【作品#0274】64-ロクヨン-前編/後編(2016) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

64-ロクヨン-前編/後編

 

【概要】

 

2016年の日本映画

上映時間は前編が121分/後編が119分

 

【あらすじ】

 

昭和64年、7歳の少女が誘拐された末に殺される事件が起こった。捜査に加わりながら事件を防げなかった三上は、刑事として仕事を続けていたが、事件から14年後となる現代で、突如として警務部への異動を命じられ、広報官に任じられる。

 

【スタッフ】

 

監督は瀬々敬久

音楽は村松嵩継

撮影は斎藤幸一

 

【キャスト】

 

佐藤浩市(三上義信)

夏川結衣(三上美那子)

永瀬正敏(雨宮芳男)

吉岡秀隆(幸田一樹)

緒形直人(目崎正人)※後編のみ

三浦友和(松岡勝俊)

綾野剛(諏訪)

榮倉奈々(美雲)

瑛太(秋川)

滝藤賢一(赤間)

椎名桔平(辻内)

奥田瑛二(荒木田)

柄本佑(落合)

 

【感想】

 

横山秀夫が2012年に発表した「64」の映画化。原作に登場する誘拐事件にはモデルがあり、昭和62年に群馬県内で起こり、そのまま時効を迎えてしまったものである。本作は前編が2016年5月に、後編が翌月の6月に公開され、合計約36億円の興行成績を記録した。

 

結論から言うと、わざわざ2部構成にするほどの作品には感じなかった。一応は主人公の三上が、誘拐殺人事件を防ぐことができず、そして家庭で娘とうまくいっておらず、さらには広報官に成り下がってしまう。そんな主人公が何とか戦い続けるという筋書きである。40代半ばの主人公は、職場では上司と部下、上司と取引先(記者クラブ)、遺族、家族、元同僚などとの間の軋轢に悩まされることになり、前後編で4時間の超大作だが、やはり佐藤浩市という役者で持っているなと言う印象はある。

 

前編に関しては、64の事件よりも県警と記者クラブの戦いがメインのように描かれていた。実名報道に異常なほどの拘りを見せる記者クラブの面々は素人感覚だとピンとこないものがある。実名を勝ち取れるかどうかで新聞社側のプライドもあるだろうし、報道の歴史や伝統もあるだろう。ただ、実名報道を勝ち取ったところで新聞の売り上げにも、新聞社のブランドにも何ら影響はないだろう。持ちつ持たれつの関係は分からなくもないが、この下らないことと主人公が戦わなければならないこと自体が落ちた主人公を表しているのだろう。ただ、記者クラブも県警の上層部もキャラ付けが極端すぎる印象はある。しかも、これだけの尺を取って描いた記者クラブとの戦いも、後編にはほとんど意味をなさず、今度は前編で描かれた事情を知らない東京の記者連中が敵となり、記者クラブが半ば味方のようになっていくのも違和感がある。特に後編の中盤以降は記者クラブの面々は画面内から姿を消し、ラストで突如として瑛太演じた秋川が再登場したとしても、この辺りのドラマは匙を投げたとしか思えないほど中途半端なものになっている。

 

一方のタイトルにもなっている昭和64年の事件についてもモヤモヤした終わり方である。三上が目崎を追いつめて殺人の動機を聞いても「分からない!」と答えている。誘拐の目的が金だったとしても殺してしまう動機が分からぬまま映画が終わるのは消化不良である。そもそもの話になるが、昭和64年が天皇崩御により1週間しかなかったのは事実としても、それにより誘拐事件の報道が注目されなくなったことは、実話でも何でもないのでただの後付けである。昭和64年の出来事であることがそれ以上の意味をあまり有していないように感じてしまう。

 

犯人の動機も、警察内での隠蔽も結局すっきりすることなく映画は終わる。三上という主人公の観点から見ればボチボチの話だが、流行りの2部作構成にする必要はなかった。全く意味がないとまでは言わないが、記者クラブとのやり取りをほとんどカットすれば2時間半くらいの1本の作品になったのではないかと思う。繰り返しになるが、佐藤浩市という俳優で見られた内容だったし、永瀬正敏、緒形直人も大きな印象を残した。

 

 

 

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【配信関連】

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【ソフト関連】

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映像特典

 

├メイキング
├舞台挨拶集
├スペシャルインタビュー集

├映画ナビ スペシャル編集Ver
├「佐藤浩市さんに役者人生を聞いてみた/聞き手:春日太一」(2016年6月10日ニコニコで生放送)
├特別対談集
├TRAILER~特報・予告・スポット