスンプロをしている。そこへ精神科医のモリーがレッスンを受けにやって来る。
【スタッフ】
監督/脚本はロン・シェルトン
音楽はウィリアム・ロス
撮影はラッセル・ボイド
【キャスト】
ケヴィン・コスナー(ロイ・マカヴォイ)
レネ・ルッソ(モリー)
ドン・ジョンソン(デヴィッド・シムズ)
チーチ・マリン(ロミオ)
【感想】
ロン・シェルトン監督とケヴィン・コスナーが「さよならゲーム(1988)」以来のタッグを組んだゴルフ映画。シムズ役はデニス・クエイドやピアース・ブロスナンが検討されたが、ケヴィン・コスナーと親しいドン・ジョンソンがキャスティングされた。また、ケヴィン・コスナーがゴールデングローブの男優賞(コメディ・ミュージカル部門)にノミネートされている。
本作はロン・シェルトン監督、ケヴィン・コスナー主演の野球映画「さよならゲーム(1988)」のゴルフ版というよりかは、「ロッキー(1976)」のゴルフ版であろう。才能がありながらも自身の性格でそれをダメにしてしまい、気付けば年を食っていた。そんな男が一人の女性のために戦うべく立ち上がっていく。試合には負けるが勝負に勝つところもそっくりである。「ロッキー(1976)」でいうところのミッキーは本作ではロミオが担っており、ライバルの男から指名されるところも同じだ(本作ではキャディとしてだが)。
また、考えすぎてうまくいかないというのは「さよならゲーム(1988)」にも登場した要素である。考えすぎずに無心でやること=その人の生き方である。勝利を得るために考えることも大事だが、時に無心でやる飾り気のないその気持ちが大事だということなのだろう。
そんな落ち目の主人公ロイをケヴィン・コスナーが演じている。彼がブレイクしてからここまでだらしのない男を演じたのは初めてだろう。いざとなると勝負せずにいられず博奕をうって失敗する頑固な男である。時には危ない橋を渡らないことも大事だと思うが、最後の場面でもモリーに「直感を信じて」と言われて、何度池ポチャしても打ち直してしまい、刻めば勝てた勝負も捨ててしまう。この性格が災いしてプロ行きも試合での勝利も没にしてきた。ロイにとってはこれで良いんだと思うが、やはりスポーツにしても人生にしても「勝負所」ってものはあると思うな。
また、地位も名声も得ているライバルのシムズは、チャリティイベントなども行っているという設定だが、彼の性格を知るロイは「売名行為だ」と言っている。中盤に少年がシムズにサインを求めると、忙しい中サインを求めてきたことに腹を立て酷い言葉を吐く。それを彼女のモリーが目撃し、彼女へ思いを寄せるロイへ鞍替えすることになる。モリーは男選びに失敗する女性という設定なので、シムズを悪役として描くのもありだとは思うが、シムズがあまりにも単純な悪役に終始しているところはもったいない。
モリーは映画的に良くも悪くも「優しすぎる」存在だと感じる。男選びのセンスに欠けるという彼女にしてもその男がロイかシムズしかいないというのもなぁ。ロイがゴルフを頑張るきっかけになるのが女性であるモリーだとしても、彼らのロマンスをそれなりに軸に入れてしまったのは微妙なところ。
そんな本作は135分と上映時間は割と長めだが、そこまで長さを感じる程でもない。場面と場面の間は軽いカントリーミュージックで繋ぐほどのんびりしている。まるでゴルフのホールからホール間を歩いて移動するようにゆっくりしている。
結論、そこまで悪いとも感じなかったが、そこまで良くもない。やはりスポーツ万能なケヴィン・コスナー本人がほとんどのスイングをしているだけあり、その説得力はある。
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