【作品#0439】ロック・ユー!(2001) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ロック・ユー!(原題:A Knight's Tale)


【概要】

2001年のアメリカ映画
上映時間は132分

【あらすじ】

舞台は14世紀のヨーロッパ。平民のウィリアムは、仕えていた騎士エクスターの代わりにジュースティング(馬上槍試合)に出場して勝利を収めたことから、平民の身分を隠して各地で試合に出場することにする。

【スタッフ】

監督はブライアン・ヘルゲランド
音楽はカーター・バーウェル
撮影はリチャード・グレートレックス

【キャスト】

ヒース・レジャー(ウィリアム)
ルーファス・シーウェル(アダマー)
シャニン・ソサモン(ジョスリン)
ポール・ベタニー(ジェフリー・チョーサー)

【感想】

ヒース・レジャーのハリウッド初主演作品。ちなみに、ソニー・ピクチャーズはデビッド・マニングという架空の映画評論家を使って本作を絶賛する記事を書かせ、後に捏造と判明し、訴訟問題にまで発展したことがあった。

本作は冒頭近くの場面でクリーンの「We Will Rock You」のリズムに合わせて観客が音を出す場面がある。当時存在しなかった音楽がまるで存在したかのような演出を敢えてしているようだが、それが特段効果をあげているようには感じない。ちなみに、本作の原題は「A Knight's Tale」であり、直訳すると「騎士の物語」となるが、上述の歌から「ROCK YOU」という日本語タイトルが取られているようだ(音楽ものの映画と勘違いされてしまいそう)。冒頭からこんな感じなので、「こういう映画として楽しんでくれ」という意図は分かるが、うまく機能しているとは言い難い。

そういった普通ではない歴史ものの映画ではあるが、お話自体は割と普通である。そして、平民の若者が身分を隠して成り上がっていく物語は、当時無名に近かったヒース・レジャーという1人の俳優が成り上がっていくところと重ね合わせることができる。

本作の一番の見どころと言えるジュースティング(馬上槍試合)は、槍を持ち鎧を被って乗馬した男たちが正面に向かい合い、馬が走り始めると同時に槍を向け、鎧に当てる、顔に当てる、落馬させるのいずれかで点数が加算されていくというものだ。この戦いに変化球はないので見せ場として演出しにくかったことだろう。案の定、途中から同じ動きの繰り返しにしかなっておらず、クライマックスの戦いも盛り上がりに欠ける。槍を相手に向けないと勝ち目がないのに、槍を相手に向けずに負けていく男たちが多いのも気にかかる。

それから、ウィリアムと貴婦人のジョスリンのロマンスも並行して描かれるのだが、これが非常に薄っぺらい。ウィリアムがジョスリンに惚れたところが全く伝わってこない。所詮は平民の男性が貴族出身のふりをしたことで、本来なら全く手の届かないはずの女性を手に入れるチャンスをものにようとしているようにしか見えない。何度も愛の言葉を口にするがジョスリンはウィリアムを弄ぶ。ジョスリンが「試合に負けろ」と言えばウィリアムは試合にわざと負け、ジョスリンが「試合にすべて勝て」と言えばウィリアムはすべての試合をいとも簡単に勝利する。そして、それが終わると、ジョスリンは「ご褒美よ」と言って自分の身体をウィリアムに差し出す。これって愛なのか。この手の娯楽映画にしたって薄っぺらすぎるわ。というか、ジョスリンよりも、彼女の従者クリスティアーナ(無名時代のベレニス・ベジョが演じている)の方がよっぽど貴婦人ぽい雰囲気はあったし、この物語だったら鍛冶屋のケイトと結ばれた方がよっぽど良いわ。このケイトは扱いがちょっと雑過ぎるわ。

そして、ラストのジュースティングの前にウィリアムはアダマーから裏で暴行を受ける。どう見ても、本作の前年の「グラディエーター(2000)」を思い出さざるを得ない。ラストの戦いにウィリアムが勝利する理屈もあまりなく、消化不良で映画が終わってしまった。ちなみに、エンドクレジット後の数十秒の映像はいくらライトな作風とはいえ、本作を楽しんだ観客ですらがっかりさせる下品で下らないものである。

物語は王道だし、作風もライトなんだが、これで132分の上映時間は長く感じる。若き日のヒース・レジャーを楽しむには良いだろう。

【音声解説】

 

参加者

├ブライアン・ヘルゲランド(監督)

├ポール・ベタニー(チョーカー役)


上記2名による対話形式の音声解説。撮影時の工夫やトラブル、歴史との違い、俳優の印象などを楽しそうに語ってくれる。本作が好きなら聞いてみても良いと思う。



取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

 

<DVD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典

├ブライアン・ヘルゲランド(監督)、ポール・ベタニー(チョーカー役)による音声解説

映像特典

├未公開シーン(11種)

├撮影の舞台裏(12種)

├メイキング・ドキュメンタリー

├ミュージック・ビデオ

├フィルモグラフィ

├オリジナル劇場予告編集

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声/映像特典

├なし