【作品#0462】ロック・スター(2001) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ロック・スター(原題:Rock Star)


【概要】

2001年のアメリカ映画
上映時間は105分

【あらすじ】

ロックバンド「スティール・ドラゴン」に憧れるクリスは、トリビュートバンドのボーカルとして彼らの楽曲を歌っていた。ある日のライブ中に、ギタリストと大喧嘩をしたクリスはバンドを追い出されてしまう。そこへ、「スティール・ドラゴン」のカークからボーカルとしてメンバーに入らないかと誘いの電話を受ける。

【スタッフ】

監督はスティーヴン・ヘレク
音楽はトレヴァー・ラビン
撮影はウエリ・スタイガー

【キャスト】

マーク・ウォールバーグ(クリス)
ジェニファー・アニストン(エミリー)

【感想】

当初はイギリスを代表するバンド「ジューダス・プリースト」に加入したティム・オーウェンズの話を元にした映画として製作する予定だったが、各名称が使えなくなったために架空のバンド、人名で映画化されている。また、音楽の担当はこちらもイギリスを代表するバンド「イエス」のトレヴァー・ラビンが務めている。

本作に主演したマーク・ウォールバーグはかつてマーキー・マーク&ザ・ファンキー・パンチのボーカルとして歌手活動をしていた過去があり、エンドクレジットで挿入される楽曲「Good Vibrations」は彼らの代表曲である。歌手としての実績はあるのは事実だが、本作でクリス(イジー)の歌はほどんどが別人による吹き替えである。トリビュートバンドのボーカルとして注目された男を本物のバンドが呼び寄せて、「歌声は本当か(吹替ではないか)?」と聞かれ、クリスはその歌声が本物であることを証明して見せる。もしこの設定の映画にするなら、クリス役は本当にあの声を出せる俳優にやらせるべきじゃないだろうか。この設定でなければ歌が吹き替えであっても気にはならないが、「結局、他の誰かの歌声だもんな」と思ったら醒めてしまって当然だ。

また、本作のクリスは、「スティール・ドラゴン」の楽曲こそ歌っているが、自分で楽曲を作って歌っている訳ではない。それについて触れる場面はあるにはあるが、なぜクリスが自分で歌を作ろうとしないのかはあまり伝わってこない。「スティール・ドラゴン」に加入してから当たり前になっていた乱交パーティの会場にエミリーが現れる場面があり、その6か月後に場面は切り替わると、急に「自分で曲を作った」と言ってメンバーに楽譜を渡す。曲を作る苦労も、突然曲を作った動機も説明がない。そこで「曲は他のメンバーが作っているから必要ない」と言われて、クリスは自分が雇われボーカルであることに気付くことになる。そこは雇われボーカルだと気付いていき、自分もバンドのメンバーとして認めてもらえるように自分の曲を作る流れにすべきじゃないかな。序盤でもクリスは兄から「ただの猿真似」と馬鹿にされていた。馬鹿にされてでもクリスがトリビュートバンドのボーカルとして活動したいことや、歌を歌いたいということはもっともっと掘り下げるべきだ。家にたくさんのレコードが置いてあるだけでは説得力は生まれない。

それから、本作の着地を考えると、クリスとエミリーの物語でもある。彼らは恋人同士であり、マネージャーでもある。クリスが主人公であることは分かるが、エミリーにもそれなりの登場のさせ方があるだろうに。クリスの取り巻きの1人くらいで登場させるのはさすがにどうかな。エミリーがクリスの才能を高く評価し、またお互いが尊重し合っているところも丁寧に描いておくべきだっただろう。この辺りの描写があまりにも薄いので、彼らが疎遠になって、最後に復縁する流れにほとんど感動がない。

また、酒に女にドラッグという当時の音楽界の当たり前を描いているのだが、ある意味平凡に見えてしまう。有名になって金もあるからそういうことができるのだろうが、そういう連中がやっていそうなことをやっているだけってなんか夢がないというか、ありきたりというかそういう感想を抱いてしまうな(これは映画云々の話ではなくてだが)。

最後のコンサートシーンでは、クリスは自分と同程度の歌唱力のある観客にマイクを向け、その観客はついにステージに上げてもらい、クリスと共に歌うことになる。そして、曲が終わると、あとはその観客に任せてクリスはコンサート会場を後にする。クリスは自分がここにいるべきではないと感じてその場を去っているのだが、もしかしたらステージに上がったあの観客が自分と同じ目に遭うかもしれない(もしくはその逆かもしれないが)。そうやって巡り廻っていると考えると、悲しいものがあるな。

映画としては平々凡々な印象を受けた。何よりマーク・ウォールバーグの長髪がまるで似合っていない。

【音声解説】

参加者

├スティーヴン・ヘレク(監督)


監督のスティーヴン・ヘレクによる単独の音声解説。80年代の音楽や歌手について取材して映画に取り入れた話、楽曲の使用許可を得られなかった話や製作したのに使用されなかった楽曲の話などをしてくれる。



取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【ソフト関連】

 

<DVD>

 

言語

├オリジナル(英語)

音声特典

├スティーヴン・ヘレク(監督)による音声解説

映像特典

├メイキング

├ミュージック・クリップ“Rock Star”by Everclear

 

<BD>

 

収録内容

├上記DVDと同様