【作品#0602】エイリアン(1979) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

エイリアン(原題:Alien)


【概要】

1979年のイギリス/アメリカ合作映画
上映時間は117分
※ディレクターズ・カット版は116分

【あらすじ】

西暦2112年。地球への帰還途中だったノストロモ号は、知的生命体の信号を受信したことで、7名の搭乗員たちはその調査に向かうことにする。

【スタッフ】

監督はリドリー・スコット
音楽はジェリー・ゴールドスミス
撮影はデレク・ヴァンリント

【キャスト】

トム・スケリット(ダラス船長)
シガニー・ウィーバー(リプリー)
ヴェロニカ・カートライト(ランバート)
ハリー・ディーン・スタントン(ブレット)
ジョン・ハート(ケイン)
イアン・ホルム(アッシュ)
ヤフェット・コットー(パーカー)

【感想】

後にシリーズ化し、SF映画に多大な影響を与えた「エイリアン」シリーズの記念すべき1作目。約1千万ドルの予算に対し、それを10倍以上上回る1億ドル以上の大ヒットを記録した。また、2003年には未公開シーンを入れて再編集したディレクターズ・カット版も製作されている。

次回作「エイリアン2(1986)」のようなアクション大作を期待すると肩透かしを喰らうだろうが、本作はどちらかというとSFホラー作品である。映すべき対象が映っていなかったり、あるいは誰も声を発せず沈黙が続いたりと、「これから何かヤバいことが起こるんじゃないか」というある意味での期待感を増幅させる演出が冴えわたっている。演出、演技、音楽、音響、編集、エイリアンの造形などすべてがうまく噛みあい、非常にシンプルなタイトル「エイリアン(原題もAlien)」の名に恥じない傑作に仕上がっている。

宇宙船にエイリアンが入り込み赤ちゃんから大人にじわじわ成長していくかの如く、タイトルクレジットがじわじわと表記されていくのも本作の演出にマッチしている(一部サイトではソウル・バスがタイトル・デザインを担当したと記載されているものもあるが、監督の音声解説でもポスターデザインの担当者にそのままタイトル・デザインも任せた話をしているので多分デマだろう)。

その後、7名の船員が冬眠状態のノストロモ号の中の様子が映されていく。船員のいない場所で機械だけが動いているところも印象に残る。そこから徐々に船員が目覚めていき、全員での食事シーンとなる。この7名のキャラクターの描き分けも割と序盤でしっかりできており、だからこそ「誰が生き残るのか」というこの手の映画の面白さも担保されることになっているのだろう。

起こされた船員たちは、謎の信号を受信したことで調査をしなければならなくなる。一部船員は給料が低いことに不満を漏らすが、契約した通りに調査へ向かうことになる。次回作「エイリアン2(1986)」でも船員が報酬に不満を口にする場面があったのだが、これは何かのメタファーなのだろうか。

本作は基本的に「静」の作品であり、比較的「動」とも取れる次回作「エイリアン2(1986)」よりかははっきりとSFホラーのテイストで統一されている。特にケインが寄生されてからじわじわと観客を追い込んでいく。見知らぬ存在のエイリアンを解剖しようとして中から出てきた液体が強烈な酸性で、宇宙船を溶かしかねないことから手出しできないという設定は秀逸であると感じる。エイリアンがケインの顔に寄生してからしばらくするとそのエイリアンは顔から剥がれ落ちたらしく、ケインは意識を取り戻す。その際のケインのカメラの捉え方などが絶妙である。「ちょっと気を失っていた」くらいの感覚でいるケインを映すショットはどこか不気味で、照明もきれいに当たっており、白い服を着ているから余計不気味である。その後、みんなで食事をしている最中に寄生したエイリアンがケインの体内で孵化していく一連のシークエンスも強烈であり、上述のケインが意識を取り戻す場面が効いている。

以降はどこにいるか分からぬ1匹のエイリアンと残りの船員の戦いの様相を呈していく。そこからの人間対エイリアンの攻防が面白いだけでなく、アッシュが会社から送られてきたアンドロイドであることが判明する展開もビジュアル的にも楽しめる。

ついにエイリアン対リプリーの戦いとなる。決して派手さはないものの、SFホラーのテイストを壊さない程度に統一された演出は見事である。何かを予感させるカットや意味深なカットもあり、一秒たりとも見逃すことができない。次回作「ブレードランナー(1982)」という、こちらもSF映画の金字塔を監督する若きリドリー・スコット監督にとっての傑作のひとつ。

【ディレクターズ・カット版】

劇場公開から24年後にあたる2003年に発表されたもの。DVDでは両バージョンが発売されており、BDでは1枚に両方のバージョンを収録したものが発売されている。公式の表記では劇場公開版の117分に対して、ディレクターズ・カット版は116分である。なので劇場公開版にしかない場面、ディレクターズ・カット版にしかない場面があり、よく見ていないと気付かない細かい箇所の変更がなされている。

【音声解説1】※劇場公開版、ディレクターズ・カット版ともに収録。

参加者

├シガニー・ウィーバー(リプリー役)

├リドリー・スコット(監督)

├ロナルド・シャセット(製作総指揮)

├ジョン・ハート(ケイン役)、ダン・オバノン(脚本)

├ヴェロニカ・カートライト(ランバート役)

├トム・スケリット(ダラス船長役)

├ハリー・ディーン・スタントン(ブレット役)

├テリー・ローリングス(編集)

