【作品#0347】ナイアガラ(1953) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ナイアガラ(原題:Niagara)

【概要】

1953年のアメリカ映画
上映時間は89分

【あらすじ】

カトラー夫妻は新婚旅行でナイアガラの滝を一望できるロッジに宿泊へ来たところ、予約した部屋はルーミス夫妻が使用中のため別の部屋に宿泊することになる。ルーミス夫妻の夫ジョージは神経質で怒りっぽく、ロッジに宿泊するみんながダンスを楽しんでいる最中にもかかっているレコードを破壊すると、カトラー夫妻の妻ポリーが手当てをしてあげるが…。

【スタッフ】

監督はヘンリー・ハサウェイ
音楽はソル・カプラン
撮影はジョセフ・マクドナルド

【キャスト】

ジーン・ピーターズ(ポリー・カトラー)
ケイシー・アダムス(レイ・カトラー)
マリリン・モンロー(ローズ・ルーミス)
ジョセフ・コットン(ジョージ・ルーミス)

【感想】

マリリン・モンローにとって初のカラー映画主演となり、1953年に製作された本作と「紳士は金髪がお好き(1953)」「百万長者と結婚する方法(1953)」といった彼女の主演作は軒並みヒットを記録しスターの仲間入りを果たした。また、鐘を聞いて歩き出すシーンの歩き方は日本では「モンロー・ウォーク」と呼ばれている。

戦後は世界各国の観光名所の映像を映画館で流していただけあり、本作も世界的な観光名所であるナイアガラの滝を舞台とした観光映画と言えよう。後には「八十日間世界一周(1956)」なんていう日本にも来てくれる観光映画まで作られた。映画のタイトルにもなっているナイアガラの滝を捉えたショットは美しいが、そのナイアガラの滝に心情を重ね合わせたベタなセリフを言わせる辺りは正直センスを感じない。

また、サスペンスがメインとして扱われている映画ではあるが、そのカテゴリーで見ても二流と言わざるを得ない出来。当時、仮に他の誰かのふりをして人生をやり直すことが可能だった時代だとしても、自分の妻が不倫をしてその不倫相手から殺されそうになり、正当防衛としてその相手を殺して、警察に届けない理由はない。また、謀略に気付いて妻を殺してしまう展開も、事実に気付いたポリーを巻き込む展開も不自然である。ジョージは、戦争で精神的なダメージを受けていることが仄めかされる。当時はまだPTSDという言葉はなかったが、おそらくPTSDだろう。そんな状態になったジョージだからこそ、どこかで死んでいても不自然ではないとローズは判断しているが、事実に気付いたジョージはPTSDに関係なく行動しているように見える。ジョージがPTSDであるという設定も使い方が曖昧である。

タイトルにもなっているナイアガラは出てくるのも中盤までかと思いきや、ラストのアクションの場所として取って付けたように再登場する。ロケとセットを組み合わせたチグハグな映像も手伝ってあまり盛り上がらないクライマックスとなってしまった。

それから、女性の扱いに関しては古臭さを感じずにはいられない。死んだはずのジョージをポリーが見たと言うと、レイは「悪い夢でも見たんだろう」と言ってポリーのことを信じようともしない。女性の言うことなど信用できないと言わんばかりで、後に登場した男性警部も同様の感覚を持っている印象だ。最終的にポリーの言っていることが正しかったのに、「君の言っていることを信じなくて悪かった」などとレイが詫びる場面もなく、男性側(特にレイ)がそのことに問題意識すら抱いていない結末は残念ではある。

化粧を決め込んで寝たふりをするマリリン・モンローの妖艶な魅力はさすが。「モンロー・ウォーク」は今見ると、この程度で話題になったのかと思ってしまう部分はある。サスペンスはショボショボだが、マリリン・モンロー目当てで見るなら「あり」だろう。




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