【作品#0320】三十九夜(1935) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

三十九夜(原題:The 39 Steps)

【概要】

1935年のイギリス映画
上映時間は88分

【あらすじ】

ホールで芸を鑑賞していたハネイは銃声による騒ぎでホールから飛び出し、謎の女性と共にアパートへ戻る。その女性は軍の機密情報が奪われそうになっていると語るが、未明に刺し殺されてしまう。その女性の手には、スコットランドの「アル・ナ・シェラ」という場所に印がついた地図を持っていた。

【スタッフ】

監督はアルフレッド・ヒッチコック
撮影はルイス・レヴィ
撮影はバーナード・ノウルズ

【キャスト】

ロバート・ドーナット(リチャード・ハネイ)
マデリーン・キャロル(パメラ・マデリーン)

【感想】

ジョン・バカンの小説「三十九階段」の映画化。原題も「The 39 Steps」となっており、小説のタイトルも上記の通りだが、映画の邦題だけが「三十九夜」となった理由はよく分からない。

イギリス時代のヒッチコックの傑作と評される作品。何も知らない主人公が何かの陰謀に巻き込まれ、途中で出会った女性と解決に向けて動き出すというのはヒッチコック映画でおなじみの光景である。

巻き込まれたヒロインがどうやって主人公を信じるようになるかと言えば、宿の1階にたまたま追手がいて、電話で教授に事情をべらべら話しているシーンをヒロインが聞くのがきっかけである。

ラストでは冒頭の劇場に戻り、あの記憶屋が芸を披露している場面になる。客からの質問に持ち前の記憶力で何でも応える記憶屋は、主人公の「39階段とは」という質問に、スパイ組織であることをべらべら話してしまい、黒幕の教授に撃ち殺されてしまう。余計なことまで覚えさせるとは間抜けな話だし、それをべらべら話す男も男だし、いくらそれを話したからと言ってほとんどの人間に通じない話だろうから撃ち殺そうとする必要もないし、とにかく終盤の展開はすべてが間抜けに見えてしまう。

ラストカットは手錠が外れた2人が再び手を繋ぐという洒落たもので終わるのだが、この2人は恋に落ちる程の関係だったかな。ストーリーの中心にある軍事機密がマクガフィンとなっている以上、描きたかったのはこの2人の関係だったのだろう。無罪であることを証明するのが極めて絶望的な状況でも最終的に女性側が手を差し伸べてくれる。危険を冒してでもハネイを助けようとするヒロインの心情は掴みづらく、たとえ男側が劣勢であっても手を差し伸べる女性像というのは、ヒッチコックのコンプレックスなんだろうと思う。別に必要もないのに、ストッキングを脱ぐシーンでは舐めるように撮っている。後に暴露されるヒッチコックの女性問題の片鱗が垣間見える場面であり設定であると感じる。

サスペンスを、登場人物にべらべら話すことで展開させていくのはあまりにも説明的である。さらにはそれを偶然にも誰かが聞いているというのも話を進める上での都合でしかない。農場の妻も宿主の妻も女性キャラクターが揃って主人公の男性キャラクターに協力的であるところも、ヒッチコックらしい男尊女卑の考えが根底にあるのだと感じてしまう。世間的な評価に反するが、古びた作品と言わざるを得ない。



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