何組かに分かれて収録されている音声解説(例えば、リドリー・スコット監督とシガニー・ウィーバーは一緒にいるなど)。リドリー・スコット監督がシガニー・ウィーバーを見てテストもせずに起用を決意した話、撮影現場で感じなかったシガニー・ウィーバーの演技力が編集の際により実感できた話、ジョン・ハートがジョン・ハードと勘違いされて南アフリカに入国できずに本作の出演が実現した話、試写でジェリー・ゴールドスミスの別の映画の音楽を使ったらそちらの方が好評でジェリー・ゴールドスミスが落ち込んだというエピソードなど、各人が興味深いエピソードを話してくれる。

【音声解説2】※劇場公開版にのみ収録。

参加者

├リドリー・スコット(監督)


監督のリドリー・スコットによる単独の音声解説。話しぶりからDVDが発売される1999年頃に収録したものと思われる。ポスター用のデザインを依頼した人にタイトルデザインも依頼した話、エイリアンや宇宙船の造形に関する話、リプリーとダレス船長に特別な関係があることを匂わせる撮影もしたが没にした話、映画会社と粘り強く交渉して撮影した場面の話、冨田勲の「惑星」を流しながら撮影した場面の話など話は多岐にわたり、撮影当時に予想していた未来に関する話やキャストやスタッフの仕事ぶりについて饒舌に語ってくれる。また、この時点でエイリアンの5作目や6作目を製作したいと話しており、それは前日譚シリーズとして2012年に実現している。

【関連作品】

「エイリアン(1979)」…シリーズ1作目
「エイリアン2(1986)」…シリーズ2作目
「エイリアン3(1992)」…シリーズ3作目
「エイリアン4(1997)」…シリーズ4作目
「プロメテウス(2012)」…前日譚シリーズ1作目
「エイリアン:コベナント(2017)」…前日譚シリーズ2作目
「エイリアンVSプレデター(2004)」…「プレデター」シリーズとのクロスオーバー1作目
「AVP2 エイリアンVSプレデター(2007)」…「プレデター」シリーズとのクロスオーバー2作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【予告編】

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├日本語吹き替え

 

<Amazon Prime Video>

 

本編

├ディレクターズ・カット版

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト情報】

本作は多くのソフトが発売されているので、何を見たいのかによって購入するものは変わってくる。まず劇場公開版とディレクターズ・カット版の両方を見たいのであれば両方が収録されているBDか4K ULTRA HDを選ぶべきである。

ただ、映像特典に関しては2枚組で発売されたDVDが一番充実していると思われる。BDにも映像特典は収録されているが、2枚組のDVDとは異なるし、収録されている量も少なくなる。

そして、本作は「吹替の帝王」シリーズの一環でBDも発売されており、吹替だけで5種類も収録されている。吹替の豊富さでは歴代で発売されたソフトの中でもトップクラスであろう。もし吹替の聞き比べなどしたい場合はそのBDを購入すべきである。詳細は下記を参照ください。

<DVD(劇場公開版)>
 

本編

├劇場公開版

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え
音声特典

├リドリー・スコット監督による音声解説
映像特典

├未公開シーン

├削除されたシーン

├フォト・ギャラリー

├フィルム・サウンド・トラック

├TVスポット

├オリジナル劇場予告編集

├隠しコマンド

 

<DVD2枚組(ディレクターズ・カット版/アルティメット・エディション)>
 

収録内容

├ディレクターズ・カット版

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

映像特典

├プリプロダクション

├モンスター誕生

├物語が完成するまで

├物語の映像化

├監督とデザイン

├初期の脚本

├制作準備の絵コンテ

├ストーリーボード・アーカイブ

├シガニー・ウィーバーのカメラテスト

├宇宙のトラック野郎たち

├キャスティング

├エイリアンの世界

├コンセプト・アート・ギャラリーほか

 

<BD>


本編

├劇場公開版

├ディレクターズ・カット版
言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典

├リドリー・スコット監督による音声解説(劇場公開版のみ)

├スタッフとキャストによる音声解説(劇場公開版/ディレクターズ・カット版)
映像特典

├リドリー・スコット監督によるイントロダクション(ディレクターズ・カット版のみ)

├ミュージック・トラック(劇場公開版のみ)

├作曲者によるオリジナル・ミュージック・トラック(劇場公開版のみ)

├未公開シーン集

 

<BD(日本語吹替完全版)(吹替の帝王シリーズ第7弾)>

 

本編
├劇場公開版

├ディレクターズ・カット版

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

 ├フジテレビ

 ├テレビ朝日

 ├LD用

 ├VHSとDVD用(劇場公開版)

 ├DVDとBD用(ディレクターズ・カット版)
映像特典

├上記BD特典と同内容
封入特典

├日本語吹替台本(フジテレビ/テレビ朝日)

├インタビュー集(劇場公開版のVHS/DVD、ディレクターズ・カット版のDVD/BDでリプリーを演じた幸田直子、テレビ朝日版でダラス船長を演じた大塚明夫の2名のインタビュー)


<4K ULTRA HD+BD(製作40周年記念版2枚組)>
 

本編
├劇場公開版

├ディレクターズ・カット版

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

 ├フジテレビ

 ├テレビ朝日

 ├LD用

 ├VHSとDVD用(劇場公開版)

 ├DVDとBD用(ディレクターズ・カット版)

映像特典

├上記BD特典と同内容

 

【書籍関連】

 

<ノベライズ>

 

著者

├アラン・ディーン・フォスター

翻訳者

├深町眞理子

長さ

├354ページ