【作品#0455】銀色のシーズン(2007) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

銀色のシーズン


【概要】

2007年の日本映画
上映時間は108分

【あらすじ】

かつてはスキー選手として期待されていた城山銀は怪我により引退して、スキー場で何でも屋と称して金稼ぎをしている。一方、そのスキー場の教会で結婚式を挙げるために綾瀬七海がやって来る。

【スタッフ】

監督は羽住英一郎
音楽は佐藤直紀
撮影は藤石修

【キャスト】

瑛太(城山銀)
田中麗奈(綾瀬七海)

【感想】

「海猿」シリーズの監督を務めた羽住英一郎の監督作品。青木崇高にとっては羽住英一郎監督作品は本作で4作品続けての出演となった。

本編を見終えて思うのは、メインキャストにまともな奴が一人もいなかったということだ。特に冒頭では瑛太、玉山鉄二、青木崇高の3人組がスキー場で悪事を働いており、周囲から煙たがられている。どうせ何かの事情を抱えていて最後には良い奴になるという話だろうと推測できてしまう。瑛太の演じた城山銀はかつてスキー選手として活躍したが、地元住民のプレッシャーを受けて臨んだ大会で大技を失敗して、それによる怪我が原因で引退したことになっている。以降は他の2人とつるんでは、スキー場に「何でも屋」のビラをばら撒き、困っている人から金をふんだくり、3人の連携で当たり屋に扮して金を巻き上げるという最低の行為を行っている。序盤からここまでやると、後にとてつもなく良いことをしないと取り返しがつかないが、この後にも悪事を働き、案の定取り返しのつかないことになっている。

一方、もう1人の主演といえる田中麗奈が演じる綾瀬七海がこのスキー場にやってくる。雪なんか見たこともないと言う彼女がスキー板を背負って登場するのは、その直前に瑛太が金を巻き上げることのできるカモを探しており、彼女がネギを背負ったカモということにいうことを示すためだろう(そもそもスキー板を手持ちで電車に乗ってやって来る人間なんていないのだが)。スキー場に完成したばかりの教会で結婚式を挙げる予定だが、彼女の挙動から彼女にも「何か」あることは割と示唆されている。ただ、後に判明するが、半年前に婚約者を亡くしているというのだが、これも設定としてやり過ぎだろう。3人組によって教会が破壊されたことで結婚式の中止を伝えるために、スキー場の面々が七海や婚約者の親族に連絡するタイミングで、その婚約者が半年前に死んだことを周囲の人物たちが知ると言う形になっている。それだけ連絡先をたくさん知っているのに誰一人として事前の確認の電話などしていないわけがない。つまり結婚式の会場を予約しながら半年前に婚約者が死んでいたことをスキー場の面々が知らないという設定が成立するわけがないんだよ。

そして、この教会を破壊したのはあの3人組の仕業である。冒頭に散々悪事を働き、雪山に向けて発射した大砲で教会まで破壊していたのだ(そういや、水道管も破裂させていたがどうなったんだろうか)。これによって七海の結婚式も破壊したことになるのだが、ここで七海の婚約者が死んでいたことを知る展開になるので有耶無耶になるのはどうかと思うわ。結局、この教会を破壊したことも彼らが反省する場面はない(それまでの悪事も反省する場面は一切ないんだが)。ちなみに城山銀はこの教会が作られたこと自体を知らなかったという設定だが、このスキー場で毎日のように悪事を働く彼がそれを知らないのはさすがにそれは無理がある。

それから、七海は雪山に姿を消し、みんなが総出で彼女を捜索することになる。そこでは城山銀と対立する杉本哲太演じる宮部らが殴り合いの喧嘩を始める。七海の命の危機にこいつらは一体何をしているのか。本当に自分のことしか考えない連中である。そして、予想通り城山銀が七海を発見し、ちょっと話しただけで七海は元気を取り戻す。結婚式が嘘だったという迷惑をかけたのに、「スキーが滑れるようになりたい」と言って七海がまだこのスキー場に留まる神経も全く理解できないところである。また、「まだ亡くなった婚約者のことが好きなの」と言う七海に城山銀はキスをして、七海は受け入れるんだが、こいつらの心情がさっぱり読み取れんわ。

ラストは城山銀が大会に復帰して、大怪我をしたのと同じ場所で同じ様に転倒するが、何とか最後まで滑走して、地元の人たちみんなが拍手を送って映画が終わる。序盤から相当な悪事を働き、地元復興に向けて作った教会までをも破壊した。そんな奴らをあっさり受け入れる地元の人たちの描き方も酷い。結局、主人公たちがハッピーになれば、周囲もハッピーになるよねというあまりにも安易な結末になっている。城山銀の仲間2人も、玉山鉄二が演じたキャラクターはかつてスキー部を逃げ出した話があったが放りっぱなしで、青木崇高が演じたキャラクターはただ関西出身の奴というただの取り巻きでしかない。

過去に何かあったら周囲にどれだけ迷惑かけても良い。最後に主人公がハッピーになればそれで良い。そんな話あるかよ。

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【ソフト関連】

 

<DVD(スタンダード・エディション)>

 

言語

├オリジナル(日本語)

音声特典

├瑛太、田中麗奈、玉山鉄二、青木崇高、羽住英一郎(監督)×笠井信輔(MC)による音声解説

映像特典

├予告編

├砂猿メイキング

 

<DVD(3枚組/プレミアム・エディション)>

 

言語

├オリジナル(日本語)

音声特典

├瑛太、田中麗奈、玉山鉄二、青木崇高、羽住英一郎(監督)×笠井信輔(MC)による音声解説

映像特典(Disc2)

├予告編

├砂猿メイキング

├初日舞台挨拶

├ロールナンバー集

├サポーターズビレッジ

├コメンタリー風景

├未公開映像

映像特典(Disc3)

├本編BGV

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(日本語)

音声特典

├瑛太、田中麗奈、玉山鉄二、青木崇高、羽住英一郎(監督)×笠井信輔(MC)による音声解説

映像特典

├なし