【作品#0421】ミスト(2007) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ミスト(原題:The Mist)


【概要】

2007年のアメリカ映画
上映時間は125分

【あらすじ】

荒らしが過ぎ去った翌朝、デイヴィッドは息子と隣人を乗せて地元のスーパーマーケットに買い物へ向かう。デイヴィッドらが買い物をしていると、血を流した男が叫びながらスーパーマーケットに走って来て、「霧の中に何かがいる」と叫び始めた。不安に駆られた従業員と客はスーパーマーケット内に閉じこもることにする。

【スタッフ】

監督/脚本/製作はフランク・ダラボン
音楽はマーク・アイシャム
撮影はロン・シュミット

【キャスト】

トーマス・ジェーン(デイヴィッド)
ローリー・ホールデン(アマンダ)
トビー・ジョーンズ(オリー)
マーシャ・ゲイ・ハーデン(カーモディ)
ウィリアム・サドラー(ジム)
アンドレ・ブラウアー(ノートン)
ジェフリー・デマン(ダン)

【感想】


フランク・ダラボンの監督4作目で、スティーヴン・キング原作小説の映画化は「ショーシャンクの空に(1994)」「グリーンマイル(1999)」に続いて3作目となった。なお、フランク・ダラボン監督は当初モノクロでの映画化を望んでいたそうで、日本ではDVDのコレクターズ・エディションのみモノクロバージョンが特典として収録されている。

本作はモンスターものとしても、スーパーマーケットに閉じ込められた人たちの群像劇としても非常に面白い。そこそこメジャーなキャストに加え、地元で採用したという普段あまり見かけない俳優までもが非常に印象的である。

田舎町故の外者への排他性、高学歴と低学歴、黒人と白人、男性と女性、神への信仰心などが徐々に軋轢を生んでいく。共通の敵がいながらもスーパーマーケット内の人間同士で戦いを始めてしまう人間の愚かさがうまく表現されている。中でもオスカー女優マーシャ・ゲイ・ハーデンが演じた狂信的なキリスト教信者のカーモディは強烈で、すがるものがなき状況における宗教という意味では日本人の感覚と全く違うが、本作ならではのリアリティがあった。また、人間同士が対立し、マジョリティになった側がマイノリティ側を抑圧して、最終的には殺そうとまでする展開はまさしく、アメリカの、ひいては人間の歴史そのものである。

意外にもと言ったら失礼だがオリーの銃の腕前も手伝って、本作で最も忌み嫌われたカーモディはオリーから銃で撃たれて死んでしまう。映画のキャラクターとしては殺されて当然で、そこにスカッとするものを感じるのだが、本作はそんな生易しい話にはならない。オリーは店を出るとすぐにモンスターに殺され、せっかく車に乗るところまで成功したのにデイヴィッドは妻の死を知り、絶望の淵に立たされてしまう。

そこで、ラストは銃に弾が4発しか残っていなかったことから、デイヴィッドは車に同乗した息子含む4人を射殺することになる。そして車から外に出ると住人は車で避難し軍がモンスターを退治していることが分かる。あとほんの少しタイミングがずれていれば車に乗っていた5人全員が助かったはずなのに、自分以外の人間を全員殺してしまったのだ。これほどのバッドエンドはないだろう。妻はモンスターに殺され、息子はあれだけずっと守り続けてきたのに自分の手で銃殺してしまった。デイヴィッドはこのまま生き続けるということになれば、とんでもない十字架を背負うことになる。

映画にハッピーエンドや楽しい気持ちを望む人にとって、これほどのバッドエンドの映画もないだろう。ただ、現実ってそう優しいものではないし、こんな結末だって起こりうる。「グリーンマイル(1999)」にしても、フランク・ダラボン監督は主人公に罪を背負わせ続けた。良くも悪くも絶対に忘れることのできない作品であることは間違いない。

【音声解説】

参加者

├フランク・ダラボン(監督)


DVDのパッケージなどにはフランク・ダラボンによる音声解説と記載されているが、ところどころで、共同制作のデニース・ヒュースも参加している。スタジオとセットでの撮影、地元で採用した俳優、低予算映画ならではの工夫、原作者スティーヴン・キングとの逸話、映画製作を学ぶためにポスプロの編集作業に毎日トーマス・ジェーンが顔を出していた話など聞き応えは十分である。

 

また、本作の音声解説は4日で収録されたものらしく、「グリーンマイル(1999)」の音声解説の収録で9か月かかった話を聞くと、「グリーンマイル(1999)」の音声解説も聞きたいと感じるのだが、日本で発売のDVDやBlu-rayには残念ながら音声解説は収録されていない。



取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

 

2023年5月現在、本作はDVDもBDも発売されているが、モノクロ版はDVD(2枚組/コレクターズ・エディション)にしか収録されていない。

 

<DVD(2枚組/コレクターズ・エディション)>

 

本編

├劇場版(Disc1)

├モノクロ版(Disc2)

言語

├オリジナル(英語)

音声特典

├フランク・ダラボン(監督)による音声解説

映像特典(Disc1)

├キャスト・スタッフ プロフィール(静止画)

├日本版劇場予告編

├US版オリジナル予告編集(3種)

├Web用メイキング映像

├フランク・ダラボン オフィシャルインタビュー

├スティーヴン・キング インタビュー
映像特典(Disc2)

├フランク・ダラボン監督イントロダクション

├削除シーン

├ポスターアーティスト

├メイキング

├シーン35の撮り方

├クリーチャー・メイキング

├FX技術

 

<BD>

 

本編

├劇場版

言語

├オリジナル(英語)

音声特典

├フランク・ダラボン(監督)による音声解説

映像特典(Disc1)

├キャスト・スタッフ プロフィール(静止画)

├日本版劇場予告編

├US版オリジナル予告編集(3種)

├Web用メイキング映像

├フランク・ダラボン オフィシャルインタビュー

├スティーヴン・キング インタビュー

├フランク・ダラボン×スティーヴン・キング 2ショットインタビュー