【タイトル】
キャメラを止めるな!(原題:Coupez!/英題:Final Cut)
【概要】
2022年のフランス映画
上映時間は111分
【あらすじ】
ゾンビ映画の撮影をしているとスタッフやキャストが次々にゾンビに襲われてしまう。
【スタッフ】
監督/脚本/製作/編集はミシェル・アザナヴィシウス
音楽はアレクサンドル・デスプラ
撮影はジョナタン・リケブール
【キャスト】
ロマン・デュリス(レミー)
ベレニス・ベジョ(ナディア)
竹原芳子(マダム・マツダ)
【感想】
日本でヒットした「カメラを止めるな!(2017)」のフランス版リメイクで、オリジナルキャストから竹原芳子だけが本作に出演している。また、フランスではカンヌ国際映画祭のオープニング作品としてプレミア上映された。
本作の基本構造はオリジナルと同じであり、冒頭からワンカットの映画が始まり、過去に遡って冒頭のワンカットの舞台裏を描いていく。ただ、オリジナルでは撮影しようとしていた劇中映画がどんな内容か分かりづらいためその箇所を分かりやすくしている。また、大きく異なる箇所は、日本でヒットしたゾンビ映画に倣ってワンカットのゾンビ映画を作ることになり日本からマダム・マツダという女性プロデューサーがやって来ることになる箇所と、音響/音楽を担当するスタッフが追加されているところだろう。
そして、オリジナルのイケメン俳優枠のキャラクターは大きく肉付けされ、主人公家族の描写よりも監督対イケメン俳優みたいな印象も受けた。その影響か、オリジナルが主人公家族3人がメインだったのに、本作はその関係性もあまり描き切れておらず、非常に印象の薄いものとなっている。オリジナルの主人公家族は3人とも暴走を止められないキャラクターであったのに、本作では特に妻と娘がおとなしく、娘に関しては暴走する場面がなく、ただ気の利くおとなしいキャラクターという感じである。それに、オリジナルでは主人公家族の暴走自体が映画をドライブさせる力になっていたのに、主人公家族の面々が非常におとなしいのでクライマックスの盛り上がりにも欠ける。
さらに、オリジナルではエンドクレジットの背景に冒頭のワンカットの本当の裏側を見せる描写があったのだが、本作ではそういった演出はなされていない。ただ、エンドクレジットが終わると、スタッフが落としたクレーンの代わりに脚立を持って来るが間に合わなかったというオチになっている。これが面白いかはさておいて、やはりここはオリジナルを踏襲すべきなんじゃないかと思う。
アカデミー賞監督賞を受賞した過去を持つミシェル・アザナヴィシウスが監督したのだから、本作の方がが世界的に観られる可能性のある作品だろう。また、フランス映画なので当然フランス人向けに作られた作品だと思うし、フランス語を理解できていればもっと笑えた場面もあったのではないかと思うが、オリジナルを知る日本人から見てオリジナルを超えている箇所は見当たらない。フランスは比較的日本映画を鑑賞する土壌はあるだろうから、ぜひオリジナル版も見てほしい。やはりオリジナルの「カメラを止めるな!(2017)」は偉大である。
【関連作品】
「カメラを止めるな!(2017)」…本作のオリジナル
「ハリウッド作戦(2019)」…上記作品のスピンオフドラマ
「リモート大作戦!(2020)」…短編映画
「キャメラを止めるな!(2022)」…ミシェル・アザナヴィシウス監督によるフランスリメイク
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(フランス語/日本語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(フランス語/日本語)
├日本語吹き替え
映像特典
├ミシェル・アザナヴィシウス監督×上田慎一郎監督対談映像
├予告編集
<BD>
収録内容
├上記DVDと同様