【タイトル】
恋愛小説家(原題:As Good as It Gets)
【Podcast】
Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。
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【概要】
1997年のアメリカ映画
上映時間は139分
【あらすじ】
中年男のメルヴィンは作家としては人気でも、自己中心的な性格が災いして、いつも行くレストランンのウェイトレスや隣人からも周囲から嫌な目で見られていた。そんなある日、隣人のサイモンが強盗に遭い、彼の犬を嫌々預かることになる。
【スタッフ】
監督はジェームズ・L・ブルックス
音楽はハンス・ジマー
撮影はジョン・ベイリー
【キャスト】
ジャック・ニコルソン(メルヴィン)
ヘレン・ハント(キャロル)
グレッグ・キニア(サイモン)
キューバ・グッディング・Jr(フランク)
【感想】
アカデミー賞で主演男優賞と主演女優賞を同じ作品から輩出した最後の作品(2022年現在)。ちなみに、ジャック・ニコルソンが前回アカデミー賞の主演男優賞を受賞した「カッコーの巣の上で(1975)」でも主演男優賞と主演女優賞を獲得している。
売れっ子小説家のメルヴィンを軸に、いつも通っているレストランのウェイトレスであるキャロルとのロマンス、隣人で落ちぶれてしまったゲイのサイモンとのドラマが繰り広げられる。キャロルとサイモンは面識がないため中盤まで彼らが関係する場面は出てこないが、突如として3人で旅行することになる。本作はこういった動機はよく分からんが何かが突然よく起こる(それはそれでアリと言えばアリなのだが)。こういう動機を端折っている割には、上映時間139分はちょっと長いかな。この手の(と言っても若干特殊だが)ロマンティックコメディなら2時間くらいにまとめてほしい。
本作で一番気になるのはサイモンのキャラクターである。重要なキャラクターであることは間違いないのだが、なぜ彼はゲイという設定なのか。終盤のキャロルとサイモンは明らかに「いい感じ」である。もしサイモンが「ストレート」だったら、彼らが結ばれて、メルヴィンは敗れることになっただろう。ではなぜメルヴィンは最後にキャロルの愛を勝ち取ったのか。それはゲイのサイモンがキャロルと男女関係になれなかったからである。こうやって紐解くと、ゲイというセクシャルマイノリティを都合よく配した設定とも言える。別に本作を見てこの設定に対して悪い気はそこまでしないが、サイモンが「ストレート」だったら敗れた恋を、サイモンが「ゲイ」であることで主人公にチャンスを与えるのはやはり違うのではないかと感じる。また、サイモンは画家として成功していたのに強盗に遭い、展示会も失敗してどん底を味わうことになるのだが、このキャラクターにここまでして酷い仕打ちをするのもよく分からない。ここまで酷い目に遭わないと、メルヴィンは行動を起こさなかったということだろうか。いずれにしても1997年当時のセクシャルマイノリティへの扱いは「この程度」だったのだろうと察する。
メインキャストの芸達者ぶりは言うまでもないが、やはりヘレン・ハントの魅力に尽きるだろう。子供がいる設定から溢れる母性と、女性としてのキュートさを兼ね備える、文字通り魅力的なキャラクターだった。もはや顔芸とも言える表情の変化に、魅力的な声。彼女の魅力を堪能するにはベストな一本。
やはり振り返ると、キャロルとサイモンを映画内で絡ませるのには無理があった。メルヴィンとキャロルがメインの話ではあるが、サイモンの話はサイドストーリーとしては大きすぎるし、やっぱり変な映画ではある。とはいえ、オーソドックスながら心地よいところへ着地し、パン屋にいる2人を映してフェードアウトしていく余韻は心温まるものがある。
【音声解説】
参加者
├ジェームズ・L・ブルックス(監督/脚本)
├ジャック・ニコルソン(メルヴィン役)
├ヘレン・ハント(キャロル役)
├グレッグ・キニア(サイモン役)
上記4名による対話形式の音声解説。ただし、1箇所だけハンス・ジマー(作曲)が登場する。彼らが本作を作り上げる上で、話し合った内容、演技プランなどについて詳しく聞くことができる。個人的に唐突だなと思う場面についても説明があり、「突然思い立って行動することもあるよね!」みたいに言っていることが多くて少しがっかりした。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├ジェームズ・L・ブルックス(監督/脚本)、ジャック・ニコルソン(メルヴィン役)、ヘレン・ハント(キャロル役)、グレッグ・キニア(サイモン役)による音声解説
<BD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え