【作品#0490】その女諜報員 アレックス(2015) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

その女諜報員 アレックス(原題:Momentum)


【概要】

2015年のアメリカ/南アフリカ合作映画
上映時間は96分

【あらすじ】

元諜報員のアレックスは銀行強盗チームに加わり、南アフリカの銀行を襲う。その晩、ホテルで銀行強盗の依頼人と会う予定場所に行くと、その部屋に襲撃者が現れる。

【スタッフ】

監督はスティーヴン・S・カンパネリ
音楽はロラン・エケン
撮影はグレン・マクファーソン

【キャスト】

オルガ・キュリレンコ(アレックス)
ジェームズ・ピュアフォイ(ワシントン)
モーガン・フリーマン(上院議員)

【感想】

クリント・イーストウッド監督作品「マディソン郡の橋(1995)」から「アメリカン・スナイパー(2014)」までカメラオペレーターを務めてきたスティーヴン・S・カンパネリの監督デビュー作。そのイーストウッド作品にも出演していたモーガン・フリーマンが彼のデビュー作に花を添えたが、2,000万ドルの予算に対し、たったの78万ドルしか稼ぎ出すことができなかった。また、イギリスでは初週末の興行成績がたったの46ポンドだったことも話題となってしまった。

まず、本作の邦題は「その女諜報員 アレックス」となっているが、現役の諜報員でもないわけだし、それが分かるのは終盤にかけてであるのでどう考えても不適当だろう。また、元カレに誘われて銀行強盗に加担しているのだが、別に弱みを握られていたわけでもないので、アレックスに観客が共感しづらい導入でもある。

後にワシントンによってアレックスの過去が明かされるのだが、残念ながらこのアレックスは凄腕諜報員というわけではないようだ。冒頭の銀行強盗の場面では仲間割れして顔を人質に晒してしまっている。この場面は顔に傷があることが後に重要な要素になるのだが、後から考えると死体の顔に傷をつけるという展開ありきだったのだろう。また、犯人の似顔絵がテレビでも公開されるのだが、せめて防犯カメラをどうにかしたという描写は入れるべきだろう。

さらに、ホテルのベッド下に隠れていながら何もできずに仲間のフラーが殺し屋たちに殺されてしまった後、部屋の外にいるワシントンにアレックスは銃を向けるが弾切れを起こしていたことで追われてしまうことになる。仲間が殺されたことで気が動転していて銃弾が入っているか確認できる精神状態でなかったとフォローすることはできるが、何とも間抜けである。

そして、敵の1人を捕まえて銃を構えながらエレベーターに逃げ込む場面がある。このワシントンというキャラクターを考えるとここで味方の1人を殺してでもアレックスを捕まえるべきところだと思う。そのため、この場面もアレックスが決してうまく回避したとは思えなくなっている(これは後の場面を見て振り返るとさらに如実である)。

その後、何とか切り抜けて車で逃げていると、よそ見をしたことで警察に追われるという、こちらも何とも間抜けな展開がある。敵の車がパトカーごと吹っ飛ばしてくれたおかげでアレックスは助かり、しかもその車が横転した場所が何と偶然にも仲間の家の近くだったのだ。いくら何でも都合が良すぎるだろう。

仲間のフラーの妻の家に2人の殺し屋がやってくると、何とか追いついたアレックスが1人の殺し屋と格闘になる。殺し屋を2度やっつけるのだが、とどめを刺さなかったことで2度も襲われることになるのは物語が盛り上がる要素では全くない。2人目もやっつけた後、アレックスとフラーの妻は長々話しているのだが、敵に居場所は知られたのだからとっととその場から離れるべきだろうに。

ワシントンらがフラーらの死体処理をする現場に辿り着くと、携帯電話の着信でまたしても殺し屋にバレてしまう(アレックスのミスは何度目!?)。その殺し屋をやっつけると、ワシントンを追いつめるのだが、急に新たな敵キャラが登場してアレックスは捕まってしまう。敵キャラを後出しじゃんけんで登場させるのはさすがに酷い。

終盤は空港でのシーンになる。ダイヤモンドの入ったアタッシュケースに爆弾が仕掛けてあり、アレックスも敵も吹き飛ばされる。現場に駆け付けた警官たちはこの吹き飛ばされた人たちを被害者ではなく、疑うことなく事件の犯人であると断定しているのも不可解である。さらに、アレックスはワシントンに「こうするためにわざと捕まった」と言っているがどう考えても無理がある。

ラストでは、モーガン・フリーマン演じる上院議員の恐ろしい計画が判明するが、何も解決しないまま映画は終わってしまう。アレックスを主人公にしたシリーズを目論んでいたのだろう。肝心のアクションに関しても、特筆すべき部分は特にない。脚本はズタボロ、アクションは凡庸。そりゃコケるよ。




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