【タイトル】
ザ・ワン(原題:The One)
【概要】
2001年のアメリカ映画
上映時間は87分
【あらすじ】
125のパラレルワールドが存在する世界で、囚人のロウレスはユーロウというこのパラレルワールドの世界を調和する捜査局の男に殺されてしまう。ユーロウはこのすべてのパラレルワールドにいる自分を殺して全能の存在になろうとする。
【スタッフ】
監督はジェームズ・ウォン
音楽はトレヴァー・ラビン
撮影はロバート・マクラクラン
【キャスト】
ジェット・リー(ゲイブ/ユーロウ)
カーラ・グギノ(T・K・ロウ)
デルロイ・リンドー(ローデッカー)
ジェイソン・ステイサム(ファンチ)
【感想】
前年に「ファイナル・デスティネーション(2000)」で監督デビューしたジェームズ・ウォンの監督2作目。当初はザ・ロックが主演予定だったが、ジェット・リー主演になったことで脚本や設定が大幅に書き換えられている。またジェット・リーとは、デルロイ・リンドーが前年の「ロミオ・マスト・ダイ(2000)」に引き続いて共演し、ジェイソン・ステイサムが後に「ローグ アサシン(2007)」で再共演を果たしている。
マルチバースの中で存在する自分を次々に殺してパワーを得て強くなっていくという設定だが、本作はこの辺りの説明は極力排除しているので、「そういうものとして見てください」ということになのだろう。ただ、100人以上殺して強くなっているユーロウが、ゲイブ1人を殺せないというならそんなに強くないのではないかと思ってしまう。また、ゲイブとユーロウは同じ見た目であるため、間違えられてしまっては困るはずなのに、ゲイブはわざわざユーロウと同じ黒い服に着替えている。ローデッカーやファンチらが彼らを見間違えることで得られる面白さもドラマもほとんどない。
また、ジェット・リー主演のアクション映画ということだが、彼らしいアクションはあまり見られないのも残念である。SF映画ということでワイヤーアクションやCGなどが使われているところに問題があるだろう。特に両手にバイクを持って警官を挟むという描写があるが、当然CGである。アクションのできるジェット・リーが主演しているのに、ジェット・リーができないことをわざわざCGを使ってまでやる必要性は感じないし、この描写はまだ当初の主演予定だった筋肉隆々のザ・ロックがコメディとしてやるなら成立していた場面だと思う。
そして、終盤にはジェット・リー対ジェット・リーという格闘も用意されているが、やはり「どう撮影したのか」といった疑問がノイズになってしまっている。
それから、ラストはゲイブの描写の後、ユーロウの描写で終わることになるが、順序としては逆の方が良かったと思う。順序は苦慮したとは思うが、ゲイブの描写で終わるべきだと思うし、その方が印象も良かったと思う。
パラレルワールドで展開するSFにしても、アクションにしても特段評価するポイントは見つからない。エンドクレジットを除く上映時間が81分程度と短い尺であるところが本作で唯一幸いなところだろう。
【音声解説】
参加者
├ジェームズ・ウォン(監督)
├デビッド・スナイダー(美術)
├ロバート・マクラクラン(撮影)
├ジム・コブレンツ(編集)
上記4名による対話形式の音声解説。試写の反応を見て追加したり削除したりしたシーンの話、撮影時の苦労話、世界の違いを際立たせるための照明や美術の話、レイティングのために止む無く削除したシーンの話、内輪ネタの話、「マトリックス(1999)」との比較の話など幅広い話を聞くことができる。何なら本編を見るよりも興味深いと思う。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├ジェームズ・ウォン(監督)、デビッド・スナイダー(美術)、ロバート・マクラクラン(撮影)、ジム・コブレンツ(編集)による音声解説
映像特典
├“ザ・ワン"のすべて(メイキング)
├ジェット・リーVSジェット・リー(格闘シーンVFXメイキング)
├フィギュア・アニメーション(VFXシーンをフィギュアで再現)
├マルチバース(VFXメイキング)
├125人のジェット・リー(ジェット・リー1人多役への変身)
<BD>
収録内容
├上記DVDと同様