【作品#0206】あなたにも書ける恋愛小説(2003) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

あなたにも書ける恋愛小説(原題:Alex & Emma)

 

【概要】

 

2003年のアメリカ映画

上映時間は95分

 

【あらすじ】

 

小説家のアレックスはスランプに陥り、借金の取り立てに来た男たちにパソコンを壊されてしまった。借金返済の期限が30日に迫り、アレックスは口述筆記しようと考え、速記者を雇うことにする。

 

【スタッフ】

 

監督はロブ・ライナー

音楽はマーク・シェイマン

撮影はギャヴィン・フィネイ

 

【キャスト】

 

ルーク・ウィルソン(アレックス)

ケイト・ハドソン(エマ)

ソフィー・マルソー(ポリーナ)

デヴィッド・ペイマー(ジョン)

ロブ・ライナー(編集者)

 

【感想】

 

期限の迫った作家が速記者を雇うという展開はオードリー・ヘップバーン主演の「パリで一緒に(1964)」をモデルとしている。

 

結論から言うと、この2人が結ばれる理由が分からなかった。まず、エマは騙されてアレックスのところにやって来たのに、彼の小説の結末だけ読んで面白いと思ったからこの仕事をするという流れがダメだわ。給料は小説が完成しないともらえないし、見ず知らずの男の家で1日仕事をするわけだし、仕事を引き受ける上でのハードルはかなり高いものがある。本作はこの大事な部分を簡単に済ませ過ぎだわ。彼女にも何かしらの事情があってこの仕事を受け入れざるを得ないなどの設定にすべきだったと思う。

 

それから一番の問題は、アレックスの描くストーリー(舞台劇)がちっとも面白くないところだろう。ラストで編集者(演じたのは監督のロブ・ライナー)によって傑作と言われている(言わせている?)が、もし傑作としてこの小説が完成するという設定なら、そのストーリーが面白いと観客が納得させられるものでないといけないと思う。この程度のストーリーでエマが感動してしまうものよく分からない。映画的には、完成した小説を編集者には認められない(結末を手直しさせられてしまうとか)が、エマには認めてもらえるという方が恋愛劇としてはきれいに落とせたのではないかと思う。ついでに言うと、邦題の「あなたにも書ける恋愛小説」というのもよく分からん。この程度の内容なら(観客の)あなたにも書けるってこと!?(笑)ちなみに、原題は「Alex and Emma」である。

 

また、速記者のエマが、小説家のアレックスの話す物語に口出しするという流れも違和感がある。自信を無くしているアレックスが「これでいいかな?」みたいに確認するか、あるいは雑談の中で彼女が言った言葉がヒントになってそれをストーリーに生かしていく方が良い。これだとエマもなかなか偉そうな人に映るぞ。

 

そして、30日という期限を設定する必要も感じなかった。2回キューバマフィアが来るだけじゃないか(てか、なぜキューバ?)。エマが水溜まりに落とすところは後にアレックスの優しさを表現するためだけに使われ、その後はお外で呑気にデートまでしている。これじゃ期限に追われている感は出ないね。

 

上述したように、彼らが恋仲になっていく過程がちっとも伝わってこなかった。ポリーナが登場した終盤にエマがアレックスに「軽薄な恋って長続きしないのね」って言うが、本当にその通りだと思うわ。そして、小説で登場したポリーナが映画終盤になって現実世界にも登場するところをサプライズとしているようだが、映画的にはもっと早くに登場させて小説と現実世界の三角関係をうまく交錯させるべきだった。

 

ちなみに、エマからお悔やみの言葉を言わないのはおかしいことを指摘されて、それを舞台劇に反映したシーンは面白かった。

 

【関連作品】

 

「パリで一緒に(1964)」…オードリー・ヘップバーン主演のラブコメディ。本作のモデルとされる。

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【ソフト関連】

<DVD>

言語
├オリジナル(英語)