【タイトル】
魔法にかけられて(原題:Enchanted)
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【概要】
2007年のアメリカ映画
上映時間は107分
【あらすじ】
おとぎ話の世界アンダレーシアに住むジゼルはエドワード王子との結婚を控えていた。しかし、王子の継母である魔女ナリッサは自分の座を守るために、ジゼルをニューヨークに追放する。
【スタッフ】
監督はケヴィン・リマ
音楽はアラン・メンケン
撮影はドン・バージェス
【キャスト】
エイミー・アダムス(ジゼル)
パトリック・デンプシー(ロバート・フィリップ)
ジェームズ・マースデン(エドワード王子)
ティモシー・スポール(ナサニエル)
スーザン・サランドン(ナリッサ女王)
【感想】
アニメーションと実写を両方用いたディズニーのミュージカルロマンス映画。全世界で3.4億円、また日本でも29億円のヒットを記録した。
ジゼルはディズニーのおとぎの国で描かれる「決まった相手」との結婚を取りやめて、自分の好きになった相手との結婚を自主的に選択することにこそ、今までのディズニー映画との決別というメッセージもあるにはあるが、別に新しくも何ともない話である。決められた相手との結婚を嫌がって好きな相手と結婚しようと反発する若者を描く物語なんて映画で言っても半世紀以上も前から存在するし、物語として見れば何世紀も前からあった話である。それを2007年に描いたとしても何ら新しい事ではない。さらに、本作は映画的には、ディズニーという看板を気にさえしなければジゼルとロバートが結婚するのはむしろ意外性は全くない。ただ、比較的保守のディズニーがこのような物語を用意したという前置きさえあれば、今までのプリンセス像を打ち破る作品として一応の納得はすることができるのだろう。
本当にこの結末で良かったんだろうか。特に酷いのは振られた側の2人である。ロバートとの結婚を真剣に考えていたナンシーと、ジゼルと婚約までしていたエドワード王子は、互いに振られたことが分かった後に意気投合し、アンダレーシアの国にやって来て彼らが結婚するまでをほんの数十秒の映像で描いている。ジュリー・アンドリュースによるナレーションで「みんなが幸せに暮らしました」と結んでいるが、ナンシーとエドワード王子にはこの結末を用意すべきだったとは思えない。男女が結ばれることこそが「幸せ」であり、振られた男女がそのままで映画を終わらせたくなかったのだろうと推察するが、この振られた男女に、ディズニーの考える「幸せ」を無理やり押し付けるのはどうかと思うわ。いくら子供向けとはいっても、振られた者の物語なんて無視して、「振られた者同士くっついていろ」と言わんばかりの結末はどう考えても欺瞞だと感じる。振った側が振られた側を思いやる場面や申し訳なく思う場面も描かれることがない。これは振られた側の物語を観客に意識させない意図があったと思う。5年間交際して結婚まで考えた相手がぽっと出の女性に取られたというのにナンシーはえらく理解が良すぎる。このキャラクターこそ、自発的に行動すべきだと思うが、あくまでプリンセスのジゼルを引き立てるだけの存在になっている。
この物語ではジゼルが自発的に行動して結婚相手を選ぶというある程度納得のいく筋書きを用意しているのに、このエドワード王子とナンシーが自発的に相手を選んで結婚したとは到底思えない。序盤にジゼルが出会ってすぐにエドワード王子と婚約した話をロバートにする場面があるが、このエドワード王子とナンシーはまさにその関係になっており、本作はこの視点を皮肉るわけでもない。ただただ、幸せという価値観にこの2人を無理やり充て込めた感じがする。
こんな結末になるくらいなら、おとぎの国のジゼルがニューヨークにやってきたことで、ロバートはナンシーとの付き合いをより真剣に考え行動し、不安に思っていたナンシーも結婚を決意する話にした方がよっぽど良い。この映画的には、ジゼルにとってエドワード王子はもはや結婚相手の選択肢にすら入っておらず、ロバートと結婚するのが決まりきった話にも見える。せめてエドワード王子のことを知ろうとする描写ぐらいは入れても良かったんじゃないか。決められた相手との結婚を取りやめることが目的ではなくて、自分で相手を見定めて結婚相手を選ぶことこそがキャラクターの自主性に繋がるはず。なので、本当の自主性を描くなら、ロバート友エドワード王子とも知り合うための時間を取り、そのうえでどちらかを選ぶ、あるいは選ばないという演出にすべきだと思う。
結局、プリンセス像こそ今までと違う作品にしているが、成長するのはそのプリンセス本人だけであり、周囲の人物は妙に理解が良すぎたり、作品や世界観を壊さないキャラクターとしてしか描かれていない。作品全体としてはそれなりに楽しめる明るい作品だが、どうもオチだけは解せない。
【関連作品】
「魔法にかけられて(2007)」…シリーズ1作目
「魔法にかけられて2(2022)」…シリーズ2作目
取り上げた作品の一覧はこちら
【ソフト関連】
<DVD(2枚組/スペシャル・エディション)>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
映像特典(DVD1枚目)
├ファンタジーから現実へ
├NGシーン集
├未公開シーン(ケヴィン・リマ監督によるイントロダクション付き)
├ポップ・アップ・アドベンチャー:がんばれ ピップ!
├ミュージック・クリップ By キャリー・アンダーウッド
映像特典(DVD2枚目)
├アンダレーシア:手描きアニメーションの世界
├アニメーションの世界から現実世界へ
├ピップとドラゴンの誕生
├ミュージカルを受け継ぐ
<BD>
言語
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├日本語吹き替え
映像特典
├ファンタジーから現実へ
├NGシーン集
├未公開シーン(ケヴィン・リマ監督によるイントロダクション付き)
├ポップ・アップ・アドベンチャー:がんばれ ピップ!
├ミュージック・クリップ By キャリー・アンダーウッド
【音楽関連】
<CD(サウンドトラック)>
収録内容
├19曲/67分