【タイトル】
ブロンド(原題:Blonde)
【概要】
2022年のアメリカ映画
上映時間は167分
【あらすじ】
マリリン・モンローの生涯を描く。
【スタッフ】
監督/脚本はアンドリュー・ドミニク
製作はブラッド・ピット
音楽はニック・ケイブ/ウォーレン・エリス
撮影はチェイス・アービン
【キャスト】
アナ・デ・アルマス(マリリン・モンロー)
エイドリアン・ブロディ(アーサー・ミラー)
ボビー・カナベイル(ジョー・ディマジオ)
【感想】
ジョイス・キャロル・オーツが2000年に出版した小説「Blonde」の映画化作品。ノンフィクション小説の映画化作品なので、すべてが事実というわけではないようだ。批評家や視聴者からの賛否は大きく分かれたが、アナ・デ・アルマスの演技は大きな評価を受け、アカデミー賞では主演女優賞に、ゴールデングローブでは女優賞にノミネートされた。
マリリン・モンローの生涯を振り返る伝記映画を期待すると痛い目に遭うことになるだろう。ただひたすらに167分間陰鬱であり、たとえマリリン・モンローが笑顔であっても実際にその場で起こっていることはとても笑顔になれないこともある。幼少時の虐待や性的搾取などのトラウマからマリリン・モンローが急に不安になると、こちらも不安になってしまう。とても気分の沈んでいる時に見る映画ではないし、その意味ではのめり込んでしまう人も出てくるだろうから注意が必要な作品とも言える。
また、あの有名な風でスカートが捲れるマリリン・モンローは、多くの見物人のいる中で撮影されていることがわかる。撮影なのでマリリン・モンローは笑顔だが、女性の下着が幾度となく露わになる場面の撮影を多くの見物人が当たり前にいる中で行われていたことがいかに異常だったかを思い知らされることになる。しかも、映画会社が宣伝のために人を呼び寄せたというのだからそれも恐ろしい話である。
上述のようなエピソードは序の口であり、幼少時の虐待や枕営業など彼女が受けた仕打ちは相当なものだったのだろう(フィクション含むだが)。そんな彼女が本名のノーマ・ジーンを守るために作り上げた別人格がマリリン・モンローだったのだと分かってくる。別人格を作り上げてそれを演じていないと本当の自分を守れなかったのだろう。
結局、マリリン・モンローの映画を楽しんだ人たち(当然私も含むだが)は、彼女の演技や歌を純粋に楽しんだのだろうが、彼女がいかに性的搾取を受けてきたかは知らなかっただろうし、考えもしなかっただろう。セックスシンボルになった人たち(男性も含む)が全員、こんな目に遭っていたわけではないだろうが、これもある種のMe too運動の派生作品とも捉えることができる。マリリン・モンローの出演作品は基本的に明るい作品が多かったが、そのすべてに対するアンチテーゼを作りたかったのだろう。こんな作品にすれば批判が来るのも当然わかって監督も本作を製作したことだろう。見ていられない場面もあり、映画としての面白さはほとんどないが、アナ・デ・アルマスの演技と本作の製作意義は多少評価したいところではある。
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Netflix>
言語
├オリジナル(英語/イタリア語)
├日本語吹き替え
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【ソフト関連】
<CD(マリリン・モンロー メモリアル・コレクション)>
収録内容
├25曲/74分
<DVD(10枚組)>
収録内容
├「紳士は金髪がお好き」
├「ナイアガラ」
├「百万長者と結婚する方法」
├「モンキー・ビジネス」
├「ノックは無用」
├「結婚協奏曲」
├「アスファルト・ジャングル」
├「イヴの総て」
├「ふるさと物語」
├「熱い夜の疼き」
【書籍関連】
<追悼 マリリン・モンロー 20世紀最後の証言>
形態
├紙/電子
著者
├井上篤夫
出版社
├集英社
長さ
├328ページ
<マリリン・モンローという女>
形態
├紙/電子
著者
├藤本ひとみ
出版社
├角川文庫
長さ
├413ページ