【作品#0456】UDON(2006) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

UDON


【概要】

2006年の日本映画
上映時間は134分

【あらすじ】

コメディアンになると言って家を飛び出しニューヨークへ旅立った松井香助だったが、鳴かず飛ばずで借金を抱えて香川県のうどん屋に帰って来ることになる。

【スタッフ】

監督は本広克行
音楽は渡辺俊幸
撮影は佐光朗

【キャスト】

ユースケ・サンタマリア(松井香助)
小西真奈美(宮川恭子)
トータス松本(鈴木庄介)
鈴木京香(藤元万里)
小日向文世(藤元良一)
木場勝己(松井拓富)

【感想】

香川県出身の本広克行監督が、香川県のさぬき市を舞台にうどんを題材にした作品を作り上げ、南原清隆や高畑淳子など香川県出身の多くの俳優らがカメオ出演している。

本作の冒頭と最後はニューヨークの場面である。別にニューヨークが登場する必然性は1ミリもない。こんなシーンの撮影のためだけにニューヨークに行けるんだから、スタッフやキャストがただ行きたかっただけじゃないのと勘繰りたくなる。もしニューヨークで始めるなら、日本食が恋しくなるとかそんなベタな設定でもあれば良いのに、ただニューヨークで夢が破れただけになっている。これなら別に東京でも良いだろうに。

また、冒頭から恭子のナレーションで話が進んでいく。香助を客観的に語るキャラクターとして恭子がナレーションを担うなら分かるが、この後の恭子のことも彼女自身が語るというナレーションであるところは全くもって意味不明である。これなら本作に出演していない第三者に語らせるべきだろう。

何の連絡もせずに帰って来た香助に家の人間たちが気付く場面は「男はつらいよ」で寅さんが家に帰ってくる場面のパクリである。以降、偶然に香助と恭子は出会い、クマから逃げて云々の件はまるで必要がない。偶然見つけたうどん屋で感動するにしてはえらく「回り道」である。その後、友人の紹介で地元のタウン誌で働き始める。取材と記事をちょっとした工夫をしただけでタウン誌はバカ売れし、うどんのブームを巻き起こすことになる。ただうどん屋を回って食べただけでタウン誌がバカ売れするんだから、まるで「奇跡」のような話である。しかも、何件も出てくるうどん屋も基本的に並列で描かれ、各うどん屋の特徴も差別化されることはない。そこは百歩譲って良いとしても、せめて他の地域のうどんとさぬきエリアのうどんの違いくらいは示すべきだろう(仮にそれが全国的にすでに知られていたとしてもだ)。

そんなうどんブームもある程度落ち着くとタウン誌は廃刊となり、メンバーも解散となる。すると、関係がうまくいっていなかった香助の父親が突然死ぬことになる(こんな簡単にキャラクターを雑に殺すなよ)。そこで香助は実家のうどんを作ると言い始める。もしこの展開にするのなら、香助が最初は借金返済のためにタウン誌を売ることに専念していたが、次第にうどんの魅力に取りつかれるシーンは入れるべきだったと思う。香助は姉から父親のうどん作りの難しさを説かれていたが、香助は周囲の店の人に色々教えてもらってたったの2週間ほどで父親のうどんを再現することに成功する。うどん職人の味に、素人が2週間で到達できるなんて、これもまた「奇跡」のような話である。

完成したうどんを父親の仏壇に供えると、死んだ父親が化けて香助の前に現れる。そこでお互いの本音を話し合うのだが、そんなことは父親が死ぬ前にやっておくべきだ。香助の作ったうどんを小学生たちが食べる場面まで香助の父親は見届けると成仏することになる。

そして香助はうどん屋を継ぐのかと思えば、父親のうどんの味が再現できればそれで気が済んだようで、再びニューヨークへ行くことにする。なぜ観客をがっかりさせる展開を選ぶのか。普通にうどん屋を継げよ。香助の姉が「何事も長続きしない」と言っていたのだが、本当にその通りになってどうする。

エンドクレジットが出る中、画面の左側に小さな画面が映り、登場人物のその後が恭子のナレーションを中心に描かれる。そこそこの尺を取って描くならエンドクレジットの出る中でやるのもいい加減に感じるわ。

そしてエンドクレジットが終わると、ニューヨークにやって来た恭子が香助の主演映画の予告編を見て映画がようやく終わる。くだらなくてクスっとするのではなく、くだらなさすぎて呆れてしまう。本当にこんなオチで良いのか。どう考えても製作陣に「うどん愛」は感じられない。

映画は無駄があまりに多すぎて134分という上映時間になっている。「ブレードランナー(1982)」オマージュの変なシーンもまるで必要なかった。前半と後半がまるでぶつ切りなのも不格好だし、この手の映画ならせめて100分程度でまとめるべきだ。本作を見るくらいなら時間をかけて香川までうどんを食べに行った方がよっぽど有意義かもしれない。

また、タイトルがひらがなの「うどん」でも漢字の「饂飩」でもなくローマ字の「UDON」にしたのは、国際展開を狙っていたからだろう。この映画を持ってカンヌにまで宣伝に行ったのだから多分そうだろう。頼むからこんな恥ずかしいものを世界に持っていこうとしないでくれ。




取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【ソフト関連】

 

<DVD(2枚組/スタンダード・エディション)>

 

言語

├オリジナル(日本語)

音声特典

├本広克行(監督)、亀山千広(プロデューサー)、麺通団による音声解説

映像特典(Disc2)

├映画UDONのDVDが出来るまで(約170分)

 

<DVD(3枚組/プレミアム・エディション)>

 

言語

├オリジナル(日本語)

音声特典

├本広克行(監督)、亀山千広(プロデューサー)、麺通団による音声解説

映像特典(Disc2)

├映画UDONのDVDが出来るまで(約170分)

映像特典(Disc3)

├プロトタイプ(約232分)